第579回:年末年始・支援情報! の巻(雨宮処凛)

 今年も残すところあとわずかだ。

 年の瀬を前にして、「年末年始の支援」の準備に追われている。役所の閉まるこの期間、住まいもお金もないまま路頭に迷う人が多く出ることが見込まれるためだ。一方、住まいはあっても残金わずかという人も多くいる。そんな人たちの相談を受けつけ、必要な場合は公的支援につなぎ、また食品などを配布する相談会が今年も多く開催される。

 昨年末から今年にかけての年末年始も多くの相談会が開催された。大久保公園の「コロナ被害相談村」には344人が訪れ、うち62人が女性だった。その62人のうち、実に29%が住まいのない状態。年越し派遣村の際、6日間で505人が訪れ、うち女性は5人だけだったことを思うと、コロナ禍の「女性不況」という言葉がより重く響く。

 年越し大人食堂では、約700食のお弁当が配られた。ベビーカーを押した母親や家族連れの姿もあり、外国人も多く訪れた。

 その他、都内各地の炊き出しや食品配布には長蛇の列ができた。

 そうして迎えるこの年末年始。今回は、前回を上回る人が来るのではないかと多くの支援者が口にする。

 なぜなら、緊急事態宣言が明けたものの、コロナ禍が始まって2年が経とうという今、都内の食品配布や炊き出しに並ぶ人の数は過去最高を更新し続けているからだ。

 例えば新宿で毎週土曜に開催されている「もやい」と「新宿ごはんプラス」の食品配布には、コロナ前は80人ほどしか来なかったのがコロナ禍でどんどん増え続け、9月25日には394人、11月20日には408人と過去最高を更新し続けている。

 一方、池袋の「TENOHASI」の炊き出しに並ぶのは、コロナ前は150人ほどだったのが、9月25日には416人、11月13日には434人、11月27日には過去最高となる472人にまで増えている。

 コロナ以前は近隣で野宿する中高年男性がメインだった炊き出しに、今や女性や子連れ、カップルが並ぶ光景は珍しくなくなった。家はあるものの、コロナで減収したり、失業期間が長引いている人たちが炊き出しや食品配布を利用するようになったためだ。

 緊急事態宣言が明け、街は活気を取り戻しているように見える。しかし、コロナ禍で失業したり減収したりした人々の困窮の度合いはより深刻になっている。電話相談の経過を見ても、昨年には労働相談が多かったのが現在は生活苦の相談が多くなり、相談者に占める無職率は高くなり、一方で「滞納・借金」の相談が増えている。滞納しているのは、家賃や住宅ローンだけでなく、税金や公的保険料、または電気・ガス・水道、そして携帯といったライフラインだ。

 そんな年の瀬、「新型コロナ災害緊急アクション」には自衛隊を名乗る人から就職斡旋についてのメールが来た。それを見て、「また来たか」と既視感にクラクラした。リーマンショックの時と同じことが繰り返されている。困窮者が増えると、支援団体に自衛隊からリクルートが来るという構図だ。

 さて、年末年始、多くの相談会が企画されている。

 以下、支援団体などによる相談会などの一覧だ。

 また、この年末年始も前回同様、東京都では住まいのない人に無料でホテルが提供される。それも含めて以下、詳細だ。

■12月25日(土)・26日(日)
女性による女性のための相談会 食品配布・相談
【場所】新宿区立大久保公園
【時間】
25日(土)11時〜16時30分(受付時間)
26日(日)10時〜16時00分(受付時間)

■12月29日(水)
TENOHASI 衣類・食料支援・相談
【場所】東池袋中央公園
【時間】
15時45分〜衣類配布
17時〜医療相談・生活相談
18時〜(なくなり次第終了) 炊き出し

■12月30日(木)
年越し大人食堂 衣類・食料支援・相談
【場所】四谷・聖イグナチオ教会
【時間】12時〜17時30分

■12月31日(金)
コロナ被害相談村 食料支援・相談
【場所】新宿区立大久保公園
【時間】11時〜17時

■12月31日(金)
TENOHASI 衣類・食料支援・相談
【場所】東池袋中央公園
【時間】
17時〜医療相談・生活相談
18時〜(なくなり次第終了) 炊き出し

■1月1日(土)
コロナ被害相談村 食料支援・相談
【場所】新宿区立大久保公園
【時間】10時〜16時

■1月1日(土)
新宿ごはんプラス・もやい 食品配布・相談
【場所】東京都庁の下(都営大江戸線「都庁前駅」E1出口)
【時間】14時〜

■1月2日(日)
TENOHASI 衣類・食料支援・相談
【場所】東池袋中央公園
【時間】
17時〜医療相談・生活相談
18時〜(なくなり次第終了) 炊き出し

■1月3日(月)
年越し大人食堂 衣類・食料支援・相談
【場所】四谷・聖イグナチオ教会
【時間】12時〜17時30分

■1月8日(土)、9日(日)
女性による女性のための相談会 食品配布・相談
【場所】新宿区立大久保公園
【時間】
8日(土)11時〜16時30分(受付時間)
9日(日)10時〜16時00分(受付時間)

年末年始、東京都のビジネスホテル提供
・12月27日〜1月5日まで
・対象者:新型コロナウイルス感染症の影響による失業等により、住まいを失った方等
・相談先: TOKYOチャレンジネット(新宿区歌舞伎町2-44-1 ハイジア3F)
・問い合わせ先
0120-874-225
0120-874-505(女性専用ダイヤル)
〈TOKYOチャレンジネットの開所予定〉
開所日:月曜日から土曜日まで(日曜日・祝日は休み)
※年末年始の臨時開所日は12月29日・30日・1月2日(10時から17時まで)

 また、北畠拓也さんのサイトでも詳しい年末年始の情報が見られる。

 これらの相談会、私はほぼ参加する予定だ。寄付したいという方がいたら、振込先などは、それぞれの団体のサイトやTwitterなどで確認してほしい。

 コロナ禍2年目の年末年始。この2年弱、ずーっと駆け回っている支援者のみんなが正月に休めるのはいつになるのだろう……。思わず遠い目になりながらも、年末年始の準備をしている。

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雨宮処凛
あまみや・かりん:作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。06年より格差・貧困問題に取り組む。07年に出版した『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。近著に『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)、『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社)、『祝祭の陰で 2020-2021 コロナ禍と五輪の列島を歩く』(岩波書店)。反貧困ネットワーク世話人。「週刊金曜日」編集委員。