第139回:『寝そべり主義者宣言・日本語版』刊行! 地下流通の極秘西日本ツアー(松本哉)

 中国で「寝そべり族」という、お金や出世、謎の努力を拒否してのんびり生き始めるという新ライフスタイルが若者たちを中心に流行っているという。去年から日本のメディアなどでも紹介され始めたが、そんな報道を見る限りでは「もう真面目に生きるのやーめた!」みたいな軽い感じだったり、あるいは競争社会に疲れて無気力になったようなイメージでも伝えられていた。
 しかし! ここ数年、ひたすらアジア圏のアンダーグラウンド文化交流に力を入れてきたこちらには、実際に続々と中国現地からの情報が入ってくる。そんな時、中国現地のとある地方で「寝そべり主義者宣言」という文書が発表され、中国アンダーグラウンドでばら撒かれ始めたという情報が入ってきた。で、さっそく中国からその原文を送ってもらうと、これがまたものすごい。「遊んで生きまーす」なんていう軽いノリじゃなく、ものすごくしっかりした宣言文で、完全な強い決意で金もうけ至上主義の社会を拒絶して、独自の新しいスタイルで生きることが呼びかけられている。もう思想書とか哲学書ぐらいのノリ。こんなヤバい文書が中国アンダーグラウンドでばら撒かれてるのか〜、と思うとこっちもテンション上がってくる。
 当然中国でも、公然と「奴隷のように働くのやめた」なんて言い出したら、国が傾きかねないので政府からしてもたまったもんじゃない。ってことで、政府寄りのメディアなんかもこぞって「あれは堕落した思想だ。マネしないほうがいいぞ」と牽制した記事を上げまくる。ところが、寝そべり主義のポジションの絶妙なところは、金もうけの資本家たちの奴隷になるんじゃなくて自由に生きようと呼びかけてるので、仮にも「共産主義」を掲げている中国政府からしたら文句の付け方も難しく、「ぐぬぬ〜、おまえら〜、うまいところ突きやがってー」ってところだろう。うまい!!
 そして、寝そべり主義のすごくいいところは、今のすごい競争社会と化した中国社会に反発すると同時に、西側の資本主義社会も拒絶しているところ。資本主義社会に反発するあまり安易に共産圏を擁護したり、または中国に対抗するあまりアメリカ万歳みたいになったりってよくあるけど、寝そべり主義は全部を否定する。寝そべりながら全方向にケンカ売る態度は超最高だ。
 さて! そんなわけで、そんな絶妙かつ最高な文書、せっかくなので日本でもばら撒いてみたら面白いんじゃないかってことで、日本語版を作ることに。まずは、台湾にいる友達に翻訳をお願いして、自分が解説を兼ねた序文を少し書いて、さらには90年代日本の寝そべり族こと「だめ連」の神長恒一氏にも一筆寄稿してもらって、ついに日本語版が完成!!! さあ、日本でもばら撒いてしまおう!!

見よ! これが寝そべり主義者宣言・日本語版

中国に学べ! アンダーグラウンド書籍の作製術

 さて、いざ日本でばら撒くとなったら、よほどの危険文書じゃない限りはいくらでもやり方がある。ネット上に文書を上げて拡散したりもできるし、どっかの出版社を説得して文章を足して本を出すやり方だってある。もちろんそれもいい。でも、せっかく中国でアンダーグラウンドでばら撒かれているんだったら、こっちもそれに倣って同じような感じでやるのも面白そうだ。実際、中国ではネットは無論のこと、流通している書籍も基本的には検閲が入る。なので、勝手なものを出そうとする場合は全て自前の設備で印刷製本をしないといけない。これ、もちろん中国だけじゃなく、厳しい国はどこもそうだし、日本だってうかうかしてられず、長らく続く自民党政権やら歯向かう者を訴えるのが好きな維新やらを見てると、日本だっていつ言論統制の時代が来るかわかったもんじゃない。当然そんな時代が来させないようにすることが大事だけど、生半可な言論統制じゃビクともしないぐらいの術をこちらも身につけておくのも大事なことだ。ってことで、今回この『宣言』発行にあたって、予行演習もかねて最初は中国のアンダーグラウンド方式でやってみることにした。お、楽しそう!!

 さて、まずは紙媒体を使うのが大原則。ネットなんて一瞬で削除されちゃうので、紙という物質にしてしまうのがいい。中国でも、若者たちの間でも「ネットの情報はすぐなくなるけど紙は残る」と言われて信頼が厚い媒体だ。ただ、出版社の場合は世が世なら当局の検閲が入るので発禁になったらおしまいだ。ということで、独自に刷ることになるけど、暗黒時代になったら印刷所に頼むのも不安がある。例えば中国で危険文書を刷ろうとしたり、戦前の日本で共産主義やら無政府主義の文書なんか刷ろうとしようもんなら、それを刷った印刷所が摘発されてしまう。大手印刷所はもちろん、自分の生活がかかってる町の印刷所のオヤジだって「それは刷れないよ〜」とビビってやってくれないはずだ。ということで、完全自前印刷がオススメ。
 具体的な話になると、リソグラフなどの印刷機があればいいけど、あれ高い上に超巨大なのでなかなか個人で手に入れるのは難しい。かといってコンビニのコピー機でいちいち刷ってたらメチャクチャ金がかかるので、それもオススメできない。となったら家庭用のプリンターになるけど、レーザープリンターがとてもオススメだ。インクジェットプリンターだと、インクがすぐ切れてクソ高くつくし、印字された文字も経年劣化ですぐ薄くなっちゃうし、ちょっと水に濡れたら滲んで読めなくなったりもする。レーザープリンターの場合は、安いトナー(インク)を買えば1枚あたり0.5円程度で刷れるし、速度も早い。本体の値段もここ数年ですごい安くなってきてるので安いのなら一万円台で手に入れられる。それに印刷機と違って「ガッチャーン、ガッチャーン」みたいな巨大な音は出ないので、もし悪の政権の憲兵隊の追手を逃げて地下のほら穴に隠れて印刷するとしてもバレずに済む(笑)。

全行程を自前でやるのが重要。ただ、シルクスクリーンは大変。

 そして、問題の表紙。ま、これも別に凝らずに普通に印刷すればレーザープリンターで十分なんだけど、なんとなくアンダーグラウンド感を出したかったので、黒い厚紙に白字のタイトルって感じにしたかった。で、リソグラフの白インクでやってみるかとか、昔のプリントゴッコを押し入れから出してくるかとかいろいろ考えた挙句、最終的にはいつもTシャツを作る時に使ってるシルクスクリーンにすることにした。これ、一枚一枚手刷りでやるので超面倒くさいんだけど、白の発色だけは絶対にキレイなはずなので、やむを得ず決定。ちなみにコスト的には、版を作るスクリーンが一枚1000円ぐらいしちゃうんだけど、あとは1000円程度のインクボトルで100枚は軽く刷れるので、一枚単価は数十円で済む。ま、問題は一枚一枚慎重に力を入れてインクをヘラで伸ばしつつ刷るので、結構疲れる。100枚刷るのにだいたい2時間ぐらいはかかるので、結構ヘトヘトになる。調子に乗って印刷しすぎてギックリ腰にでもなったら、治療代が印刷所に出すより高くなって元も子もないので、要注意だ。そう、革命の道はイバラの道なのだ。
 さて、そこまでいけばもう完成間近。あとはページを合わせて折ってホッチキスで止めればいい。これはL字になるホッチキスかでかい製本用のを使うことになるが、これもメルカリなどで安く売ってるのですぐ手に入る。
 この工程であれば家庭でもできる。シルクスクリーン機は「Tシャツくん」などの普及機があるものの、それでもちょっと高いし慣れも必要なので、一家に一台とはいかないと思うけど、知り合いや仲間内で一台ぐらいなら持ってても損はないマシンだ。
 と、そんなわけで、自分の店にあるものや自宅にあるものを引っ張り出してこの『宣言』を増産する態勢ができて、続々と刷り始めた。原稿を書くところから紙面のデザイン、印刷製本まで全部自前でできる。よーし、これでほら穴に逃げ込んでも大丈夫だ! さあ、皆さんも来るべき暗黒時代に備えて、どこに印刷機やレーザープリンタがあって、どこにシルクスクリーン機があるかを思い浮かべて、いざという時に備えよう! 人災は忘れた頃にやって来る。

表紙を刷りすぎてギックリ腰になりそうだったので助けを呼んだら、手伝ってくれた友人がギックリ腰に! 革命への道は険しい。立て飢えたるものよ、今ぞ日は近し!

お試し地下流通! 西日本先行発売ツアーを敢行!

 さあ、お次は流通。いくら秘密裏に独自に印刷しても、それをオンライン販売したんじゃ意味がない。そこで止められたら終わりだ。確かに今の時代だったら、普通にSNSなどで宣伝して自前のオンラインショップで販売すれば、書籍だったら全国一律百数十円程度で届けることができる。これは便利。なので通常はこれでもいい。しかし!! ここは暗黒時代が到来しても大丈夫なようにっていう予行演習。秘密裏に各地の人々の手に渡す手段も考えておかなければならない。
 そこで、普通に発売する前に、先行発売として西日本各地を半月ほどかけて極秘の地下販売ツアーをやってみることにした!!! そう、せっかく本という物体にしたので、あとは直接運んで各地に届ければいい。おおっ、なんだか地下組織ごっこみたいで面白くなってきたぞ! そしてさっそく、1月16日、先行販売用の100部を紙袋に入れて秘密裏に東京を立ち西日本に向かった。飛行機はX線検査でバレる可能性があり危険なので、やはりここは古典的に船! 横須賀から九州行きの船に乗り込んだ(←これは我ながらやり過ぎのような気もしたが…)。
 九州上陸後は、怪しい紙袋を持って各都市を渡り歩く。都市名で言うと、結果的には福岡、門司、広島、尾道、松山、高知、高松、岡山の順に回ったのだが、これも別に最初から計画して行ったわけではなく、完全に行き当たりばったり。まずはなんとか100部の密書を持って福岡の友人を訪ね、どう売り捌くか計画を練る。そこで、まずは地下販売っぽいことをやってみようとうことになり、その辺の中華系アジアスーパーのフードコートに身を潜め(雑多なところに潜む感じがスパイっぽくていい)、購入希望者が姿を現すのを待つ。あ、実はいきなりイカサマなんだけど、居場所はTwitter(@tsukiji14)で予告した。本当は秘密の暗号のシールをガードレールとかその辺のマヌケなチビッコの坊主頭に貼ったりとか、そんな伝達手段やってみたいな〜。ま、その辺は今後の課題。
 さて、そんな雑多な夜のフードコートに予告時間に行くと、すぐにスーツを着たサラリーマン風の勤勉そうな中年男性が現れ、ニヤリと笑みを浮かべ「あ、松本さんですよね。例の本ください!」と声をかけてくる。男は懐から600円を差し出し、こちらは紙袋から怪しい黒い本を出し、スッと差し出す。男は立ったまま素早くその密書を受け取ると「それじゃあ僕はこれで」と呟いて、福岡の夜の繁華街にその姿を消していく。ギャー、完全にスパイ映画だ! いや、暗殺指令の密書を受け取る忍者か!? すごいすごい。ってことで、記念すべき第一冊目を地下販売!! 大変だ、大変だ! 世界大混乱の始まりだ!!!! …諸君、バカにしてはいけない。こちらは大マジメだ。

広島でお世話になったバー「フレッシュ」。ここでも密かに販売している

 幸先のいいスタートを切った西日本地下販売ツアーだが、販売方法は各所によってバラバラで、その街にいる協力者(←友達のこと)次第。その流れで、先述の各都市を続々と周り、知り合いの書店や飲み屋やらを周り、書店に納品したり、飲み会を開催してその場で叩き売りをやったりして回った。ここで面白いのが、訪れる場所場所でいろんな新情報がたくさん入ってくること。分かってることではあるが、SNSなどだけをみていろんな各都市の人や店などの情報を仕入れていても、分かっている気になるだけで実際の様子や雰囲気などは全然違うし、やはり現地に行って顔を合わせてみないとわからない情報が満載だ。今回も、友人を手がかりに久々の都市に行ってみると、そこで現地の人が「最近はあそこがヤバい」とか「あの人に会った方がいい」「あの店に飲みにいけばこの街のとんでもないやつのことは大体わかる」とか、そんな重要情報が山ほど舞い込んでくる。で、その情報を手がかりにいろんなところに連れて行ってもらったり勝手に顔を出してみたりして、その街の面白い場所の情報が無限に広がっていく。そして、次に向かおうとしている街の情報もいろんな人が教えてくれて、「あの町に向かう途中の峠を越えるところにポツンとある店に寄ってみろ」とか「あの町ではあいつに気をつけろ」などなど。それを手がかりに次の町へ向かう。完全にドラクエの世界だ。

尾道の重要人物にして謎の案内人、丸ちゃん。尾道や四国情報をやたら教えてくれて助かった〜!

松山作戦「ポンコピピンで待つ」

 せっかくなので四国の松山の例を紹介してみよう。尾道から瀬戸内海を越えて松山に向かう前日、突如、松山に住むという人から「本一冊買いたいです」という連絡をもらった。松山は、10年以上昔に何度か泊まりに行った「ふじや」と言うゲストハウスが知り合いなぐらいで、あとは友達が教えてくれた面白そうな店が1〜2軒ある程度だったので、事前情報は少なかった。なので、その連絡もらった時は「おお! じゃあ直接手渡しますよ!」と返答。すると、そのアオトくんというその人から松山の謎の面白いオススメのアンダーグラウンド文化情報が山ほどメッセージで送られてくる。すごい! ありがたい!! 午後に松山に着くと言うと「まずはタカモトという店にご飯を食べに行ったらいいんじゃないか」という、ほとんど神のお告げみたいな情報がまだ見ぬアオト氏から矢継ぎ早に送られてくる。お告げ通り、そっちに行ってみる。お店はGoogleマップにも出てこない高本食堂。これ、アオト氏のお告げがなければたどり着かないところだった。で、着いてみるとすごいレトロでいい感じの古い建物にある食堂で、入ってみると食器や什器などもすごいオシャレないいお店。で、お店をやっている女性と、お客さんが数人ご飯を食べている。注文がてらお店の人に「アオトさん知ってますか? アオトさんの紹介できました!」と、まだ知りもしないアオト氏の名前を出すと、「あ、アオトくん! もちろん知ってますよ!」とのこと。いったい何者なんだ、アオト氏! で、お店の人と東京の高円寺から来てリサイクルショップとかいろいろやってますみたいな話をするうち「あ、素人の乱ですか!?」と知ってる様子! なんで知ってるんだ!? と思ったら「数年前まで高円寺に住んでて、松山に引っ越す時に家具とか売りましたよ!!」だって。ギャー、なんだそれ!! イベント行きましたとか本読みましたとか言ってくれる人ももちろん嬉しいんだけど、本業のリサイクルショップで売り買いしてくれたと聞くと、「うわー、そうなんですか!!」と、これまた謎の親近感が湧いて嬉しい。なるほど、謎のアオト氏、どうやら信用できるようだ。

松山の高本。ここで四国各地への道が拓けた。謎の引き出しも写ってるけど教えない。ネットの情報に頼ってはいけないのだ

 そして、ご飯を食べながら、いま寝そべり本を売り歩いてるというと、案の定「なんだそれは」ってことになり、中国でこんなことになってるなんて説明とかしてると、他のお客さんも「なんだなんだ、見せてみろ」なんてことになってきて、キリスト教伝来みたいになってくる。で、店の人はもちろん、そこのお客さんたちも結構いろんな地下文化的な情報とかも詳しくて、お客さんたちも結構たくさん本を買ってくれたりした(ありがたい!)。そして、このまま四国を回るというと、お店の人がまた親切で、高知はここに行ったらいいとか、高松にはこんなところがあるとか、いろいろ教えてくれて、謎の引き出しから四国重要スポットのショップカードを続々と出して渡してくれる。おお、これはすごい!! そしてその情報の中には、尾道で聞いた情報とか、他の場所で耳にしたものも混じってる。おおー、いろいろ繋がってるんだな〜。

 で、そのまま高本を後にして、久々のゲストハウス「ふじや」に行ってみる。10年ぶりぐらいで、しかも突然顔を出したけど、あっちゃんという店主は、まんまと酔っ払った顔をして居間のこたつに横たわって、お客さんたちと鍋を囲んでいる。10年以上ここで飲みながら寝てたんじゃないかってぐらい、最後に来た時と全く同じ光景! っていうか、すでに寝そべってるじゃねーか! すると、向こうも驚き「おおー、オマエなんでここにいるんだよー!!! とりあえず飲め!」と自動的に飲むことに。何しに松山に来たというので、中国で熱心に働くのをやめて寝そべって生きようってのが流行り出したから、その宣言文をばら撒いてる、というと、大爆笑して一冊買ってくれる。おお、なんと話が早い! で、久々なので積もる話をしているうちに、こちらも思い出し、アオト氏にいろいろ教えてもらったというと、「アオトか!!」と、あっちゃん。なんだ、何かあるのか!? するとこの世の者とは思えない重鎮感を出して「アオトは…」と、こたつに寝転がりながら遠い目をして「…インテリだな!」と、意味のわからないことを言い出すが、いいやつだという。おお、アオト氏評価が高い!

寝転んだまま起きない、ふじやの大御所。10数年経っても全く同じ光景という安心感!

 で、そうこうしていると、謎のお告げの主、アオト氏から「いまポリプロピレンにいる」という連絡が入る。なんだそれは!!! 聞けば自分の聞き間違えで正しくはポンコピピン。ゲストハウスの近くにできた、松山の訳のわからない人たちはみんなそこに行く最重要のBARだという。なにー、ってことでそっちに急行する。さあ、行って一目瞭然、その店構えを見ただけで「ここはクセ者の匂いが!」とアンダーグラウンド察知嗅覚に触れるような雰囲気! 間違いない! 店に入り「アオトさんいますか?」と言うと、「どうも!」と、好青年が座ってる。おお、ついに!! 聞けば東京に出てたこともあるけど、結局松山に帰ってきて働きながらバンドをやったり、いろんな謎の面白いスペースなんかで遊んでいるという。で、素人の乱のことや、東京の地下文化情報もいろいろ知ってて連絡してくれたとのこと。おおー、なるほど〜! ともかく今回の松山作戦のMVPだ。
 さて、そのポンコピピンも予想通り面白い店で、お客さんたちと話してみると共通の知り合いがいたり、日本各地の共通の知ってる店があったりと、もうその時点で既に安心する店。ちなみに、この店には他人に一杯ご馳走するチケットを置いていくことができるというシステムがあった。個人宛に「○○さんに一杯おごる」とかでもいいし、「赤い服着てる人に一杯」なんてのでもいいし、先払いでお金を払って店にチケットを置いて行く。で、当てはまる人はそのチケットを使って一杯飲むことができる。それいいね! ということで、自分も2杯分のチケットを買って置いてきた。「突如仕事を失って路頭に迷ってる人」と「高円寺から来た人」の2枚。当てはまる人は松山のポンコピピンに行ったら使っていいよ〜(もうなかったらごめんなさい)。

ポンコピピン。何かあることが一目瞭然。

予行演習まんまと成功! 寝そべり始めるしかない!

 さあ! ちょっと松山の話を例に長々と書いてみたけど、いろいろ差はあるものの各都市でこんな感じ。一つでも手がかりがあれば、ウロウロしてれば続々と芋づる式に面白い情報が入ってくる。…っていうか、寝そべり本の話だった。そうそう、そうやって町を歩く流れで、取り扱ってくれると申し出てくれた書店や飲食店などの店に続々と5部、10部と卸していって、その町にこの密書を残していく。本の取り扱いをしない店でも、居合わせた人が買ってくれたりすることもある。もう完全に直売。これ、長く滞在すればその分だけ知り合いも増えるし、その中には買ってくれたりする人も増えるんだろうな〜。本ってこういう広め方が一番いいなー、やっぱり。本って、どこでどうやって誰から手に入れたかってのが大事だからねー。
 話は戻るけど、もし暗黒の世の中になってもこの手法で行脚すれば、全国津々浦々へといろんな情報を伝えることはできる。時間は超かかるけど、暗黒のクソみたいな時代になったら、そんな社会に協力することなんて無意味だから、あれこれ理由をつけてサボりまくるのがいいので(寝そべり主義)、その余った時間を存分に使って各地へ飛ぶのがいい。そして、それはもちろん一人じゃなくて、みんなで手分けすれば結構早いスピードで情報を伝えることもできる。それに何より、そんな感じで行き来する旅は新しい友達に会ったり久々の人と飲みまくったり、めちゃくちゃ楽しいはず。しかも、暗黒の時代はネットが規制されまくるはずなので、現地に行って直接知る情報は今よりももっと新鮮で刺激的で面白すぎるに違いない。いやー、暗黒の時代なんて嫌だけど、なったらなったでちょっと面白そうでもあるな〜。

 そんなことで、1月末に岡山に到達した時点で在庫と時間が切れ、秘密裏に東京に帰還。あ、ちなみに高松もかなり面白かったんだけど、そちらは素人の乱残党ラジオで話したので、興味ある人はそちらを是非。そんなことで無事、スパイ映画級の極秘地下販売の西日本ツアーを終え、『寝そべり主義者宣言』も、現在は普通に店頭やオンラインでも販売を開始。中国の地下で出回り始めた文書の翻訳版が日本で出るなんて前代未聞のことなので、この機会に是非〜(素人の乱5号店オンラインショップでも買えます)。北海道から九州までいろんな独立書店が仕入れてくれたので、これを機にそこに足を運んでみるのもオススメ。

 いやはや、やれば何でもできるもんだな〜。というか、コロナのおかげで海外に出られず国内を回ることが多くなったけど、それはそれで面白くて楽しい! それに、中国の寝そべり主義に注目すると、どんな世の中になってもあの手この手でいろんな技を駆使して勝手に生きる逞しさを感じて勇気づけられる。さー、鎖国状態を機に日本でもやっちゃうよ〜。

『寝そべり主義者宣言・日本語版』
素人の乱5号店オンラインショップにて販売中!
https://shiroran5.base.shop/items/58955537

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松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。