2021年5月7日
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マガ9レビュー

本、DVD、展覧会、イベント、芝居、などなど。マガ9的視点で批評、紹介いたします。

『すばらしき世界』(2021年日本/西川美和監督)

西川美和監督の作品は、普段は眠っている、あるいは蓋をしている感情を静かに呼び覚ます。私たちは心を揺さぶられ、困惑する。それらはときに自分では見たくないものだったりするからだ。本作品の主人公は殺人の罪を犯し、刑務所を満期釈放となっ…

『相撲道ーサムライを継ぐ者たちー』(2019年日本/坂田栄治監督)

オリンピックへの興味が失せ始めたのは1996年のアトランタ大会からだ。1896年の第1回アテネ大会から100周年に当たる記念大会は当然、ギリシャの首都で開催されると思っていた。アトランタ・オリンピック最大のスポンサーであるコカ・コーラ社が…

『はじめてのおもてなし』(2016年ドイツ/ サイモン・バーホーベン監督)

ナイジェリアの内戦を逃れて、ドイツの難民収容施設に入った青年ディアロを、ミュンヘンに邸宅を構えるハートマン家が受け入れる。それを決めたのは元教師で、生きがいをなくしつつあったアンゲリカだ。ある日の夕食の場で、彼女は困っている人を...

『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著/集英社新書)

「あなたたちが科学に耳を傾けないのは、これまでの暮らし方を続けられる解決策しか興味がないからです。そんな答えはもうありません。あなたたち大人が、まだ間に合うときに行動しなかったからです」本書では、たったひとりで気候変動問題に対…

『友達やめた。』(今村彩子監督/2020年日本)

人と人は、どうやったら分かり合えるのか。そもそも「分かり合う」ことなんてできるのか。友達になる、友達でいるってどういうことなのか──。そんな、答えの出そうにない難問に正面から取り組ん…

『おかえり ただいま』(2020年日本/齊藤潤一監督)

2007年8月。名古屋市内で、深夜に帰宅途中の女性が何者かに拉致・殺害され、遺体が山中に遺棄されるという事件が起こった。まもなく逮捕された加害者は、「闇サイト」(違法行為の勧誘を目的とす…

『病魔という悪の物語 チフスのメアリー』(金森修著/ちくまプリマー新書)

今から100年あまり前のアメリカで、“チフスのメアリー”と称されたひとりの女性の人生を追った本書は、初版2006年、10代の若者向けに書かれた地味な新書だった。それが急遽注目を浴びるようにな…

『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020年日本/大島新監督)

2017年、無所属になってからは、どこか吹っ切れたような国会での答弁が印象的だった「統計王子」こと衆議院議員小川淳也(現在は立憲民主党・無所属フォーラム)。「こんな国会議員がいたんだ」と、まわりを驚かせ、注目を浴びるようになった小…

『空腹ねずみと満腹ねずみ』(ティムール・ヴェルメシュ著 森内薫訳/河出書房新社)

ドイツの民放報道番組『苦界に天使』のリポーターを務めるタレント、ナデシュ・ハッケンブッシュが、アフリカにある世界最大の難民キャンプに渋々取材に向かうところから話は始まる。彼女に同行...
『女帝 小池百合子』(石井妙子著/文藝春秋)

『女帝 小池百合子』(石井妙子著/文藝春秋)

「正直者はバカをみる」。彼女はそう思いながら上だけを向いて、これまでの人生を生きてきたのだろうか。本書は政治家・小池百合子氏の評伝であるが、彼女の輝かしい学歴――カイロ大学を首席で卒業したこと――が、あまりにも疑わしいもので...