2024年7月27日
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想田和弘

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想田和弘(そうだ かずひろ): 映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。93年からニューヨーク在住。BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』『精神』『Peace』『演劇1』『演劇2』『選挙2』『牡蠣工場』『港町』『ザ・ビッグハウス』などがあり、海外映画祭などで受賞多数。最新作『精神0』はベルリン国際映画祭でエキュメニカル賞受賞。著書に『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』『観察する男』『熱狂なきファシズム』など多数。

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第138回:選挙が終わった後に選挙特番をやるのが当たり前になってしまってよいのか(想田和弘)

先日の東京都知事選挙の様子を遠く牛窓から眺めながら、改めて痛感したことがある。マスメディア、とくにテレビが、報道機関としての責任をほとんど放棄しているのではないか、ということである。その最たるものが、選挙特番である。テレビ各局は…

第137回:「AIゆりこ」と「答弁拒否」に抱く素朴な疑問(想田和弘)

ソーシャルメディアで「AIゆりこ」なるものの動画を目にしたとき、都知事選を前に、誰かが小池百合子都知事を揶揄するパロディ動画を作ったのだろうと、つい誤解した。なぜならAIとは、「人間でなくてもできる仕事を、人間の代わりにするもの」で…

第136回:映画館を“ぶっちゃけトーク”の場に。シネマ放談の会(想田和弘)

岡山市には、シネマ・クレールという2スクリーンだけの小さな映画館がある。市内唯一の独立系アートハウス映画館(ミニシアター)である。僕の住む牛窓からシネマ・クレールへは、車で40〜50分かかる。映画を観るには、ちょっと遠い道のりだ。し…

第135回:世界各地の映画祭を巡りながら感じ考える(想田和弘)

新作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)がベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映されたのを皮切りに、世界各地の映画祭巡りが始まった。ベルリンの直後にはEast Asia Film Festival Ireland(アイルランド東アジア映画祭)へ参加し…

第134回:波乱のベルリン映画祭で目撃し、体感し、考えたこと(想田和弘)

2月に開かれた第74回ベルリン国際映画祭に拙作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)が招待され、参加した。その直後、アイルランドでの上映ツアーに招かれ、いまこの原稿は首都ダブリンのホテルで書いている。今年のベルリン映画祭は、…

第133回:8年ぶりにiPhoneを買い替えて思ったこと(想田和弘)

バッテリーを何度か交換しながら8年間大事に使ってきたiPhone6Sの動作が、鈍くなってきた。それに頻繁にフリーズする。さすがに寿命を迎えているようなので、新しいのを買いに行くことにした。妻のスマホも同時期に買った同モデルである。だが、…

第132回:能登半島地震に思うこと(想田和弘)

元日に発生した能登半島地震で起きた被害の甚大さが、徐々に明らかになりつつある。石川県によれば、1月8日午前の時点で161人の方が亡くなり、今なお103人の方々の安否が不明である。地震から1週間以上経過した今でも、多くの地域で停電や断…

第131回:独立系映画館のピンチと可能性(想田和弘)

全国の独立系映画館、いわゆる「ミニシアター」とか「アートハウス」と呼ばれる映画館の多くが、現在かなり大きなピンチを迎えていることをご存じだろうか。岩波ホールやテアトル梅田、名古屋シネマテーク、京都みなみ会館などが閉館を余儀なくさ…

第130回:瀕死の「大学の自治」に最後のとどめ? 国立大学法人法改悪案(想田和弘)

今国会では、首相らの給料を46万円アップさせる法案が非難を集めて炎上している。だが、それよりも将来にわたって禍根を残し、何百倍も有害だと思われる法案が、メディアや主権者にあまり注目されることもなく、衆議院本会議で審議にかけられてい…

第129回:暴力に暴力で応じても解決にはならない(想田和弘)

パレスチナのガザ地区を実効支配するハマスとイスラエル軍が、大規模で無慈悲な殺し合いを始めてしまい、毎日夥しい数の犠牲者が出ている。 事態の推移に心を痛めながら、あらためて確信を深めたことがある。それは、暴力に対して暴力で応じても決…