以前、「憲法はこう使え」というタイトルで、「私たちの生活を守るために、憲法をどう生かしていくか」というテーマでコラム連載をいただいていた弁護士の川口創さん。日本の、そして世界の状況が激変する中、もう一度「憲法」について考えるために、再度コラムを執筆いただくことになりました。
連載開始を前に、川口さんからメッセージをいただきました。ご期待ください!
改めて、憲法を使っていく。
以前に「憲法はこう使え」という連載を持たせていただいていましたが、来年から、その「リターンズ」として、再開させていただくことになりました。
ロシアのウクライナ侵略が終わりの見えない状況に陥っている中で、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区の市民への圧倒的な暴力が始まり、そして今も続いています。
日々、ガザの子ども達の無残な遺体と、子どもの死を嘆き悲しむ親の姿を、ネットなどで目にするたび、胸が張り裂けそうになります。
昨日、戦争を止めていれば、今日、この子ども達の命は奪われることがなかった。
一刻も早く、このジェノサイドを止めないといけない。
世界中の市民と連帯して声を上げていかねばと思います。
私たちの足下の日本も、とても危うい状況にあります。
今「中国の脅威」として言われているのは、「台湾危機」ですが、日本の軍事費を2倍にしたところで、中国と台湾の関係である「台湾危機」が解消されることはありません。
しかし、日本が軍事力を一気に2倍にしていく。そのことが中国を煽り、中国と日本の間の緊張関係が高まってしまっています。
「中国を抑え込む」と安易に言われますが、抑え込むどころか、危機を高めている。
誰しも冷静に考えれば分かる現実なのに、安易な「抑止力」「中国脅威論」に流されてしまっているように思います。
明らかに日本は「たが」がはずれてしまい、暴走し始めています。
この暴走を止めないといけない。
憲法は、「国家の暴走を止める安全装置」です。
いま、国家の暴走を止めるために、市民として、憲法を積極的に使っていかねばならない時だと思います。
私と仲間たちは、2008年に名古屋高裁で、「自衛隊のイラク派兵は憲法9条1項違反だ」との違憲判決を勝ち取り、その年の年末に、自衛隊をイラクから撤退させました。
憲法を活かしていくのは、私たち市民です。
この連載では、憲法9条の問題を中心に、憲法をどう使っていくか、その実践例も紹介しながら、皆さんとともに考えていく機会としたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。