「国際法などオレには必要ない」
さすがにコレにはぼくもぶっ飛んだ。
こんなことまで言い出したんだ、トランプは。タガが外れた、などという言葉では足りない。彼はもう妄想と狂気の世界へ入り込んだ。そんな男が世界最強(最凶)国家の大統領なのだからたまらない。世界はいったい、どこへ連れていかれるのだろう?
こんな記事だ。朝日新聞(1月10日付)。
トランプ氏「私に国際法必要ない」
米紙報道 ベネズエラを「もうかるやり方で再建」トランプ米大統領は7日、石油産業を含めて「米国が運営する」と主張してきたベネズエラについて「我々が、非常にもうかるやり方で再建する」と語った。「私には国際法は必要ない」「私を止められるのは私自身の道徳だけだ。私の心だ」とも述べた。(略)
ベネズエラへの攻撃やマドゥロ大統領の連行、石油の管理・販売要求など一連の経緯は国際法違反の疑いが強いが、意に介さない姿勢を改めて示した。(略)
2月に期限を迎える米ロ間に残る唯一の核軍縮条約である新戦略兵器削減条約(新START)を巡っては「期限切れならそれまでだ」と失効を容認する姿勢を見せた。(略)
法などオレには関係ねえ、というわけだ。まるでやくざが違法な「みかじめ料」を脅し取るみたいだ。でもヤクザだってマフィアのボスだってここまで悪辣ではない。とにかくカネカネカネ、それしかトランプの頭にはない。
彼は9日、ホワイトハウスに石油大手のトップたちを集めて「儲け話」について演説をぶった。みんなでベネズエラの石油を山分けしようぜ、少しはベネズエラにもおこぼれはやってもいいが、と吠えたのだ。だけど、石油会社トップたちは、かなり引き気味だったと外電は伝えていた。
この状況に、さすがに共和党内からも批判が出始めた。
米上院(定数100)は8日、「今後はトランプ大統領のベネズエラでの軍事行動は、議会の承認を得ない限りは認めない」とする決議案の審議入りを賛成多数(52対47)で決めたのだ。上院は共和党が多数を占めているが、その共和党からこの案に賛成する議員が5名も出たのだ。そろそろ揺り戻しが来始めている。
移民局職員が米国籍女性を射殺
トランプ政権は「人間の命」を屁とも思っていない。親分がこんなだから、子分の三下どもだってやりたい放題。悲惨な事件が起きた。朝日新聞(10日付)。
移民当局への抗議 分断映す
バンス氏、女性射殺は「正当防衛」米中西部ミネソタ州で7日に起きた、移民当局の捜査官に女性が射殺された事件への抗議活動が続いている。バンス副大統領は8日、発砲は捜査妨害に対する正当防衛だと訴えたが、事件の見方は党派により正反対に割れ、修復困難な米国の分断を映し出している。(略)
死亡したレネ・グッドさん(37)は運転していた車にICE(移民税関捜査局)が近づいた際に車を発進させたところ、捜査官に窓越しに銃で撃たれた。(略)
グッドさんの元夫によると、6歳の息子を学校に送り届け、帰宅するところで事件が起きた。近所に住む心理カウンセラーのケント・エリオットアレンさん(70)は取材に、「当時の映像を見たが彼女は逃げようとしていただけで、発砲するほどのことには見えない」と憤った。(略)
一方、バンス副大統領は8日の記者会見で、グッドさんを「左翼ネットワークの一員」と位置づけ、「車で職員をひき殺そうとした」と主張。グッドさんの死は「彼女自身が招いた悲劇だ」と断じた。さらに、「撃たれた女性は無実だったというウソをくりかえす者は恥ずべきだ」とメディアにも矛先を向けた。
今回の事件をめぐり、政権側の正当化は「デタラメだ」(ミネアポリス市長)と地元当局は反発している。(略)
グッドさんが「左翼ネットワークの一員」だった証拠など、バンスはまったく示していない。トランプ一味は、なにか自分らに都合の悪い事が起きるとすぐに「狂った極左の仕業」だと言い張る。これは、日本のいわゆる「ネット右翼」と同じ。なにしろ石破前首相さえ「極左認定」してしまうような連中。
この事件の動画はSNS上にかなりたくさん流れている。ぼくも見たが、捜査官を轢き殺そうとしたとはとても思えない。グッドさんは米国籍。学校へ息子を送っていっただけで、なんの罪もない。ただ恐ろしげな捜査官らから早く遠ざかろうとしただけのようにしか見えない。そんな女性に近づいたのはむしろICEの側で、しかもほんの数十センチの距離から発砲していた。殺意が十分に感じられる。
こんなことが起きている国だ。トランプがもたらした分断はもはや修復不能か。
ここで問題なのは、いとも簡単に「人間の命」を奪ってしまう“捜査官”という存在だ。もし百歩、いや千歩譲って、グッドさんが左派ネットワークの一員だったとしても、それほど危険を感じさせない車の運転者に対し近距離から発砲して殺してしまう、という行為が正当化できるのか。車のナンバーも判明しているし、危険行為があったとしたら(動画からそれは窺えないが)後で逮捕して裁判にかけるという手順を踏むのが当然である。
なぜ捜査官による殺人が許されるのか。そしてそれを、政権自体が認めてしまう恐ろしさ。違法国家になってしまったアメリカ。これだけでもアメリカはすでに壊れている。
かつてぼくは、仕事でアメリカには十数回訪れている。1970~80年代が多かったが、そんな銃の物騒さはあまり感じなかった。その後、アメリカ銃社会の危険性はどんどん深刻化していったということだ。ぼくはもう、アメリカへは行きたくない。
這っても黒豆
こういう政府のヘリクツじみた“言い逃れ”は別にアメリカだけじゃない。むしろ、日本のほうがペラペラとヘリクツを並べ立てる政治家や官僚の多さではアメリカを上回るかもしれない。まあ、銃社会でないだけ、日本のほうがましとは思うけれど。
例えば、海上自衛隊の「いずも型護衛艦」というやつ。
この護衛艦2隻(いずも、かが)は、その形状から空母ではないかと言われてきたが、政府はそれを否定し続けてきた。だがその2隻に改修を施し、ついに空母として使用できるところまで来てしまった。
朝日新聞(10日付)。「いちからわかる!」というコラムの記事だ。
いずも型護衛艦「空母化」とは
中国の動きを意識 洋上で戦闘機の拠点になる(略)かがは22年3月から改修が実施された。甲板の一部が戦闘機の廃熱に耐える仕様になり、艦首の形は台形から長方形に変わった。いずもも2回目の改修中だ。いずも型の2隻の改修予算は19~25年度で計約795億円。空自側でも、いずも型で運用するF35B戦闘機の導入が進み、25年8月から、新田原基地(宮崎県)への配備が始まっている。24年秋に米カリフォルニア州沖で実施された試験で、米軍のF35Bが初めてかがの甲板で発着艦した。(略)
憲法9条との兼ね合いで、「攻撃型空母」は保有できないとされているが、政府は「多機能な護衛艦だったいずも型に、戦闘機の運用能力を追加するだけで空母ではない」との説明だ。(略)
どうだ、この究極のヘリクツは!
誰がどこからどう見たって、まさに航空母艦。「戦闘機の運用能力を追加」してしまえば、もう“リッパな空母”だ。少なくとも一般人の常識的な理解では、「空母とはその甲板から戦闘機が離発着できる艦船」ということだ。こんなことを平気で言い出す政府。そのために膨大な金を惜しみなく投下する政府。これがぼくらの日本である。
「這っても黒豆」という皮肉な俗諺がある。足もとにあった黒いものを、ある人が「黒豆が落ちている」と言った。仲間が「いや、これは虫だ」と注意した。だが「いや黒豆だ」と言い張る。その時、黒いものがもそもそと動きだした。「ほら這っている、やっぱり虫じゃないか」「いや、這っても黒豆だ」と……。
政府の言い分はこれと同じ。何があっても非を認めない。高市首相がまさにそれだ。
ユーは何しに、沖縄へ?
小泉進次郎防衛相が沖縄を訪れ、玉城知事と会談。そこでこんなやり取りがあった。沖縄タイムス(9日電子版)の記事。
PFAS除去の補助「困難」
小泉防衛相が玉城知事に伝達
活性炭更新に16億円超、県が全額負担か小泉進次郎防衛相は8日、玉城デニー知事と県庁で会談し、有機フッ素化合物(PFAS)を除去するため北谷浄水場に導入されている高機能粒状活性炭の更新費について「補助対象とすることは困難」と伝えた。県は米軍基地周辺で高濃度のPFASが検出されていることから、取り換えや処分費用の財政支援を国に求めている。16億円以上と見込む更新費を県が全額負担せざるを得ない可能性が高まってきた。
小泉氏の就任後、両氏の会談は初めて。小泉氏は会談後の記者会見で、防衛省が当初から維持管理費は制度上補助対象にならないことを県に伝えていると説明した。(略)
PFASは危険な発がん性物質である。米軍基地周辺から高濃度で検出されている。それを除去するための予算を、日本政府は出さないというのだ。防衛予算や米軍に対する思いやり予算や辺野古新基地建設には、ほとんど無尽蔵に金を注ぎ込むくせに、たった(!)16億円の活性炭更新費を出し惜しみする。
「制度上、決まっていることだから」というリクツにもならないドヘリクツで知らぬ顔の半兵衛を決め込む防衛相。あのすましヅラに真っ黒な泥を塗りたくってやりたくなってしまう、沖縄・宮古島のパ-ントゥという奇祭のように……。
「決まっていることですから」……。これも日本の政治家や官僚の常套句なのだ。
そして、解散総選挙か
9日、突然「通常国会冒頭で高市首相が衆院を解散し、総選挙に打って出るらしい」と読売新聞が報じ、各紙も一斉にそれにならった。
なんだって⁉ ぼくは目と耳を疑った。なぜこの時期に?
トランプの棍棒外交で世界は揺れっぱなし。高市「台湾有事発言」によって、中国の態度は硬化したまま。東京新聞(11日付)は中国の硬化ぶりを、次のように伝えている。そんな状況下での解散総選挙?
党利党略、いや、私利私略と見るしかない。
レアアース新規契約停止
中国国有企業、日本側に伝達
既存契約も破棄検討レアアース(希土類)を販売する中国の国有企業が、日本向けの新規契約を結ばない方針を一部の日本企業へ伝達したことが10日、関係者への取材で分かった。既存契約の破棄も検討しているという。中国政府は今月、日本の軍事力向上につながる軍民共用(デュアルユース)品目の対日輸出規制を強化すると発表していた。日本企業がレアアースの取引を拒否されたケースが確認されたのは初めて。(略)
レアアースは電気自動車(EV)やスマホなどの多くの工業製品に使用されていて、その70%ほどが中国からの輸入に頼っているのが現実。もしこれが、完全にストップしてしまったら、日本産業に大打撃になるのは必至。
この報道に、一部のネット右翼たちはSNS上で「中国依存から脱却するいい機会だ」「南鳥島近海の海底でレアアースの掘削が始まった。中国なんてもう必要ない」と騒ぎ立てている。ちょ、ちょっと待て、冷静になれよ。
南鳥島近海のレアアース泥は約6000mの深海に存在するとされる。世界初の試験的な掘削がやっと始まるのだ。これが実際に使用可能ですぐにでも製品化できるかどうか、それをこれから調べるのだ。実用化にどれだけの年数がかかるのか、予想もつかない。
中国が日本向けレアアースの輸出を停止したら、どんなことが起きるか。そんなことも考えずに「中国と手を切れ」と騒ぐのは、国益を考えない不思議な愛国者たちだ。
こんな時期に、しっかりと外交努力もせずに、今なら支持率も高いから……という理由だけで解散総選挙に踏み切ろうというのなら、私利私略、最悪最低の選択だ。安倍元首相を師と仰ぐだけのことはある。
もし高市自民党が、維新や国民民主と手を組んで多数を占めるようなことがあれば、稀代の悪法「スパイ防止法」や「憲法無視の軍事国家化」が進展、腐臭まみれ壺議員たちの一斉復活もあるだろう。
高市一派を勝たせてはならない。
あの作り笑いを阻止しなければ。
この国の崩壊をくい止める為に。
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