家なき人のとなりで見る社会
第49回:気温35℃の炎天下、タクシー争奪戦で荒む己の姿に社会の「今」を見た(小林美穂子)
小林美穂子 -
アジサイが鮮やかに咲き始め、クチナシの甘い香りが漂い、さぁ、今年もあたくしの登場ねと梅雨が立ち上がろうとしたところに、背後から全速力で走ってきた夏が梅雨に猛烈なタックルを食らわせ、はるか彼方に吹き飛ばした。そんなふうに突如として…
家なき人のとなりで見る社会
第48回:キャパ小さめ支援者に頻繁に訪れるプチバーンアウトを乗り越える秘儀(小林美穂子)
小林美穂子 -
どうも力が出ないのである。先週、実家奉公と群馬県桐生市の国家賠償請求訴訟の第5回口頭弁論を傍聴した翌日の土曜日、私はこんこんと寝続けた。昼近くに起きて、昼食を食べて、「さぁ、待ちに待った週末だ、休むぞ!」と、パソコンを起動してゲ…
家なき人のとなりで見る社会
第47回:境界線が溶ける。いま生きて、共に在ることを祝う祭日 「第12回りんりんふぇす」(小林美穂子)
小林美穂子 -
今年も若葉の季節、そして「りんりんふぇす」の季節がやってきた。「りんりんふぇす」はシンガーソングライターで文筆家である寺尾紗穂さんが発起人となり、2011年から始まった音楽イベントだ。ア..
家なき人のとなりで見る社会
第46回:桐生市事件が発覚して一年四カ月、激しい攻防の果てに(小林美穂子)
小林美穂子 -
3月28日、朝、家を出た時には降っていた雨が、群馬県桐生市に到着した昼頃にはすっかり上がっていて、そして初夏のように暑かった。スプリングコートを脱ぎながら、桐生市の新庁舎に向かう。桐生市が、生活保護が開始された男性に一日千円を窓口…
家なき人のとなりで見る社会
第45回:利用者の高齢化に伴い生活支援が高難度化、支援者はどこまで伴走できるか(小林美穂子)
小林美穂子 -
「今日の予定はなんだったかねぇ?」。私の予定を聞いているのではない。日に二度三度、多いときで四度五度とかかってくるAさんからの電話は、Aさんの予定を私に聞いているのだ。「今日は朝のうちに訪問看護の人が来るはずだよ」。カレンダーを…
家なき人のとなりで見る社会
第44回:軽んじられる困窮者の命。引き下げ案とか500円引き上げとか、ふざけんな!(小林美穂子)
小林美穂子 -
ああ、あたたかい……。まるで温泉にでも浸かっているようだ。体の中心からじわじわとあたたかい。この心地良さときたらどうだろう。外は北風が吹いているのに、私は芯までポカポカさ。筋肉が緩んで、まぶたも重たくなっちゃう。さて、こんな夢…
家なき人のとなりで見る社会
第43回:ツッコミどころが満載すぎる桐生市 一日千円、桐生市・生活保護費違法支給訴訟を傍聴して(小林美穂子)
小林美穂子 -
2024年10月4日、前夜から降り続いた雨がようやく止んだ金曜日の朝、私は前橋地方裁判所に向かっていた。群馬県桐生市で生活保護を利用している男性2名が、市に一人あたり27万5千円の賠償を求める国家賠償請求訴訟を起こした。その2度目の口頭弁論…
家なき人のとなりで見る社会
第42回:あなたの町は何色? 市民の手で福祉行政を修復するために。正しい生活保護率増減マップの歩き方(小林美穂子)
小林美穂子 -
9月17日、生活保護の現場職員(現/元ケースワーカー含む)や研究者らで作られる有志の市民団体「生活保護情報グループ」が2012年~2021年までの生活保護率増減マップをネット上で公表した。国内970地域を対象にしたマップは、過去10年間の各…
家なき人のとなりで見る社会
第41回:死ねというのか。包丁を手に、震えながら泣いた日(小林美穂子)
小林美穂子 -
2023年12月、群馬県桐生市在住のNさん(48歳)の呂律が回らなくなり、嘔吐が続いた。胃薬で紛らせようとしたが吐き気はおさまらず、異常を感じて救急車を呼んだ。脳梗塞と診断され、治療、リハビリを経て今年2月末に退院した。入院中にソーシ…
家なき人のとなりで見る社会
第40回:令和の米騒動 ~主食すら満足に供給できない国で~(小林美穂子)
小林美穂子 -
残りわずかになっていた我が家の米がついに尽きた。災害用に買ってあったパックご飯が7食分あるが、それが終われば自宅での米食は諦めるしかない。思えば7月頃からスーパーの米は減っていた。いつも買っていた最安値のブランドがなくなり、…