2022年9月29日
ホーム マガ9レビュー

マガ9レビュー

本、DVD、展覧会、イベント、芝居、などなど。マガ9的視点で批評、紹介いたします。

『KLEO/クレオ』(2022年ドイツ・NETFLIX/監督 ヴィヴィアヌ・アンデレゲン、ヤノ・ベン・チャーバーネ)

「あいつら、尋問する前にシャワーを浴びせるんだよ、どうしてかわかるかい?」。1989年冬。ベルリンの壁が崩壊して間もないころ、東ベルリンのカフェで知り合った男性から聞かれた。彼はかつて民主化運動に携わったかどでシュタージ(東ドイツ国…

『興亡の世界史 大日本・満州帝国の遺産』(姜尚中・玄武岩著/講談社学術文庫)

シリーズ「興亡の世界史」の第5巻として本書が刊行されたのは2010年5月(文庫化は2016年6月)。いまあらためて読み返すと、本書のもつアクチュアリティはより高まっていることを実感する。大日本帝国が中国東北の地につくった満州国の中枢で経…

『失われた時の中で』(2022年日本/坂田雅子監督)

愛らしい双子の男の子。一人は好奇心一杯に目を輝かせて笑っているが、もう一人の表情はうつろ。そして二人の下半身はひとつにつながっている。ベトナムの結合双生児ベトちゃんドクちゃんの姿を新聞、テレビで目にしたときの衝撃は今でも忘れら…

『フィンランド 幸せのメソッド』(堀内都喜子著/集英社新書)

のっけから、2019年12月に第46代フィンランド首相に世界最年少で選出された女性のサンナ・マリンのプロフィールに唸ってしまう。首都ヘルシンキ生まれ。幼いころに両親が離婚後、サンナをひきとった母親はやがて同性パートナーと一緒になり、地...

『PLAN75』(2022年日本・フランス・フィリピン・カタール/早川千絵監督) 

近未来の姥捨てを描いた衝撃作『PLAN75』の公開2日目、映画館に入って驚いた。ほぼ満席、観客の8割は私と同年代の中高年女性。そういえば数年前に見た吉永小百合と二宮和也主演の映画『母と暮せば』の客層もこんなふうだった。あのときは、吉…

『オフィサー・アンド・スパイ』(2019年フランス・イタリア/ロマン・ポランスキー監督)

舞台は19世紀末のパリ。冒頭、フランス陸軍大学校の校庭に、ユダヤ人のアルフレッド・ドレフュス大尉は両脇を兵士に挟まれて引き出される。罪状は敵対するドイツへの機密情報の漏洩。すなわちスパイ行為だ。その場で軍籍を剝奪されたドレフュスは…

『メルケル 世界一の宰相』(カティ・マートン著/倉田幸信・森嶋マリ訳/文藝春秋)

アンゲラ・メルケルは1990年3月、政治家を志し、東ドイツにおける最初で最後の自由選挙に臨んだ。そして勝利。それまで国内の民主化運動とは距離を置き、政治に影響を受けないという理由から理系を専攻していた彼女の「機を見るに敏」な転身だっ…

『なぜ戦争はよくないか』(アリス・ウォーカー 文/ステファーノ・ヴィタール 絵/長田弘 訳/偕成社)

アメリカで黒人女性として初のピューリッツァー賞を受賞した著者が、米国が同時多発テロの報復としてアフガニスタン、そしてイラクに対して行ったすさまじい攻撃に対する衝撃から紡ぎ出したメッセージを、画家が豊かな想像力をもって具象化した。…

『夢みる小学校』(2021年日本/オオタヴィン監督)

今、私の住んでいる地域の公立小学校において、狭い校庭の一部を削り、そこに別棟を建設する計画がある。計画が当初のものから大きく変わったこともあり、その内容や説明会のあり方について保護者から疑問の声が上がり続けている。説明会はこれま…

『人種差別をしない・させないための20のレッスン』(ティファニー・ジュエル著/オーレリア・デュラン イラスト/きくちゆみこ訳/DU BOOKS)

「私は誰?」と自分のアイデンティティを見つめることから始まり、差別や偏見とは何かについて学びながら、レイシズムに立ち向かう方法を考えていく一冊(※発行元のDU BOOKSはレコード会社のディスクユニオンの出版部門。サイトを見たら音楽…