2023年1月31日
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家なき人のとなりで見る社会

小林美穂子さんが活動する一般社団法人「つくろい東京ファンド」では、生活に困窮した人たちに住まいをまず確保したうえで、居場所づくりを含めた生活を支える活動を続けています。この連載では、小林さんが日々SNSなどに綴ってきた記録などをもとに、「家なき人のとなり」にいながら見えてきた景色、考えてきたことを伝えていただきます。

第25回:差別・排外主義に抗う市民たちが見せる希望~共生は国を救う~(小林美穂子)

年末も押し迫った昨年12月26日、ホームレス化した難民・仮放免者4世帯の住まいとなる「りんじんハウス」を、つくろいスタッフやボランティアの皆さん総出で掃除をした。労働を許されず、健康保険の加入もできず、あらゆる社会保障からも除外され…

第24回:「中高年シングル女性の生活状況実態調査」報告書から聞こえる悲鳴(小林美穂子)

12月22日木曜日は、私が担当している「カフェ潮の路」の年内最終営業日だった。カフェでは経済的に余裕のある人が、余裕のない人のために料金を先払いする「お福わけ券」というシステムがある。コロナ禍でこの券を利用する人たちが急増したのだが…

第23回:「ダメ。ゼッタイ。」の無意味さ。いいかげんにハームリダクションに舵を切れ(小林美穂子)

「こっわ…」。展示された300点以上のポスターを見始めた時に、思わず口から漏れた言葉だった。薬物乱用防止イベントの会場に並べられたポスターには、地元の中学生が描いた頭蓋骨や、落下する女性のシルエット、顔半分が溶けたり、歪んだりして…

第22回:カップラーメン炎上が語るもの、バッシングにかき消された本意(小林美穂子)

9月24日にカップラーメンの値段をツイートした以下の連ツイ(連続ツイート)が炎上した。昼食代を節約しようとカップヌードルを買ったら231円。思わずレジの金額表示を三度見した。路上で暮らしながら空き缶や段ボール収集で雀の涙ほどの現金収…

第21回:粗末に扱っていい命(小林美穂子)

「ねぇねぇ、165万円って、なんでそんな少ないの?」。スマホを指で繰りながら私に聞いてきたティーンエイジャーは、日本に住む外国人の境遇に興味を持っている。茨城県牛久市の入管施設「東日本入国管理センター」で2014年、収容中のカメルー…

第20回:透明な存在、ネットカフェ生活15年の男性から見た社会(小林美穂子)

まだ6月だというのに35℃超えを記録した猛暑日、私は西多摩のある市を目指していた。体を壊して失職し、生活保護の申請を決意した河合さん(仮名)に会うために。彼から扶養照会に関する相談を受けていた。河合さんは若い時分に結婚をし、子ども…

第19回:「扶養照会は原則しなければならない」は本当か? 福祉事務所の言い分を検証する(小林美穂子)

以前にこのコラムにも書いたが、全国から相談が来るのでしつこく書いておきたい。2021年2月26日、そして3月30日の二度にわたり、厚生労働省は生活保護申請に伴う扶養照会の運用を一部改正した事務連絡を各自治体に向けて発出した。この事務連…

第18回:難民・移民フェスで見た夢(小林美穂子)

2022年6月4日の土曜日、晴天に恵まれたこの日、私は練馬区にて開催された「難民・移民フェス」にいそいそと出かけて行った。チラシには、練馬駅徒歩1分とある。地図を見るまでもなく、熱気と人だかりがする方向へ吸い寄せられるように歩いてい…

第17回:閉そく感と絶望の中に差す光(小林美穂子)

夢のような午後を過ごした。一夜明けた曇り空の日曜日。幸せな時間の余韻が、日常に混じって徐々に薄れていくのに抗うように、私は昨日のライブを反芻している。その頭の中を「森の木陰でどんじゃらほい」の童謡が流れている。そう、まさにそんな…

第16回:死者とともに生きる(小林美穂子)

シェルターとして使っている借り上げアパートの一室を開けると、異臭が噴き出すように流れ出てきたが私は怯まない。シェルター事業をやっていれば、ゴミ屋敷と化した部屋の掃除は慣れっこになる。もちろん、中にはハウスクリーニングでもしてくれ…