2024年7月27日
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想田和弘

想田和弘
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想田和弘(そうだ かずひろ): 映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。93年からニューヨーク在住。BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』『精神』『Peace』『演劇1』『演劇2』『選挙2』『牡蠣工場』『港町』『ザ・ビッグハウス』などがあり、海外映画祭などで受賞多数。最新作『精神0』はベルリン国際映画祭でエキュメニカル賞受賞。著書に『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』『観察する男』『熱狂なきファシズム』など多数。

第118回:水道橋博士参議院議員の休職と議会の多様性(想田和弘)

れいわ新選組の水道橋博士参議院議員が、うつ病のため休職することになった。ソーシャルメディアでは、「職務が担えないなら辞職すべき」「休むなら給料を返上しろ」などという声も聞かれる。しかし、人間誰しも、調子が良いときもあれば、悪い…

第117回:最高裁判事国民審査の在外投票 改正法案が閣議決定されたけれど(想田和弘)

最高裁判所の裁判官の国民審査で、海外に住む日本人も投票できるようにする法案が、10月14日に閣議決定された。今年5月25日に下された最高裁大法廷の判決を受けて、ついに日本政府が重い腰を上げたのである。5月の判決で最高裁は、一審、二審に…

第116回:高潮警報発令。牛窓に迫る台風14号体験記(想田和弘)

この原稿は、9月19日(月)の午前中に書いている。観測史上最強の部類に入るという台風14号が九州を通り抜け、いままさに僕と妻の住む瀬戸内海の港町・牛窓(岡山県瀬戸内市)に接近しつつある。すでに昨日から雨が降り始め、暴風が吹き荒んで…

第115回:10万年の問題を10年ちょっとで忘れてしまった岸田首相(想田和弘)

岸田文雄首相は8月24日、原発の新増設について検討する考えを示した。新増設に舵を切るならば、福島第一原発事故以降新増設を抑制してきた国の政策の大転換である。岸田氏は「脱炭素」を新増設の口実としているようだが、ため息が出るほど、不誠…

第114回:参議院選挙で投票する前に、自民党の改憲草案を読んでほしい。「知らなかった」と後悔しないために(想田和弘)

もう手遅れなのかもしれないが、やはり書かずにはいられない。参議院選挙の投票日が近づいている。情勢調査では、自民・公明・維新が伸び、野党は大敗を喫する見込みだという。立憲民主党が先の衆議院選挙の敗北の原因を見誤り、野党共闘をほとん…

第113回:最高裁大法廷で国民審査法に違憲判決。原告の一人として思うこと。(想田和弘)

国を相手取って裁判を起こすような機会は、たびたびあるものではないが、その判決が最高裁裁判官15人全員が揃う最高裁大法廷で下されることは、もっと稀だろう。しかし5月25日、その稀有な事態が、僕ら5人の原告の人生に起きた。最高裁大法廷は、…

第112回:「くじ引き民主主義」を導入せよ。政治を「みんなのもの」に取り戻すために(想田和弘)

細田博之衆院議長が5月10日、東京都内で開かれたパーティーで、次のように発言した。「いったい、いくら歳費をもらっていると思いますか。議長になってもね、毎月もらう歳費は100万円しかない。“しか”というと怒られちゃうけど、そんなにもらって…

第111回:ジーン・シャープの非暴力抵抗理論(想田和弘)

前回(3月9日)、僕は本欄に「私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対してどう向き合うべきか」と題するコラムを書いた。そして4月15日朝日新聞のオピニオン欄「耕論」には「非暴力抵抗こそ民を守る」と題する談話を寄せた。以来、僕…

第110回:私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対してどう向き合うべきか(想田和弘)

ロシアによるウクライナへの侵略行為は、人道的にも、国際法上も、許されぬものである。したがって国際法的には、主権国家であるウクライナのゼレンスキー大統領には、ロシアに対する「自衛のための戦争」を遂行する権利があるのだろう。だから彼…

第109回:岩波ホールの閉館と映画界の慢性的問題(想田和弘)

東京・神保町の老舗の映画館・岩波ホールが、今年7月に閉館することになった。同ホールのウェブサイトによると、「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断」したことが理由だという。映画界や映画ファンの間…