第119回:決定版! リサイクルショップ攻略法〜大量消費社会を倒すのはキミだ!〜(松本哉)

 今年もあっという間に年末を迎え、2018年ももう少し。そんな年末にお決まりなのは大掃除で、つまりはゴミや不用品が大量に出てくる時期。捨てる側からしたら物がなくなってスッキリして気持ちよく新年を迎えるのかもしれないけど、リサイクルショップをやっている身としては、山ほど物が排出されるのを目の当たりにして、「もったいねー!」と、ひたすら物を捨てまくる消費社会の恐ろしさを感じる日々。
 物を作りまくって売りまくり、それをどんどん飽きさせたり新しいものを欲しがらせて古い物を捨てさせ、次の物を買わせて成り立ってるのが消費社会。そのサイクルが止まったら成り立たなくなるので、社会全体の仕事量は一向に減らない。それで忙しい忙しいと朝は満員電車で夜は残業でストレス100%という、完全にコントみたいな社会だ。何やってんだいったい!
 そこで、そんなバカげた社会に敢然と立ち向かうのがリサイクルショップ。要らなくなったものをうまくすくい取り、それにメンテナンスを施して消費サイクルの一番最初のところに商品を戻してしまう。ということで、過度な消費社会を成り立たせて金を巻き上げまくってる大企業やら財界からしたら、リサイクルショップなんてこんな邪魔なものはない。ザマーミロ。使えるものを捨てさせて金を得るなんてそんな罰当たりなこと、普通に考えたら許されることじゃない。みなさんも本当のゴミ以外はリサイクルショップをうまく活用して、再利用の方に回してほしい。無駄な金をかけて捨てなくてもいいかもしれないし、社会にとってもいいこと。
 とは言っても、中には強引な手で処分料とか取ったり買い叩いたりと、消費社会の黒幕もビックリの悪徳業者もいるので、リサイクルショップともうまく渡り合って行く手を身につけることも重要だ。ということで! 今回はリサイクルショップの攻略法を研究してみよう! 買い手の店側からしたらバラしたくないことばかりなんだけど、今回ばかりは大サービス。不用品の売り手側から見たリサイクルショップ攻略法! さあ、みんなで物をリサイクルだ!

【攻略法1】まずは自分で売れ!

 何でもかんでもリサイクルショップに持って行くのも楽なんだけど、少し時間がある場合はちゃんと自分で売るのがいい。ヤフオクやメルカリで相場を調べれば意外と売れるものが多いので、まずはそっちで売り払ってしまおう。ブランド名や型番があったり、キャラクターものや本やCDなど、現物を見なくても写真だけで様子がわかるものは売りやすい。あるいは友達や近所の人など、直接欲しい人に譲ってもいい。売り手と買い手の間をつなぐのがリサイクル屋なので、直接できるならそれに越したことはない。リサイクル屋に買い叩かれるのを防止するためにも、まずはここを押さえておこう。

【攻略法2】売るタイミングを狙え!

 さあ、いよいよ本番。リサイクル屋の奴らとの戦いの開始だ。まずリサイクルショップは店の在庫状況のコントロールに日々追われている。新品を仕入れるわけじゃないので、仕入れのコントロールは難しく、倉庫があふれそうになったり、商品がスカスカになったり、品揃えがやたら偏ってきたり…。ということで、店の在庫状況や忙しい時期と暇な時期では買取の状況もだいぶ変わってくる。で、その肝心のモノを売る時のタイミング。年末の大掃除対策と言いつつ申し訳ないんだけど、実はこの年末の時期は最悪のタイミングなのでやめたほうがいい。みんなが一気にものを出す時期なので、どのリサイクルショップも倉庫があふれてくるタイミングだ。リサイクルショップとしてはむしろこれ以上要らないというのが本音の時期なので、これは分が悪い。それに、どうしても年内に何とかしないといけないというお客さんが多いので、足元を見て莫大な処分代をふんだくる悪徳業者が暗躍するのもこの時期が多い(いつでも逃げられる無店舗の業者はたまに悪いのがいるので気をつけたほうがいい)。ってことで、ここはグッとこらえて1月中旬以降を狙ってみよう。リサイクルショップはとりあえず12月後半はてんやわんやで、年明け最初のころに買いに来る人が多いので少し売り払い、中旬になるとヒマになってくるのがいつもの流れだ。店主や店員に余裕ができたそのタイミングは割といけるはず。
 おまけで言っておくと、それ以降は3月の引越しシーズンでまた在庫が増えまくり、そこから4〜5月ごろの新生活で在庫を一掃して、梅雨が終わってから夏休みごろはヒマ、そして購買意欲が湧く秋から物が動き、冬に寒くなってくると売れ行きが鈍ってきて年末に一挙に在庫が増える。こんな感じ。ということで、ものを売るタイミングとしては春と秋のものが動いてる時期がオススメだ。ちなみに、1月中旬以降のホッと一安心のタイミングは大丈夫だけど、2月になってくるとろくに売れない日々が続き、店主がだんだんイライラしてくるのでここも避けたほうがいいかもしれない。よく売れてる機嫌のいいタイミングを狙うのがベスト。また、店舗が近くにあったらその様子を見てもいい。ものが大量に入ってきてて処理に追いついてないような感じだったらそのタイミングは外したほうがいい。

【攻略法3】ハッタリをかませ!

 リサイクルショップもやはり人間。金にがめつい業者になってくると当然人を見て値段を変えてくる。「こいつ、いくらで査定しても手放すな」と思われるのはよくない。例えば、いかにも代理ですって感じのおばちゃんなんかが「うちの旦那がわけのわからないもの溜め込んじゃってて、何がなんだかわからないけど売れるものあるかしら」なんてのは完全にカモになるので厳禁だ。チンプンカンプンでもいいから価値全部知ってますよって顔して、「いや、これ買うと結構高いんですよね」みたいなことポロッと言ってみたりしても効果的だ。ただ、調子に乗りすぎて「いや〜、これは高かったな〜」「こんなの買うとなったら大変だよ、キミ」みたいに成金趣味のオッサンみたいにくどく言い出すと「チキショウ、こんなものに価値のないことを思い知らせてやる」みたいに相場より低く査定されかねないので、やり過ぎはよくない。ほどほどが大事だ。
 物自体をよく見せるのも大事。掃除してきれいに見せておくのも効果的だけど、どう見せるかも重要。店の商品を買うときと同じで、薄汚いリサイクルショップにガラクタみたいに並んでるより、おしゃれな店にきれいに陳列されてライトアップなんかされてたら、同じものでも3倍ぐらい高く売れたりする。ということで、出張買取で来てもらう時も引っ越し途中の散乱した状態で売るのじゃ印象が悪い。来てもらう時はゴミまみれの部屋は封印して、最も片付いてる部屋にきれいに並べておいて、そっちに敵を誘い込み、どんなボロアパートでもいいから「私は上流階級です」っていう顔して相手を怯ませよう。そうすれば、悪いリサイクル屋だったとしても「こいつは事によるとダダもんじゃねえな」と警戒し、変な査定額は出してこないはずだ。たぶん。

【攻略法4】バラ売り作戦

 ものをたくさん売る時、大量にまとめて出すとその分だけ買い叩かれるリスクは高まる。例えば、冷蔵庫、洗濯機、テレビを売りに出すとする。そして、一台ずつ別個に査定してもらってひとつ3000円で売れるとする。でも、まとめて査定してもらうと、「まとめて6000円ですね〜」みたいなことにも。その後に「じゃあ内訳は?」などと尋ねても時すでに遅し! 一度査定されたらそれを覆すのは容易ではない。なので、いらないものが出た時はその都度来てもらって買い取ってもらうのがベストだ。3日連続で呼ぶというのも手だけど「またか! こいつバカにしてる」と思われて殴られそうだし、3社呼んでひとつずつ売るとなるとバッティングした時に気まずい。やはりその都度マメに呼んで売るのがベストだ。リサイクル屋としても一挙に大量に出されるより、少しずつ出される方が作業も楽なので、そんなに嫌な顔はしないはずだ。
 とりあえず、ものを売る時はこちらがお店の店主でリサイクルショップが客だと思えば分かりやすい。一個一個買うなら正規の値段で買うけど、まとめ買いするんだから少しは負けて欲しいっていうのは人情。そう、お店の店主になった気分で自信を持って商品を売ろう。

【攻略法5】売れないバンドマン作戦(別名 彼女に捨てられた情けない男作戦)

 何度も書いてきてるように、やはりお互い人間なので情がわく。そこに訴える作戦もなきにしもあらず。リサイクルショップ側からの話をしても当然時には情が湧く。例を挙げると、近所に住んでいた、とある一人暮らしのオッサンがいて、これがまた生活力ゼロ。すぐにタバコと酒でお金がなくなっちゃう。で、オッサンたまに店に現れて「この炊飯器買ってくんねえかな〜、どうしてもタバコ吸いたいんだよ」と売りに来る。そういう時はだいたい「ダメダメ、タバコ我慢すればいいじゃないですかー。それ売ったらご飯食べられなくなっちゃうでしょ。炊飯器ぐらい持ってたほうがいいですよ」と追い返そうとするが「いや〜、頼むよ〜。どうしてもタバコ吸わねえと落ち着かねえんだよ」としつこい。しょうがないからタバコ代になるぐらいの額を出して買ってあげると、しばらくするとまた何か持ってくる。大きいものはオッサンの家に買い取りに行くので部屋の中の状況もだいたいわかってるんだけど、ものがどんどん減って行く。で、最後に行った時は部屋の中に1人掛けソファひとつだけ置いてあって他は何にもなし。で、「この椅子買ってくんねえかな〜」という。こうなってくるともう買い叩けるわけがないのでいつもより高く買っちゃう。
 クソ田舎から出てきた若いバンドマンが大事そうなギターを持って来た時もそうだ。名残惜しそうだったので「これ大事なんじゃないの? 売らないほうがいいんじゃない?」と勧めると「いや〜、でも今メシも食えないんで、これ売るしかないんですよ〜」という。死んじゃったらこっちも後味悪いからしょうがない、いつもより高めにギリギリ損しないぐらいの値段出してあげる。「しばらく取っといてあげるから給料入ったら買い戻しに来なよ」と、完全に質屋状態でほとんど儲けなし。あるいは、とある青年に頼まれて部屋に行ってみると物がほとんどない。聞けば「いやー、長年付き合った彼女に昨日捨てられて生活用品全部持って出て行っちゃったんですよ。仕事もないし俺はこれからどうしたらいいんでしょう」だって。わかったわかった、椅子でも座布団でも買うよ。買えばいいんでしょ、買えば。泣かなくたっていいから、そのうちいいことあるよ。
 そう、困ってる時はちゃんと事情を話してみるのも手だ。ただもちろん、リサイクルショップ側の都合やらタイミングにもよるので意味ない可能性も高い。出張買取の初対面の人に、突如自分の失敗談やみすぼらしさを洗いざらい全て話したはいいが、一切査定には影響なく「それじゃ、ありがとうございました〜」なんて帰られちゃったら、「なんでこの話したんだっけ」と、ただマヌケなだけになるので、そのリスクは覚悟の上この作戦に臨んでもらいたい。

【攻略法6】選挙前の公明党作戦

 買い叩かれないようにするには、やはり顔なじみになっておくのはとても大事だ。お店にもちょくちょく顔でも出して「こんにちは〜」なんてやってると、だんだん友達みたいになってきて、いい感じになってきたところで「いや、実はですね、うちに要らない本棚があって…」と、切り出してみる。そう、選挙前になるとやたら挨拶だけするお客さんが増えてくると思ったら「次の選挙はお決まりでしょうか」っていう、あの手口だ。ただ、公明党に投票してくださいってなると「それだけは勘弁してください」って話になるけど、出張買取だったら話は別。顔なじみから買い叩いたりしたらあとで近所で何言われるかわからないし、顔なじみってことは買った後の店頭での売値も見るわけだから、そうひどい買取価格はつけられない。それに知り合いには少し優しくしてあげたいっていう店側の人の情も働く。
 チェーン店や大規模な店舗ばかりを利用してると忘れがちだけど、どんなジャンルの店でも馴染みの店を作っておくことはとても大事なことで、何かと融通きいたりすることだってある。上の他の攻略法でもそうかもしれないけど、店主や店員さんの顔が見える規模の店を選ぶのは大事。それに特にリサイクルショップの場合は、小規模店の方が買取額が高いことは結構ある。

【禁じ手】死のブレーカー作戦

 一応、悪魔の作戦も伝授しよう。これ、自分が言うのもなんだけど、リサイクルショップを騙して壊れたものを売る作戦。しかしこれは本当に悪魔の手段。やられた方はすぐ「してやられた!」とわかるので、もう寝ても起きても「あのやろう、殺さないけど殺してやる」と恨まれること必至。人に恨まれることをしていいことはないので、何もない善良な業者にこの手を使うのはやめた方がいい。極悪な業者に騙されたりひどい目にあった時に、報復で戦う時の参考程度にしてもらいたい。
 さて、禁じ手行ってみましょう。例えば電化製品を売りに店頭に持って行くと、だいたい店頭で簡単にテストして問題なさそうなことを確認してから査定額が出る。つまり動作チェックをなんとか回避することができればちょろまかすことは可能だ。そう言う場合は、やはり敵をアウェイに持ち込む出張買取がいい。あらかじめ部屋のブレーカーを落としておいて「いやー、もう電気解約しちゃったんですよ」とか嘘をつく。で、ちゃんとライトを用意しておいて照らしてみせる。そうなると外観で勝負。リサイクルショップ側としては、こうなってくると確率の勝負。確認ができないと言う理由で買取を断るか、持って帰って確認してから連絡して再度精算か、あるいはお客さんの言葉を信頼して一か八かの即決買取か…。外観が汚いと確率は下がるが、映らないテレビでも水漏れする洗濯機でもピカピカに磨いておけば、「動作とか問題なかったですよね」となる可能性が高く、買い取ってもらえれば作戦成功〜!!
 しかし何度も言うけど、これ安易に発動したら人としての問題になるので、末代まで祟られたくなかったら控えた方がいい。それと厳密にいうと詐欺になるので、それも頭に入れておいてもらいたい。

 さて! 今回は年末ということで特別に色々手の内を明かしてしまった。しまったー、教えなきゃよかった。自分の店のある高円寺近辺の方は是非この文章読まないでおいてもらいたい。ま、いいや。…しかし、ものを片付けたりするときに、リサイクルショップに回すという発想がなく、粗大ゴミか処分屋さんと考えてる人も結構多い。本当に捨てるべきゴミはそれでいいんだけど、まだ使えるものはまずリサイクルショップに聞いてみるのがオススメだ。みんながリサイクルショップを使うようになり、ものを使いまわすという文化が拡大すれば、ものを捨て続けないと成り立たないという、謎の大量生産大量消費社会にも少しは歯止めがかかり、IKEAみたいなすぐ捨てることを前提とした家具も減ってくる。近所のリサイクル店を利用して顔なじみになれば、ものの売り買いを通して地域の中で挨拶する関係のコミュニティーも広がる。おお、こりゃ、いいことばっかりじゃないか!!!!

山のようにあふれる中古品。リサイクルショップがなければ全てゴミに!

松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。