2024年7月14日
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マガ9レビュー

本、DVD、展覧会、イベント、芝居、などなど。マガ9的視点で批評、紹介いたします。

『医学生 ガザへ行く』(2021年スペイン/チアラ・アヴェザニ、マッテオ・デルボ監督)

原題は「Erasmus in Gaza」。エラスムスって人名じゃなかったっけと思って調べると、EUの交換留学制度「エラスムス・プログラム」のことだった。EU域内の留学制度として長い歴史をもち、映画の中の会話でも「エラスムス」がそのまま「留学」の意味...

『オリバー・ストーン オン プーチン』(2017年米国/オリバー・ストーン監督)

2015年7月から2017年2月までの間、複数回にわたって行った映画監督・オリバー・ストーンによるロシア大統領ウラジーミル・プーチンへのロングインタビューである。ストーンはベトナム戦争における前線の米軍兵士たちの間の格差、人種差別などに…

『正義の行方』(2024年日本/木寺一孝監督)

1992年2月、福岡県飯塚市で2人の小学生が行方不明になり、翌日に遺体で発見されるという痛ましい事件が起こった。「犯人」として逮捕されたのは、近所に住む50代の男性。彼は潔白を主張し続けるが、2006年に最高裁で死刑が確定、わずか2年後…

『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』(岡真理著/大和書房)

昨年10月7日、イスラム組織ハマスによる越境攻撃に端を発したイスラエルによるガザへの報復攻撃が始まって半年。ガザの死者は3万3千人を超え、破壊された住宅数は7万棟以上、地区面積の62%に達した。保育器が使えず息絶えようとしている新生児…

『ロシアン・スナイパー』(2015年ロシア・ウクライナ/セルゲイ・モクリツキー監督)

2022年の第19回本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬著/早川書房)を読んだ時の驚きはいまも覚えている。40代の日本人作家が若いロシア人女性の狙撃手の行動と内面、そしてその背景にある戦争やソ連社会まで描く筆致に舌を…

『国葬の日』(2023年日本/大島新監督)

本作の劇場公開からタイムラグを経て、権力の中枢にいる者たちが裏金づくりと脱税という国民の財産をネコババしていた(彼ら、彼女らの常とう句「国民の命と財産を守る」が質の悪い冗談に聞こえる)事実が明らかになった現在に見ると、その茶番性…

『1%の風景』(2023年日本/吉田夕日監督)

いま日本では、お産の99%が病院の産婦人科など医療施設で行われているという。本作は、それ以外の「1%」──小さな助産所や自宅での出産の様子にカメラを向けたドキュメンタリーだ。これが初の映画作品となる監督自身も、2人目の子どもを助産…

『月』(2023年日本/石井裕也監督)

現在公開中の映画『月』を見た。原作は、2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件を題材にした辺見庸の小説。「どうだった?」と聞かれてなんと答えたらいいのだろう。う〜んとうなって「怖かった。でも覚悟を持ってみてほしい」というほかない(…

『ジェンダー目線の広告観察』(小林美香著/現代書館)

昨今、首都圏の電車に乗ると乗客のほぼ全員がスマホを見ている。かつてはあらゆる空間を埋め尽くしていた車内広告など誰も見ていない。それでもしつこく語りかけてくるのは転職サイト、婚活サイト、進学塾など人生の岐路に迷う人々へのささやき。…

『スポーツの価値』(山口香著/集英社新書)

中学の野球部に入って野球が嫌いになった。部員は全員五分刈り以下の坊主頭で、上下関係は絶対。学 校内外を問わず、先輩を目にすれば遠くからでも大声で挨拶し(先輩は返さない)、練習でたるんでいるとみなされると、ロッカーで「ケツバット」(…