2022年7月5日
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マガ9レビュー

本、DVD、展覧会、イベント、芝居、などなど。マガ9的視点で批評、紹介いたします。

『PLAN75』(2022年日本・フランス・フィリピン・カタール/早川千絵監督) 

近未来の姥捨てを描いた衝撃作『PLAN75』の公開2日目、映画館に入って驚いた。ほぼ満席、観客の8割は私と同年代の中高年女性。そういえば数年前に見た吉永小百合と二宮和也主演の映画『母と暮せば』の客層もこんなふうだった。あのときは、吉…

『オフィサー・アンド・スパイ』(2019年フランス・イタリア/ロマン・ポランスキー監督)

舞台は19世紀末のパリ。冒頭、フランス陸軍大学校の校庭に、ユダヤ人のアルフレッド・ドレフュス大尉は両脇を兵士に挟まれて引き出される。罪状は敵対するドイツへの機密情報の漏洩。すなわちスパイ行為だ。その場で軍籍を剝奪されたドレフュスは…

『メルケル 世界一の宰相』(カティ・マートン著/倉田幸信・森嶋マリ訳/文藝春秋)

アンゲラ・メルケルは1990年3月、政治家を志し、東ドイツにおける最初で最後の自由選挙に臨んだ。そして勝利。それまで国内の民主化運動とは距離を置き、政治に影響を受けないという理由から理系を専攻していた彼女の「機を見るに敏」な転身だっ…

『なぜ戦争はよくないか』(アリス・ウォーカー 文/ステファーノ・ヴィタール 絵/長田弘 訳/偕成社)

アメリカで黒人女性として初のピューリッツァー賞を受賞した著者が、米国が同時多発テロの報復としてアフガニスタン、そしてイラクに対して行ったすさまじい攻撃に対する衝撃から紡ぎ出したメッセージを、画家が豊かな想像力をもって具象化した。…

『夢みる小学校』(2021年日本/オオタヴィン監督)

今、私の住んでいる地域の公立小学校において、狭い校庭の一部を削り、そこに別棟を建設する計画がある。計画が当初のものから大きく変わったこともあり、その内容や説明会のあり方について保護者から疑問の声が上がり続けている。説明会はこれま…

『人種差別をしない・させないための20のレッスン』(ティファニー・ジュエル著/オーレリア・デュラン イラスト/きくちゆみこ訳/DU BOOKS)

「私は誰?」と自分のアイデンティティを見つめることから始まり、差別や偏見とは何かについて学びながら、レイシズムに立ち向かう方法を考えていく一冊(※発行元のDU BOOKSはレコード会社のディスクユニオンの出版部門。サイトを見たら音楽…

『香川1区』(2022年日本/大島新監督)

立憲民主党衆議院議員・小川淳也さんを主人公にしたドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』は、一部の人からはプロパガンダ映画だと言われた。もしそれが本当だとしたら、昨年秋の衆院選を追った続編『香川1区』は、もっと小川…

『スズさん〜昭和の家事と家族の物語〜』(2021年日本/大墻敦監督)

東京都大田区にある「昭和のくらし博物館」。昭和の庶民の日常をそのままに伝える木造二階建ての小さな家は、博物館の館長であり生活史研究家の小泉和子さんが、かつて両親や姉妹とともに住んだ自宅だったところ。本作は、その家で営まれた暮らし…

『MINAMATA ミナマタ』(2020年アメリカ/アンドリュー・レヴィタス監督)

漆黒の闇の中に浮かぶ母と娘の入浴シーン。母は浴槽に胸まで浸かり、娘を抱いている。娘の体は硬直してまっすぐで、目は虚空をさまよっている。母は慈愛に満ちたまなざしをその娘に注ぐ。傷ついたイエスを聖母マリアが抱くミケランジェロのピエタ...

『山城知佳子 リフレーミング』(東京都写真美術館)

会場の外は白い。モニターの中の映像では、フェンスの前で女性がソフトクリームを舐めまわしている。自動ドアで会場の中に入ると、暗い。その対比が沖縄の陽射しとガマ(洞窟)の闇を連想させた。『山城知佳子 リフレーミング』は、地元沖縄を題…