2024年10月22日

笠井千晶さんに聞いた:再審無罪となった袴田巖さんの戦いの軌跡~映画『拳と祈り —袴田巖の生涯—』~

静岡地方裁判所は9月26日、1966年に当時の静岡県清水市で味噌製造会社の専務一家4人が殺害された強盗殺人放火事件(袴田事件)について、捜査機関によって証拠が捏造されたと指摘し、死刑が確定していた袴田巖さんに「再審無罪」を言い渡しまし…

敗者は「生活と労働」だった──竹信三恵子さんが語る、東京都知事選から学ぶこと

「この選挙の敗者は、生活と労働だった」。7月の東京都知事選の後、ジャーナリストの竹信三恵子さんがSNSに書かれていた言葉が、ずっと頭に残っていました。「生活と労働」が敗者だったとは、どういうことか。その背景には、どんな状況があった…

第695回:「どこにいますか?」「なぜ沈黙を貫いているのですか?」〜母と親友を亡くしたガザの若者からのメッセージ。の巻(雨宮処凛)

ジェノサイドが開始された10月7日から、丸一年経ちました。この一年で、私たちは前例のない規模の破壊を目撃し、愛する者たちを失い、かつて美しい思い出に溢れていた私たちの人生は悪夢へと一転しました。私たちはこの悲劇の中心を生きています…
「言葉の海へ」鈴木耕

第329回:おかしな選挙制度(鈴木耕)

太平洋を挟んでこっちでもあっちでも、選挙選挙選挙とうるさい今日この頃。だから、少しはぼくも考えてみる。アメリカの大統領選挙で、ぼくがいつも不思議に思うのは「選挙人制度」というやつだ。各州にそれぞれ人口に比例した選挙人が割り当てら…

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024年米国/アレックス・ガーランド監督)

タイトルのとおり、アメリカの内戦を描いた映画である。それがなぜ勃発したのかの説明はない。アメリカ合衆国に反旗を翻したカリフォルニア州とテキサス州によるWF(Western Forces=西部同盟)が、ワシントンD.C.に向って進撃している状況が…

想田和弘さん&柏木規与子さんに聞いた:牛窓で暮らして、「観察」して見えたこと──映画『五香宮の猫』

連載コラム「観察する日々」でもおなじみ、想田和弘監督の新作映画『五香宮の猫』がまもなく公開されます。3年半前、パートナーの柏木規与子さんとともに、米国・NYから岡山県の港町・牛窓に移住した想田さん。その牛窓で神社に集う猫と人間の…

第694回:唐沢俊一氏の訃報に、サブカルと孤独死とヘイトと「受援力」などについて考えた。の巻(雨宮処凛)

9月末、唐沢俊一氏が亡くなったことが報じられた。享年66。2000年代に放送されたバラエティー番組「トリビアの泉」のスーパーバイザーをつとめ、「トンデモ本」などを品評する「と学会」などの仕事で注目された「雑学王」。90年代にサブカ…
「言葉の海へ」鈴木耕

第328回:ジャーナリストよ、書け映せ伝えよ(鈴木耕)

テレビニュースはひどいことや悲しいことばかり。ことに、中東の戦争については、目を背けたくなるようなニュースが多すぎる。幼子の死骸を抱きながら泣く父親母親。血を滲ませた白い布でくるまれた小さな塊が並べられた崩れた病院の庭。もはや葬…

第693回:袴田さんの無罪に思う〜私がこれまで出会った冤罪被害者の服役期間、合計で125年〜の巻(雨宮処凛)

「袴田巌さん、再審で無罪」。ニュース速報で流れたその文字に、思わず「おおお!」と言いながら立ち上がっていた。身体中から熱いものが溢れ出しそうな、そんな気持ちに包まれた。そして「よかった……」と口にしたものの、失われた時間のあま…

第42回:あなたの町は何色? 市民の手で福祉行政を修復するために。正しい生活保護率増減マップの歩き方(小林美穂子)

9月17日、生活保護の現場職員(現/元ケースワーカー含む)や研究者らで作られる有志の市民団体「生活保護情報グループ」が2012年~2021年までの生活保護率増減マップをネット上で公表した。国内970地域を対象にしたマップは、過去10年間の各…
「言葉の海へ」鈴木耕

第327回:一枚の写真(鈴木耕)

9月27日(金)、ぼくは依頼されていた書評原稿を書きながら、時々自民党総裁選の中継を見ていた。途中で、胸が苦しくなった。じわりと汗がにじんだ。こういうのを脂汗というのだろう。なんと、高市早苗氏が第1回投票でトップに立ったというで

『ガザからの報告』(2024年日本/土井敏邦監督)

「メディアでは毎日、『ガザ地区で〇〇〇人が亡くなった。すでに戦闘開始からの死者は〇万人に上る』という報じられ方がされています。それは単なるマスの数字であって、そこから人の顔は見えません。ガザに暮らす人々はどんな暮らしをしている…

第692回:「勝ち組ロスジェネ」が世代間対立を煽った果てに起こり得る最悪な未来予想図〜「老害」「高齢者バッシング」の罠と石丸伸二氏的なもの(雨宮処凛)

「いま、男性は平均で約193万円の公的年金を受け取っています(2022年の老齢年金受給者実態調査)。月額だと16万円です」。9月19日の朝日新聞に掲載された「自分に最適な受給開始年齢は」という記事に書かれた一文を読んで、ひっくり返りそ…

第140回:配信サービスの普及と映画の苦しい台所事情(想田和弘)

10月19日から日本各地で劇場公開される拙作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)は、僕にとっては4年ぶりの新作である。今まではだいたい1〜2年に1本は公開してきたので、こんなに間があいたことはない。久しぶりに映画界の皆さんと仕事を…

第41回:死ねというのか。包丁を手に、震えながら泣いた日(小林美穂子)

2023年12月、群馬県桐生市在住のNさん(48歳)の呂律が回らなくなり、嘔吐が続いた。胃薬で紛らせようとしたが吐き気はおさまらず、異常を感じて救急車を呼んだ。脳梗塞と診断され、治療、リハビリを経て今年2月末に退院した。入院中にソーシ…


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