2024年4月26日
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想田和弘

想田和弘
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想田和弘(そうだ かずひろ): 映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。93年からニューヨーク在住。BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』『精神』『Peace』『演劇1』『演劇2』『選挙2』『牡蠣工場』『港町』『ザ・ビッグハウス』などがあり、海外映画祭などで受賞多数。最新作『精神0』はベルリン国際映画祭でエキュメニカル賞受賞。著書に『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』『観察する男』『熱狂なきファシズム』など多数。

第115回:10万年の問題を10年ちょっとで忘れてしまった岸田首相(想田和弘)

岸田文雄首相は8月24日、原発の新増設について検討する考えを示した。新増設に舵を切るならば、福島第一原発事故以降新増設を抑制してきた国の政策の大転換である。岸田氏は「脱炭素」を新増設の口実としているようだが、ため息が出るほど、不誠…

第114回:参議院選挙で投票する前に、自民党の改憲草案を読んでほしい。「知らなかった」と後悔しないために(想田和弘)

もう手遅れなのかもしれないが、やはり書かずにはいられない。参議院選挙の投票日が近づいている。情勢調査では、自民・公明・維新が伸び、野党は大敗を喫する見込みだという。立憲民主党が先の衆議院選挙の敗北の原因を見誤り、野党共闘をほとん…

第113回:最高裁大法廷で国民審査法に違憲判決。原告の一人として思うこと。(想田和弘)

国を相手取って裁判を起こすような機会は、たびたびあるものではないが、その判決が最高裁裁判官15人全員が揃う最高裁大法廷で下されることは、もっと稀だろう。しかし5月25日、その稀有な事態が、僕ら5人の原告の人生に起きた。最高裁大法廷は、…

第112回:「くじ引き民主主義」を導入せよ。政治を「みんなのもの」に取り戻すために(想田和弘)

細田博之衆院議長が5月10日、東京都内で開かれたパーティーで、次のように発言した。「いったい、いくら歳費をもらっていると思いますか。議長になってもね、毎月もらう歳費は100万円しかない。“しか”というと怒られちゃうけど、そんなにもらって…

第111回:ジーン・シャープの非暴力抵抗理論(想田和弘)

前回(3月9日)、僕は本欄に「私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対してどう向き合うべきか」と題するコラムを書いた。そして4月15日朝日新聞のオピニオン欄「耕論」には「非暴力抵抗こそ民を守る」と題する談話を寄せた。以来、僕…

第110回:私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対してどう向き合うべきか(想田和弘)

ロシアによるウクライナへの侵略行為は、人道的にも、国際法上も、許されぬものである。したがって国際法的には、主権国家であるウクライナのゼレンスキー大統領には、ロシアに対する「自衛のための戦争」を遂行する権利があるのだろう。だから彼…

第109回:岩波ホールの閉館と映画界の慢性的問題(想田和弘)

東京・神保町の老舗の映画館・岩波ホールが、今年7月に閉館することになった。同ホールのウェブサイトによると、「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断」したことが理由だという。映画界や映画ファンの間…

第108回:過去とつながるタイムマシン(想田和弘)

ひょんなことから、牛窓の自宅の近くにある築95年の古くて立派な蔵をお借りすることになった。きっかけは、去年の秋、この蔵が近々取り壊されるという噂を聞いたことだ。僕も妻の柏木規与子も仰天して、「そんなもったいない。壊すくらいなら、何…

第107回:太陽の運行と人間の生活(想田和弘)

牛窓に住み始めて、気づいたことがある。季節によって、自分の起床する時間が変化するのである。冬から春へ、春から夏へと近づき、日が昇る時間が早まると、それにつれて起床時間も早まる。逆に夏から秋へ、秋から冬へと近づいていくと、起床時間…

第106回:在外邦人には渡してもらえぬ「バッテンをつける紙」(想田和弘)

先日行われた衆議院総選挙では、最高裁判事の国民審査がいつになく注目された。というのも、最高裁が今年6月、夫婦同姓を強制する現行法について、「合憲」との判断を下したからだ。この判断を受け入れがたく感じている僕らにとっては、「合憲」...