第65回:新作民謡「ブラック音頭」(鈴木耕)

「言葉の海へ」鈴木耕

♬ いずれこれより 御免な蒙り 音頭の無駄を言う
お耳障りもあろうけれども さっさと出しかけるぅ~


♬ やぁ~とせ ブラック名物 数々あれど
どこを向いてもブラックばかり
ほんに世の中まっくらけのけ
あれもブラックこちらもブラック
白も黒いと言いくるめ
上から下までブラックだらけ
あそれ ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 ここにもござる
休みくれないブラック企業
死ぬまで働け 死んだら休め
一流顔して「鬼十則」
パワハラセクハラなんでもありで
社長は天国 社員は地獄
ほれほれ ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 どんどん出るわ
クビを覚悟のブラックバイト
どうせ時給は最賃以下だ
あったま来たからバイトテロ
おでんを口でくっちゃくちゃ
客が見てなきゃ悪ふざけ
これまた ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 尽きないもので
何を聞いても記憶にないと
しらばっくれてる秘書官さまよ
ウソツキ上司の尻ぬぐい
出世のためだよ ブラック官僚
なんで辛かろ切なかろ
それいけ ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 その親玉じゃ
聞きしに勝るよ ブラック宰相
ウソも百遍 ホントにしちゃう
口で丸めてこねくり回し
本音を突かれりゃ逆ギレで
それでも我が世のブラック官邸
どっこい ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 ウソまみれ
アベノミクスは万々歳で
景気はいいぞと調べてみたら
数字いじくり でっち上げ統計
合っていたのは軍事費だけで
トランプ親父のえびす顔
いやはや ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 手土産付きで
何処へ行っても経済援助
東西南北 ばら撒き放題
お手々つないで 外遊三昧
これじゃ年がら年中 ブラック外交
ほんに ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 恥さらし
言うに事欠き「平和賞」だと
ポチの尻尾はブラック尻尾
あまり振りすぎ 千切れそう
それでもすり寄る情けなさ
大親分には逆らえず
それいけ ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 赤土しんじょ
沖縄よいとこ 一度はおいで
海はきれいだし 泡盛うまい
おまけに負けない志
それでも埋め立て ブラック政府
真摯に寄り添う 口先男
アキサミヨー ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 政官財学
爆発してからもう8年
ブラック原発めど立たず
それでも止めずに動かしたいと
原子力ムラ どこ吹く風で
自然エネなど切り捨てる
これも ヨイショヨイショなブラック音頭


♬ やぁ~とせ ブラック名物 打ち止めに
ブラック大臣 ブラック国会
おまけにブラック官邸で
どこまで行ってもキリがない
そろそろ幕が下りるころ
悪夢も終わりにしたいもの
ハンパないぜよ ヨイショヨイショなブラック音頭

鈴木耕
すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。