『抑止力のことを学び抜いたら、究極の正解は「最低でも国外」』(鳩山友紀夫・柳澤協二/かもがわ出版)

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 民主党政権時、沖縄の普天間基地の移転先を「最低でも県外」と公約した鳩山元首相と、元防衛官僚の柳澤氏による対談である。鳩山氏が「抑止力」という言葉に頼り、移転を断念したことに対して、柳澤氏は、鳩山氏には沖縄県外に海兵隊を出すんだという強い意欲が欠けており、そもそも国を動かすための資質がなかったと批判。鳩山氏はそれを素直に受け止める。その上で語られる日本の外交や安全保障に関する内容が本書に記されている。
 鳩山氏によると、自分に「抑止力」の大切さを熱心に説いた一人は元外交官の岡本行夫氏だったという。一方、「ジャパンハンドラー」と呼ばれる米国政府関係者、たとえばジョゼフ・ナイ、マイケル・グリーン、リチャード・アーミテージら各氏が「辺野古が唯一の選択肢」と言って譲らなかったかといえばそうではなく、「私が体験から感じるのは、彼らがそういう考え方を押しつけてきているというよりも、日本の官僚の皆さん方が、特に外務官僚の皆さんが、あの人たちの威光を借りて自分たちの政策を推進しているように思えます」と語るのである。
 鳩山氏が抱く東アジア共同体構想はオバマ前大統領のアジア政策と親和性が高く、民主党立ち上げ当時に打ち出した「常時駐留なき安保」も、アメリカが頭から否定するものでは決してなかった。
 問題は、日米間に横たわっているもの以上に、国内に立ちはだかる壁ではないか。
「宇宙人」(日米の担当者の間では『スペース・プロブレム』と呼ばれていたそうだ)と揶揄される鳩山氏だが、それは彼の、普通の政治家にはない真っ正直さに起因しているのだと思う。鳩山氏は自分の失敗をもっと率直に語ってほしい。それは、したり顔でメディアに登場する専門家の言葉などとは比べものにならない、次世代にとって価値ある記録になるはずだ。
 首相官邸で自衛隊のイラク派遣の実務責任者を務めた柳澤氏の「誰も死なないで済んだという意味で、あれが限界だった」との言葉の重さも改めてかみ締めたい。

(芳地隆之)

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