第120回:また杉並! 安倍政権反対の大規模デモが発生!(松本哉)

 いま、安倍政権の悪政に耐えかねたおじいちゃんおばあちゃんたち老人衆が、「もう我慢なんねえ!」と、ついに腹に据えかねて束になって立ち上がろうとしている。これはすごい迫力だ。そう、何を隠そう日本一不穏なエリア、東京は杉並の話。「また杉並か!」と思われるかもしれないが、そういう場所だからこれはもう仕方がない。しかし毎度のことだけど、杉並界隈でこの流れで「もう我慢なんねえ!」となるときの百姓一揆感がやばい。これはまたひと騒動起こる予感!!

 さて、安倍氏の罪状は今さら言うまでもないが、念のため列挙してみよう。

貧乏人の敵

 これは安倍氏に始まったわけじゃなく、自民党の基本路線。大金持ちや巨大企業を優先しまくって、 貧乏人はそのおこぼれでなんとかしろという考え方。しかも、貧乏でロクでもないやつらがのたれ死ぬのはそいつら自分の責任だから、そうならないように這い上がるべし、と、競争を強いる。で、安倍氏はそれに拍車をかけていて、困ってる人らへのサポートは削る一方。おまけに貧乏人負担の多い増税ばっかりもくろむし。う〜ん、こんな政治してるやつは世が世なら民衆に追いかけられて捕まってギロチンにかけられるのが相場。いやー、平和な世の中で助かったと感謝してもらいたい。

アメリカの子分&兵器好き&お金でなんでも解決できると思っている

 安倍氏になってから、アメリカの子分っぷりが半端なくなっている。常にトランプのオッサンの機嫌を取りまくっていて、なんだか知らないけど、すぐにアメリカ製のクソ高い戦闘機やら武器やらを買いまくって点数稼いでる。しかも兵器だけじゃなくて、外国の首脳と会ったりした時にはすぐに何百億円とか勝手に金をあげちゃったりしてる。こら〜! オマエ、何勝手に金使ってんだコノヤロー。オマエの金じゃねーだろ! ま、一国の政治を預かる身としては、各方面とうまくやっとかなきゃいけないのはわかるが、それにしてもここまで金をばら撒きまくってるのは、金でしか何もできない相当なアホだとしか思えない。

やたら身内に甘い

 嫌われる上司ナンバーワンの典型例の身内びいき。これもやばい。ここ1〜2年問題になっていた、友達がやってる聞いたことない学校などで問題が起こりまくってた時、いろいろ暴露されまくってるのに、とりあえずウヤムヤにしまくってごまかしてしまった。あるいは自分が推薦した閣僚やらが問題起こしても、こちらもウヤムヤにしちゃう。こういうことやっちゃうと、首相や政権が代わっても問題起こした時に突っ込みにくくなりウヤムヤにしがちになるので、全体的に堕落しそうで危なっかしいんだよね〜。とりあえず仮にも世の中を仕切る人間としては身内びいきはアウトだ。

余裕がない

 あと、何が嫌だって、余裕がないんだよね、あいつ。貧乏人やロクデナシに厳しいのもそうだし、「多少ヒドイのがいても、日本社会はビクともしないよ〜」っていう懐の大きさぐらい見せたらいいのに、どうもみみっちい感じが全開。この辺から強きを助け弱きを挫く発想が出てくるんだろう。これはみっともない。

自分が偉いと思っている

 本来日本は中央集権国家ではなく、基本的には各地方の自治があって、中央はその取りまとめ役のはず。しかも首相っていうのは大統領や王様と比べて調整役という性格が強いはず。ところが安倍氏は日本の頂点に立っていると勘違いしている。例えば沖縄ので多くの人がいらないと言ってる基地を無理やり造ったりしてるのもこの勘違いから来てるはず。自民党内でも党内の議論を経ずに勝手に政策決めたりしてるのも、自分が大統領かなんかと勘違いしてるからだろう。やっぱりギロチンかな〜。

 さてさて、言い出したら無限に出てきそうだが、総じていうと、なんだかセコいんだよね。どうも。

中国人の知恵

 さて、安倍政権反対を考える前に、中国の社会状況を見ると少し面白いし、参考になる。中東の一部やロシアなんかもそうなのかもしれないけど、すでにネットの規制なんかで超管理社会になってるところは多い。これは社会の技術が進んだ副作用みたいなもんで、便利になった反面、簡単に政府が民衆をコントロールできるようになってきた。中国がFacebookやTwitterが使えないのは有名だけど、中国内のネットも結構管理されていて、例えば「天安門事件」みたいな検索をしまくってると、ネットが止まったりいきなり警察が来たりってこともあるぐらい。街中には監視カメラはあるし色々と厳しい。もちろんテロ対策とかデマが広がらないようにとかの理由もあるのかもしれないけど、その一方で民衆を完全に管理下に置いちゃう状態となっている。
 しかし! では中国は暗黒社会のような暗〜い雰囲気に包まれてるかというと、全然そんなことはない。みんな意外とケロッとしてて楽しそうにしてる。中国には「上有政策、下有対策(上に政策があれば、下には対策がある)」という有名な言葉があるように、いくら政府が色々と縛ろうとしても、民衆はあの手この手ですり抜ける手を考えて、政府からの縛りを骨抜きにしちゃうということだ。もちろん政治的なことだけにかかわらず全般。みんな本当にいろんな裏技を知っていて「大丈夫、大丈夫。こうやってやればできるから!」みたいなこと言ってケロっとしてる。
 もちろん、大変なこともあるだろうからあまり肯定ばかりはしないけど、どんな窮屈になっても裏技を開発しまくって乗り切っていく感じが本当に頼もしいというか、楽しそう。中国に行った事ないと「いろいろ厳しいんでしょ? 大変だね」と思いがちだけど、実際に行ってみると、その思いを全て裏切られ、民衆のたくましさを感じるのですごい参考になる。むしろ逆に「日本ってダメってなったら本当にダメになっちゃうんでしょ? それは大変だね」と中国の人たちに同情されるぐらい(笑)。う〜ん、これは図星かも。
 それに、Facebookなどで情報収集しまくられてたり、日本でもネットの情報を政府が管理できる状況もどんどん整備されてるのを考えると、中国などのことをあまり人ごととしてもいられない。

安倍晋三氏、皇帝に即位

 さてさて、そんな中、我らが日本。一応日本も民主主義国家という建前になっているんだけど、どうもその実態は怪しくなっている。すでに書いた安倍首相の罪状からわかる通り、だいぶ自分勝手な政治をやっている。税金勝手に使うわ、やたら身内びいきするし、有力者ばかり気にして下々には厳しい。首相就任以来やっている政策も結構やばくて、一時問題になった「秘密保護法」で情報を統制し出したかと思ったら、突如海外に出兵できるように「憲法の解釈を変更」とかいう反則技を使って独断で法解釈を変更。挙げ句の果てには、最近「森羅万象(世の中に起こる全ての現象)を担当する」などと迂闊に口走ってしまうなど、自分勝手さがいよいよ止まらなくなってきて、要は事実上、皇帝に即位してしまったと言っても過言じゃないぐらい。次々ととんでもない法律が出てくるから何がしたいのかと思ってたけど、そうか〜、皇帝になりたかったのか〜。そういえば、中国では習近平氏が皇帝みたいになり、アメリカではトランプ氏が皇帝政治をやっている。なるほど、時代はそういう感じね。いいよ〜、別に。それなら下有対策しちゃうよ〜。

杉並老兵からの狼煙

 それはそうと、そこでついに堪忍袋の尾が切れたのが杉並区の老人! 「なんなんだ、あいつは! もう我慢の限界だ!」と言い出したのだ。
 最初は、自分の店のある商店街の会長の電気屋さんが道で通りがかりに「みんな怒ってるから。今度やるから、お前も来い!」と、突如言い捨てて去って行った。なんだなんだ、誰か殺しにでも行くのかと思ったら、よく聞いたらデモ。老人衆が安倍政権反対のデモを計画しているという。
 確かに杉並区は市民運動や社会運動などの強いエリアなので、その手のデモは昔から頻発していた。しかし、やれ社会党系だの共産党系だの、環境問題系だの市民運動系だの、あの人たちはあのグループから別れたグループだの、どうやらいろんなのがあるらしく、お互いああだこうだ言いながら牽制してバラバラだった。ところが、ここへきて長老衆「そうも言ってらんねえべえ。冥土の土産にここはひとつ手を組むべえよ」と、ついに最後の壇ノ浦の戦いに打って出ることになったのだ。
 ちなみにそんな長老衆の多くは全共闘世代。彼らはすでに70歳代になろうとしている。言わずと知れた学生運動世代で、当時は皇帝化した安倍政権とは違って、まだ悪いことを悪い、正しいことを正しいと、正面切って言えば社会が動く可能性がある世の中だった。その闘いの世代も今や、家庭では子ども世代もいい年になり孫も大きくなり、いよいよする事がなくなってくる。最近は墓の営業とか保険屋とかがウロつき始める始末で、居間でコタツに入りながら悶々と大河ドラマや紅白歌合戦を観ている中、「まだここで死ぬわけにはいかない!!!」と、百戦錬磨の老戦士たちからついに狼煙が上がったのだ! そして、杉並一帯に上がる老人からの狼煙を見た杉並各地の各老人衆は「ついに時が来た!」と、続々とコタツや居間を飛びだし、集結して来ている。これはすごい!! いまや民主主義の片鱗が残る最後の時代、その時にかつての老兵が「つべこべ言ってらんねえべや」と手を組んで蜂起! これは見ものだ!!!

 勢いはもうやばい。イメージとしては、突如じいちゃんがたすき掛けに鉢巻を締めて先祖代々伝わる家宝の槍を持って、庭で「エイ〜!」と素振りを始めて、「ママ、おじいちゃんが大変!」と騒ぐ孫を振り切り、「わしゃあ決めたんじゃ!」と出陣に備えてる感じ。もう誰も止められない。
 そしてさらに、老人衆の寄り合いから、一帯の若手などにも続々と決起の要請が飛んでいる。そんな流れの中で、「そういやあ、高円寺あたりにわけのわかんない騒ぎ起こしてる奴らいただろ。もうヤケクソだからあいつらも呼んでみっぺえ」ということになって、商店街の電気屋さん経由で我々にもお呼びがかかったというわけだ。うん、これは参陣しなければ! 老兵隊最後の戦い、お付き合いしましょう!
 そこで、さっそく高円寺界隈のみんなに話を振ってみたところ、「いいね! やろうやろう!」ということになり、あっという間にバンドが乗るいつものサウンドカースタイルで参加することになったのだ。おお、これは楽しみ!! こうなったらうちらも景気よく行くよ〜。
 これまで、若者が運動を起こし年配の世代も集まる光景はよくあったが、長老衆が先陣切って若手に決起を呼びかけている光景があっただろうか!? これは新しすぎる! そう、当日のデモの隊列も、老兵隊が先頭で、「オマエらは後ろだ。後からついてこい!」と、サウンドカーは後方の第2梯団に回された。老兵衆の評定(会議)で決まったとのこと。やばい! これはやる気だ!!! すごい!!!!!! 俺も老兵隊に入りたい!

権力に背を向けろ! 杉並、壇ノ浦決戦へ!

 ちなみに長老たちの世代、かつて巨大な社会運動を巻き起こしたのはすごいけど、実はそれだけでは大したことなかった。当時、群衆が街を埋め尽くし、すごいインパクトを与えて政府をもビビらせたのは確かだけど、結局その後どんどんいなくなって行って運動から離脱して行った。パーっとでかい事をやって文句を言うだけでは世の中は良くならない。しかし、そんな全共闘世代の老兵たちの中ですごいのは、やはりあの後もやめなかった人たち。それも、デモとかをやり続けるってだけじゃなくて、みんなせんべい屋だとか八百屋だとか電気屋だとかを始めて、人の生活やコミュニティーを作りながら発言を続けた人たちが少なからずいたことだ。芸術や音楽など文化的なところで続けた人たちも多かった。そう、人が集まる場所を作った人たちのおかげで、いまだに老人衆たちがワラワラと集まってくる現象が起こってる。
 反乱とは、権力に立ち向かうことじゃなくて、背を向けることだ。権力に立ち向かってそれを倒すことなんて大変なことだし、まかり間違って倒しちゃったら今度はその空いた権力の空白をどうにかしないといけなくなる。どう転んでもややこしいことになる。政治がくだらなければくだらないほど、ちゃんと権力に背を向け、自分たちのコミュニティーや生活圏を作るという手段で抵抗するのがいい。民衆が独自の生活圏を作って抵抗勢力化したら、政権としてはこんな不安なものはない。それに、生活圏の背景のない勢いだけの超巨大デモ隊なんて政府は「お前らそんなこと言ってるけど、世の中回していけんのかよ」と、高をくくってバカにしてくるに違いない。しかし、独自の生活力やコミュニティーを持った奴らが各地に無数にいて、「なんだこの世の中は、フザケンナ!」と文句言いまくって全く言うこと聞かないそぶりを見せてきて、その延長線上でたまにデモが発生したりしてたら「やべー!」とビビるに違いない。そう、権力者が一番恐れるのは自治の力。
 そしてデモは「デモンストレーション」。言うこと聞かない奴らの生活圏を知らしめるデモンストレーションを街中で決行させることなのだ。 
 時代はやたらと管理されまくる社会になりつつあり、謎のニセ皇帝みたいな政治家が世界中にはびこる状況。伝家の宝刀「上有政策下有対策」を決行する前に、まだ我らが杉並一帯に無傷のまま温存されてきた敗残兵、いや、勇猛な老兵たちがいる! 歴戦の闘士たちが一挙に集結し狼煙を上げ、そしてそこに合流する高円寺を始め杉並一帯の謎のマヌケ勢力やら有象無象たち!!!! こ、これは大変なことが始まってしまう!!!!!
 まさに現代の壇ノ浦決戦! いや、大坂夏の陣、いやちがう、函館五稜郭の戦い!(全部滅亡するじゃねーか!)
 3月2日、高円寺中央公園に集結するしかない!!!!!! 歴史を変えるのはキミだ!

見よ、皆の衆! 甲冑姿の長老衆が死力を尽くして作成し、全国に発せられた檄文。みんなでいっしょにアピールしませんか!!!

3月2日(土)

安倍政権反対デモ

13:30 高円寺中央公園集合
出演バンド:パンクロッカー労働組合、ねたのよい、ジェロニモレーベルほか

松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。