「女性が動けば変わる」を、多様性が反映される政治の第一歩に(マガジン9編集部)

 統一地方選が終わりました。
 当選してよかった! という結果もたくさんあり(マガ9でコラム「チャコの区議会物語」を連載中の塚田ひさこさんが二期目当選、インタビューなどに登場いただいた中からも井﨑敦子さんはじめ、何人も当選された方が。おめでとうございます!)、一方で残念な結果もいくつかあり……という中、やっぱり注目したいのは「女性」の躍進! 東京23区では女性区長が倍増、東京・杉並区や武蔵野市、兵庫県宝塚市など、女性議員が半数またはそれ以上を超えた自治体もいくつも出てきました。さらには静岡県の下田市、熱海市など「女性ゼロ」議会に女性議員が誕生した自治体もあり、これまでにない「風」を感じます。
 もちろん「女性議員ならそれでいい」わけではありません。ただ、これまであまりに男性優位社会だった政治の世界に、少しでも多様性が持ち込まれたことには大きな意味があると感じます。以下、ジェンダーと政治について研究を続ける上智大学法学部教授、三浦まりさんへのインタビュー(2014年)から引用します。

三浦 女性、男性でもいろいろな人がいるし、個人差はあるのですが、それでも全体的な傾向として、女性のほうが暴力に対して非寛容、あるいは、他者に共感する力が強く、誰かが犯罪行為をしたときには、男性は「その人自身が悪い」と割り切る傾向があるのに対して、女性は貧困とか人間関係とか、社会全体の中に犯罪を位置付けて見る傾向があります。(中略)実証政治学においても、自己肯定感や政治的野心の男女差、関係性・リーダーシップの男女差が研究されています。

編集部 原発再稼働や憲法改正などの問題についても、男女によってかなり意見は分かれますね。

三浦 生命を大切にする傾向は女性のほうが強いですね。どの世論調査を見ても、原発再稼働への反対や憲法9条への支持は女性のほうが男性より20ポイント以上高いです。この男女差がどこから来るものなのか――身体構造の違いとか、生物学的なものに起因する部分があるのか、男女それぞれが社会の中でジェンダー・アイデンティティを身につけていく過程で生まれてくるものなのかは常に論争になっています。ただ、重要なのは男女でものの見方が違うのであれば、その多様性が政治に反映されないと、政策決定に歪みが生じてくるということです。

 社会の中の多様性を大事に、そしてその多様性が反映された政治に。「女性が動けば変わる」は、その第一歩なのだと思います。もちろん、その議員がどんな活動をしていくのか、私たちの声をちゃんと政治に反映してくれているのかどうかは、男性女性を問わず常にしっかりと見ていく必要があるでしょう。「ジェンダーと政治」について、下記のコンテンツなどもぜひあわせてお読みください。

※来週・5月3日(水)の「マガジン9」は、連休ということで更新はお休みをいただきます。次回更新は5月10日(水)です。

●シリーズ「女性が動けば変わる!」
http://www.magazine9.jp/category/article/womens/

●マガ9対談 太田啓子さん×山田裕子さん

(その1)経験ゼロからのスタート!育児をしながら挑戦した、初めての選挙 https://maga9.jp/taidan170517/


(その2)忘れられない、涙の議会デビュー 多様な議員が増えれば、政治は変わる https://maga9.jp/taidan170524/

●この人に聞きたい 谷口真由美さんに聞いた

(その1)「オッサン政治」に嫌気がさして立ち上げた「おばちゃん党」 http://www.magazine9.jp/interv/taniguchi/


(その2)自民党の改憲草案は、上から目線の「オッサンの押し付け」憲法 http://www.magazine9.jp/interv/taniguchi/


●女性が動けば変わる! 愛媛県・愛南町と東京・杉並区で起きたこと https://maga9.jp/230201-1/


●みんなの声がきちんと反映される地方議会に! 杉並区から始める「選挙のフェミナイゼーション」
https://maga9.jp/230111-1/


●女性と政治と社会のリアルな関係(金繁典子)
http://www.magazine9.jp/kanashige/

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