第106回:決定版! 自民党対策バカ作戦!(松本哉)

松本哉の「のびのび大作戦」

 いや〜、この間の選挙でも圧勝でしたね〜、さすが自民党!! バンザーイ、バンザーイ! …とか適当に点数稼ぎながら、早めに自民党滅亡させる作戦練っていきましょう。
 ちなみに、昔から権力者を手玉に取るのが民衆の役目ってのは相場が決まってる。大昔のサムライの時代でも、少しでも悪政があると大通りやお城の近くなんかに、その政治を風刺したような嫌味な落書きや川柳なんかが闇夜に紛れてコッソリ書かれる。で、民衆たちは心の中で「あっ、ついにやった!」「やっぱり!」「ヤベー、今回のは完成度高い!」などとニヤッとしながら、素知らぬふりをしてウロウロして、その落書きのそばで役人が「犯人は誰だー! 絶対に捕まえてやる! 打ち首だ〜」と、プンプンしてる。役人は調べまわるが、民衆たちは仮に犯人に心当たりがあっても「何のことやら、見当もつきませんねぇ」と、とぼける。もちろんこの落書き、ただの陰口といってしまえばそれまでだけど、すごい強権に支配されつつも人々はこうやって「やっぱり、そう思ってるの自分だけじゃなかった!」と、みんなの共感を得ていく。で、鬱憤が溜まりに溜まった時には反乱や一揆なんかも起こるし、みんな言うこと聞かなくなっちゃって、偉い役人の首が飛んだりもしてきた。
 よく、日本社会は一度も民衆で革命を起こしたことないから、日本の民衆の力は弱いなんてバカにされる事もあるけど、「図星でございます」と言っちゃうのもどうも癪に触る。ええい、だまれだまれ! こっちにはこっちの、恐るべき最強大反乱の手段はいくらでも持ってるのだ! よーし、準備だ準備だ、一揆の準備だ!!! 我々日本民衆の恐ろしさを見せてやる!

全員自民党になる

 とりあえず自民党は手強いし数も多い。対抗して棍棒を持って立ち上がっても絶対に負けて袋叩きに遭う。と言う事で、何かいい事あるかもしれないし、とりあえず自民党に入ってみよう。入れてくれなくても無理やり入れてもらうか、勝手に名乗る。で、そうなったらもう、街で会う人会う人みんな自民党だからもう何も話す事ないし、全員自民党なんだから、もう存在しないのと同じことになる。いまの日本は未曾有の政治的無関心があるので、これは千載一遇のチャンスだ。みんな楽勝で入るに違いない。もし政府が悪いことやらかすと「安倍はサイテーだな!」「お前なんか辞めちまえ!」などと文句が噴出したりデモが起こったりするが、全員自民党だからどれぐらい批判勢力がいるのかわからない。でも世論調査も常に自民党の支持率は100%。選挙は自民党しか出ないからやらない。これは相当恐ろしいに違いない。完全に江戸時代と同じだ。
 そういえば、明治時代に電気が登場した時に「電気=かっこいい」みたいになって、別に電気使ってる訳じゃないのに最新とカッコいいって意味で「電気ブラン」みたいな謎の名前がたくさん登場した。同じく明治時代は相撲取りも電気ナントカとか自動車ナントカみたいな名前も横行していたし、現代でも高円寺の北中通り商店街では長老たちが「LED餅つき大会」やってたから、それもその類だろう。よし、「自民党」もそんな感じにしてみよう。「自民党=最高」ってことで、店の屋号から子どもの名前までみんな自民党とつける。もちろん犬や猫も自民党だ。そうなってくると、もう食パンやチョコレートのネーミングから、バンド名、ファッションブランド、洗濯機の名前など、何でも自民党がついてくる。その勢いで「秋刀魚の塩焼き自民党定食」あたりまでいったらもうこっちの勝ちだ。自民党っていうフレーズが完全に空気みたいな感じになってくる。そして、その次に流行りが終わった後は相当ダサいフレーズになってくるので、スーパーで「自民党マヨネーズ」みたいなのを見かけたら「うわ、ださっ! まだ自民党とか言ってる!」ってことになる。イメージだけで選挙が行われる日本ではこれは致命的。次の選挙での自民党は0議席は間違いない。

毎日飲み歩く

 この間の選挙結果を見ても与党で300議席以上。で、野党は50数議席程度かそれ以下のがパラパラあるぐらい。いや〜、これってとても先進国の政党政治ではないね。どっかの豪族支配の地域の派閥構成図みたい!
 ちなみに、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんたちなんか、みんな自民党に投票してるけど、これ別に安倍首相がいいとか自民党の政策がいいっていう理由ではなく、地元議員の自民党のオッサンとかに日頃から世話になっており、「ここはひとつ〇〇さんのの顔を立てて」みたいな感じで自民党に投票してる人が超多い。特に自民党の人はやたら面倒見がよかったり、飲み会なども必ず現れてそのまま地元の老人たちとカラオケに行ったり、やたらと付き合いがいい。一方左派の人は何かと真面目に政治をやろうとして忙しいので、どうも付き合いが悪くなる。と、なってくると、自民党とばかり飲み歩いたりしてる地元老人たちからしたら「自民党なんて、もう俺のいうこと全部聞いてくれるんだから」みたいな感覚になって、親近感がわいてきて、安倍だか憲法だか色々あるけど、ここは〇〇先生は裏切れねえなあ。って感じになってくる。ちなみに、共産党や社民党などの議員でも、やたら付き合いがよかったり、面倒見がいい親分的な存在の人だったりしたらそれなりに信頼を集めたりもしている時もある。うーん、これやっぱり豪族支配の村と同じ構図だ! 
 こんな感じで、自民党政治が延々と続いており、それで結果、悪政も続いている。こうなったら、野党側も死ぬほど飲みまくってみるしかない。毎日のように地域の全議員がベロンベロンになるまで飲みまくり、各地で朝まで大宴会を開きまくる。すると、自民党も黙ってられないので、「じゃ、こっちだってもっと派手に飲み歩いてやろうじゃねえの」ということに。すると、こっちの裏通りで自民党を中心とした巨大な大宴会が開かれると思えば、通りの向こうでは共産党あたりが狂乱のバカ騒ぎをしてたり、駅前では公明党が居酒屋を貸し切って題目を唱えながらどんちゃん騒ぎの大暴れしてたり、滅亡寸前の社民党は地域の全党員を総動員してバーのカウンターで大宴会! う〜ん、これはやばそうだ! そんな事態になったら、どうやっても顔がつながるローカルな社会では、地域住民は絶対にいろんな飲み会に巻き込まれることになる。すると、いや〜、「最近○×党の飲み会がきてるね〜、いま伸びてるな〜」なんていう評価基準になって支持率も左右するようになってくる。そうなったら各党も本気だ。立候補予定者は飲みっぷりの良さで選ぶようになってきたり、選挙ポスターも「朝まで飲みます!」「唄えるレパートリーは1000曲!」みたいなのとか出てきて景気良くなってくる。当然、議員は全員二日酔いなので、みんな大遅刻か青白い顔してじっとしてるだけなので、議会はほとんど機能しない。議論もゼロ。というか、元気だとしてもそれはむしろ夜のバカ騒ぎのための体力温存の時間帯だ。さあ、そうなってくると必要最低限の行政以外はストップするから、我々庶民たちは「おいおい、こっちでなんとかしないとやばいんじゃねえのか!?」と相談するようになってきて、街にコミュニケーションと自治、活気が戻ってくる。
 そういえば、幕末や明治初期ごろ、西洋の商人が日本に進出して来た頃、「日本人は昼間から酒ばかり飲んでいてやたら楽しそうなのはいいんだが、一切働かない!」と、頭を抱えたそうだ。しかし、なんだか知らないけど世の中うまく回ってたりもした。今こそまた諸外国に、我らが日本の奥ゆかしいマヌケ文化を知らしめるしかない!
 あ、それに議員全員が飲みまくって地元住民と遊びまくってたら各党平等で飲み仲間贔屓がなくなってくるので、もしかしたら政策とかが気になる人も出てくるかもしれない。

相手にしてあげない

 選挙が始まると、テレビでも駅前でも選挙選挙と大騒ぎになる。野党の大逆転で政権交代することもあるし、与党圧勝で政権が継続する場合もあるが、勝った側やその支持者は「勝った勝ったこれで社会は安泰だ」と大喜びするし、負けた方は「もう世の中おしまいだみんな死ぬしかない」と絶望に打ちひしがれる。でも、それって本当にそうなの? 多分、そこまで勝ち負けの落差があるってことは、政権をとったら強大な絶対権力を手に入れるとみんなが思いすぎてるからに違いない。強大な権力だって? ケッ、そんなの日本各地をウロつく我々民衆が許さないよ〜。例えば、日本の過去や諸外国を見ても右派政権だとしても野党や民衆の反体制派がやたら強かったらその政権はあまり勝手なことはできないし、逆に左派政権でも財界などの金持ち勢力、ネオナチみたいなのが強い力を持ってたら政府は何も変えられなかったりする。政権とればなんでもできるなんてことは大間違いなのだ。ただ、やはり権力というのは強い。権力を持ってれば、デモや反乱が多発してやばくなってきたらみんな捕まえちゃえばいいし、選挙で負けそうになったら選挙制度変えたりもできる(本当はやったらダメだと思うが、実際はどこでもやってる)。権力を持ってる側と持たない側で戦ったら、そりゃ権力側が有利なので、2対8ぐらい民衆側が力をつけないと権力にしがみつく悪は滅せない。よっしゃ! じゃ、それは後回しだ!
 そうなったら、あらかじめそこまで言うこと聞くのはやめておいて、権力者には「意外とみんな言うこと聞いてくれねえなあ…」と、常にガッカリさせるしかない。すると選挙後の一喜一憂も少し緩和されるはずだ。細かい話だと、納得できないルールは極力守らないとか、よくありがちな政府のプロパガンダと企業の営業がセットになったようなものになんとなく抵抗してみるとか。例えばこんな感じ?

 オール電化に興味を示さない/ブラウン管テレビに地デジチューナーつけていまだに使う/赤信号を渡ったり車道を横切る/東京オリンピックでも盛り上がらない/もしくはニセのオリンピックグッズ作ってひともうけを狙う/税金が上がったらその分納税をごまかす/最近IoTとか言って何でもかんでもネットに繋がったものが増えるのから逃げまくる/テレビを見ない/「マガ9」みたいな大してもうかりもしないけど意味がありそうなウェブマガジンをむやみに立ち上げてみる/電車の中で電話してみる/街中で「昔は偽造カードとかたくさんあって便利だったな〜」とか大声で言いまくる/パトカーの鍵を抜いて川に捨ててみる/銀行にハッキングして知らない人の貯金を100倍にしてみる…などなど
(あくまで例ね。本当にやっても知らないよ)

 ま、ともかく政府や財界は謎のルールや消費パターンなどをすぐコントロールしようとする。結果、欲しくもないものが欲しいと思わされて買ってしまったり、意味不明のルールが定着してきて気付いたら守らされるようになったり…。油断すると簡単に操られそうになる。それなので、それぞれ個々人でみんな感覚は違うけど、みんなが自分の感覚で行動するようになるだけでも実は結構効いてくるのだ。
 そしてもっと大事なのは、やりたくないことをやらないだけじゃなくて、勝手なことをし始めること。遊び、仕事、生活などなど、さすがに全部とはいかないが、いろんなことを極力自力でやってみるのは自分たちにとっても楽しいし、いい経験にもなるし、おまけに強大な権力者を生まない牽制にもなる。民衆の自治力が高ければ高いほど、政府は勝手なことをやりにくくなる。そう、権力者には常に「変な政治したら、またみんな言うこと聞かなくなっちゃって、『じゃいいよ、自分たちで勝手にやるから!』とか言い出すんだろうな〜」とビクビクさせておくのがいい。
 
 で、いま思い出した。何を隠そう、来年の2月に高円寺で計画されているイベントがあるんだけど、まさにそれもその一つ。高円寺の謎のスペースや面白い店などはたくさんあるので、そのあたりの近所のスペースなんかと協力して祭りをやってしまうと言う計画。最近、NO LIMITなどの海外との交流がメインだけど、交流だけじゃ意味がない。自分たちがどういうコミュニティを作ってるかっても大事なので、ホームタウン高円寺でもなんかやろうということ。ライブや、映画、バカイベント、朝食会から飲み会など色々ある予定なので、相当面白いことになるに違いない。その名も「高円寺一揆2018」。一揆の「揆」は、企(くわだ)て、はかりごと、などの意味。はかりごとを一つにすること。印象では短期的な現象だけをみて反乱や蜂起のように捉えられがちだけど、長期的な視点で見ると「支配体制に対抗する独自の自治社会」のこと。

 自民党が増えたら一揆も拡大する。そうして小さくても勝手なことをやり始める人たちが無数に増えていけば、いまの自民党的なものはおのずと滅んでいってしまうと確信している。いや〜、自民党対策、これしかないね!

松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。