もう手遅れなのかもしれないが、やはり書かずにはいられない。
参議院選挙の投票日が近づいている。
情勢調査では、自民・公明・維新が伸び、野党は大敗を喫する見込みだという。
立憲民主党が先の衆議院選挙の敗北の原因を見誤り、野党共闘をほとんどやめてしまったのだから、当然の成り行きではある。しかしだからといって、手をこまねいて傍観しているわけにはいかないという思いがある。
その最も大きな理由は、自民・公明・維新・国民が改憲に前のめりになるなか、選挙結果によっては、憲法の改悪がすぐ目の前に迫っているからである。
憲法がどう改悪されるのか。
その青写真は、ご丁寧にも自民党の公式サイトに掲載されている。2012年に発表された「日本国憲法改正草案」である。数多の批判にもかかわらず今でも撤回も修正もされないでいる。
自民党の改憲草案の問題点については、僕も2012年以来、繰り返し、繰り返し、警鐘を鳴らしてきたし、すでにさまざまな憲法学者が指摘しているところだ。
しかし手っ取り早く把握するには、このサイトがわかりやすいので、ぜひご覧いただきたい。
上記のサイトを読めばわかることだが、自民党の改憲草案は、一言でいうならば、民主主義を廃止することを目指した実に恐ろしいものである。
その内容をすべての日本人がちゃんと知って理解したら、自民党は崩壊するだろう。
問題は、知って理解している人が、まだまだ少ないということだ。
また、こんな荒唐無稽な改憲案は通るはずがないから、無視していればいいという人がいる。
しかし、僕はそうは思わない。
なぜならこの改憲草案は、政権与党である自民党が目指す国の形だから。すでに絶大な権力を有する政党が、民主主義体制を解体することを目指して活動している。彼らのすべての政策は、そういう文脈で理解すべきなのである。
陰謀論のように聞こえるかもしれないが、草案を読めば、残念ながら、そう解釈する以外にない。私たちは、そういう人たちに長期政権を担わせているのである。
そして、今度の参議院選挙でも再び大勝させようとしている。
大勝して改憲勢力(自民・公明・維新・国民など)で参院の3分の2を占めれば、憲法改悪の具体的な手続きに入るだろう。
手続きに入ったら、あとは数の力にまかせて、一直線に奈落の底へまっしぐらである。特にナチスの全権委任法のごとき「緊急事態条項」を通されてしまった日には、後戻りは極めて難しい。
この流れを変えたいと思うなら、今度の参議院選挙では、改憲勢力にはっきりと対峙する党や候補者に投票することだ。
マガジン9の読者なら、きっと今さら言われなくても、そうすることだろう。
だからここにこの文章を書くことが、どれだけ意味があるのか、僕にはわからない。
でも、書かずにはいられなくて、今回も書いた。
願わくば、自民党の改憲草案の内容をご存じない大勢の人たちに、この文章が、いや、改憲草案の内容が、投票日の前に届きますように。
「知らなかった」と後悔しないために。
それからマスメディアは改憲案の深刻な問題について、きちんと報じてください。
報道機関として、当たり前の仕事をしてください。
お願いします。