改めて、戦争体験者の声に触れる(マガジン9編集部)

 ようやく長い梅雨が明け、夏らしい日差しになりました(それはそれで、暑すぎて辛い……と思うのは勝手なものですが)。戦後75年目の夏です。

 原爆忌や終戦記念日がある8月は、毎年数多くの慰霊行事や戦争関連の集会が開かれますが、今年は少し違った様相です。新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることで、中止・規模縮小を余儀なくされたところが多いよう。戦争体験者の高齢化が進み、直接の証言を聞くのが難しくなっていることは何年も前から指摘されていますが、離れた場所にいる人を訪ねることもためらってしまうこの夏は、その難しさにさらに拍車が掛かることになりそうです。

 けれど、同じようなことが二度と繰り返されないようにと、必死の思いで自身の経験を語り、綴ってきてくれた戦争体験者はこれまでにも数多くいました。もちろん十分とは言えないにせよ、その貴重な記録がさまざまな形で残されています。思うようには外出もできない夏、彼らの声に改めて触れ、未来へとつないでいく機会にしてはどうだろう、と思います。

 ほんの少しですが、マガ9掲載のインタビュー、書籍や映画など、戦争体験者の声に触れられるおすすめのコンテンツをご紹介します。

※来週の「マガジン9」更新はお休みです。次回の更新日は8月19日(水)となります。

●マガジン9掲載コンテンツ


・大田昌秀さんインタビュー(2005年8月10日公開記事)「戦争が終わっていないのに、なぜ次の戦争を用意するのか」
元沖縄県知事・大田昌秀さんへのインタビュー。少年兵部隊「鉄血勤皇隊」の一員として戦場を逃げ惑った壮絶な経験と、平和への強い思いが語られています。


・新藤兼人さんインタビュー(2007年8月8日公開記事)「いかなる正義の理由があっても、戦争には反対する」
映画監督の新藤兼人さん、95歳のときのインタビュー。自身の体験をもとにした映画『陸に上った軍艦』について、そして「一人の戦争経験者として言っておきたいこと」について語っていただいています。


・肥田舜太郞さんインタビュー(2006年8月30日公開記事)「『ヒロシマ・ナガサキ』だけでは核抑止論を乗り越えられない」 
広島で自らも被爆、戦後ずっと被爆者治療に尽力し続けた「被曝医師」肥田舜太郞さん。核の恐ろしさと、その被害が「隠されてきた」事実について語っています。

●その他のコンテンツ
【書籍】


・『東京大空襲―昭和20年3月10日の記録』(早乙女勝元著/岩波新書)

1971年刊のロングセラー。自身も東京大空襲の体験者である著者が、大空襲を生き延びた人々を訪ね、その声を集めた証言集。「庶民にとっての戦争」がリアルに描き出される。


・『ハポンを取り戻す フィリピン残留日本人の戦争と国籍回復』(河合弘之、猪俣典弘著/ころから)

日本敗戦後のフィリピンに取り残された、日本人を父親に持つ二世たち。戦後、〈ハポン=日本人〉と呼ばれて差別や憎悪の対象になった彼らは、自らのアイデンティティとなる日本国籍回復を求めて声をあげはじめている。その半生を聞き取った貴重な記録も多数収録されている。


・『日本人兵士─アジア・太平洋戦争の現実』(吉田裕著/中公新書)

〈「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う〉一冊。頻発する餓死、物資の窮乏、自殺に追い込まれる兵士……「勇猛なる日本軍」とはまったく違う戦争の現実が見えてくる。


・『子どもたちへ、今こそ伝える戦争 子どもの本の作家たち19人の真実』(講談社)

今年6月に亡くなった田畑精一さんをはじめ、19人の「子どもの本」作家が 、自分の子ども時代の戦争経験を振り返った「子どもたちへのメッセージ」。


・『戦中派不戦日記』(山田風太郎著/講談社文庫)

当時医学生で、のちに作家となった著者が「昭和20年」の1年間を記録した日記。激動の1年、当時の「普通の人々」が何を語り、どんな行動を取ったのかが克明に記されている。


・『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著・三浦みどり訳/岩波現代文庫)

ソ連で第二次世界大戦に、兵士や医師、看護婦として従軍した500人以上の女性による証言を治めた、ノーベル賞受賞作家のデビュー作。戦後、偏見の目を恐れて戦争体験をひた隠しにするしかなかったという女性たちの肉声が生々しい。


・『戦慄の記憶インパール』(NHKスペシャル取材班/岩波書店)

死者3万人。日本軍の不条理が煮詰められたような狂気の作戦「インパール作戦」の全容を、残された日誌や元兵士たちの証言からたどるNHKスペシャルの書籍化。

【映画】


・『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代監督/2018年)

地元の少年たちがゲリラ兵として戦場に駆り出されたり、スパイの疑いをかけられた住民が処刑されたり……これまでほとんど語られてこなかった沖縄での「スパイ戦」の実態を、貴重な証言とともに描き出すドキュメンタリー。さらなる証言を加えた書籍『証言 沖縄スパイ戦史』(三上智恵著/集英社新書)、『沖縄「戦争マラリア」』(大矢英代著/あけび書房)とともに。


・『日本鬼子 日中15年戦争・元皇軍兵士の告白』(松井稔監督/2000年)

元日本軍兵士14人が、中国大陸で自らが行った加害行為を振り返って証言したドキュメンタリー。殺害、略奪、拷問、強姦、人体実験……語られる内容の残虐さと、元兵士たちの淡々とした表情との落差が印象的。


・『ショア』(クロード・ランズマン監督/1985年)

ナチスドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の全容を、生存者や収容所の元職員、また「傍観者」となったポーランド人たちなど、全部で9時間にわたるさまざまな人々の証言からひもといていく。2015年にデジタルリマスター版も発売された。