映画作家・想田和弘の観察する日々
第149回:心の行為(想田和弘)
想田和弘 -
京都の瞑想センターで、2度目のヴィパッサナー瞑想10日間合宿に参加してきた。2019年に行った1度目の瞑想合宿の体験記は、書籍『なぜ僕は瞑想するのか』(ホーム社/集英社)にまとめた。今回、1度目とは異なる様々な発見があり、瞑想体験も格段…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第148回:縄張り意識とゼノフォビア(想田和弘)
想田和弘 -
拙作『五香宮の猫』にも登場する、地域で生まれ育った雄猫の茶太郎は、弱いくせによく喧嘩をする。彼には常に宿敵のような雄猫がいて、近所のどこかで鉢合わせては唸り唸られ、噛みつき噛みつかれ、引っ掻き引っ掻かれて、ケガを負う。ちょっと前…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第147回:米国で急速に進行する民主制の崩壊とファシズム独裁化(想田和弘)
想田和弘 -
トランプ関税で世界が翻弄される中、米国国内で、途轍もないことが起きつつあることをご存知だろうか。日本ではほとんど報道されていないので、ご存知ない人の方が多いかもしない。僕が「途轍もないこと」というのは、米国の民主制が急速に崩壊へ…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第146回:「エノラ・ゲイ」の削除リスト入りが象徴するもの(想田和弘)
想田和弘 -
第二次トランプ政権を象徴するようなニュースを目にした。広島に原爆を落とした米軍の爆撃機「エノラ・ゲイ」の写真が、米国防総省のサイトから「削除すべき写真」のリストに入っていたというのである。いったい、どういうことか。エノラ・ゲイと…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第145回:米の“高騰”に思うこと。そもそも米価が安すぎて経済性が成り立たぬ米作り(想田和弘)
想田和弘 -
米の価格の高騰を受けて、農林水産省は備蓄米をできるだけ早く放出する方針を示した。政府の備蓄米は、これまで大凶作や災害の際だけに放出できるものだった。しかし農水省は先月、その運用を見直して、流通が滞っていると判断された際にも一時的…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第144回:ブータン映画『お坊さまと鉄砲』からうかがえる「幸せの価値観」(想田和弘)
想田和弘 -
劇場公開中のブータン映画『お坊さまと鉄砲』(2023年、パオ・チョニン・ドルジ監督、ブータン・フランス・アメリカ・台湾)に、とても印象深い場面があった。銃のコレクターであるアメリカ人が、骨董的価値を持つレアな銃を手に入れるため…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第143回:ヨーロッパの映画館 観客を劇場に呼び戻すための工夫あれこれ(想田和弘)
想田和弘 -
2024年も終わりに近づいている。これが今年最後のコラムである。個人的には、今年は『五香宮の猫』に始まり、『五香宮の猫』に終わった年であった。2月のベルリン国際映画祭でのワールドプレミア上映を皮切りに、アイルランド、香港、シドニー、…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第142回:「決められる政治」より「決められない政治」(想田和弘)
想田和弘 -
デモクラシーの難点は、民主的な手続きと決定によって、デモクラシーを終わらせることも可能だということである。先日の大統領選挙で、米国の主権者はその総体として、デモクラシーの廃止につながりかねぬ重大な決定をしてしまった。ドナルド・ト…
映画作家・想田和弘の観察する日々
第141回:ドキュメンタリーのジレンマ(想田和弘)
想田和弘 -
ドキュメンタリーの作家には、常にジレンマがつきまとう。どういうジレンマかというと、作った作品を一人でも多くの人に観てほしいと願う一方で、作品が世の中に広まることで、被写体に何らかの負の影響が及ぶのではないかという懸念が伴うことだ…
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第140回:配信サービスの普及と映画の苦しい台所事情(想田和弘)
想田和弘 -
10月19日から日本各地で劇場公開される拙作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)は、僕にとっては4年ぶりの新作である。今まではだいたい1〜2年に1本は公開してきたので、こんなに間があいたことはない。久しぶりに映画界の皆さんと仕事を…