第97回:ぶっ飛び ウソまみれ!(鈴木耕)

「言葉の海へ」鈴木耕

 それにしたって、ひどすぎる。ニュースを見るたびに、ぶっ飛んでしまう。デタラメもここまでくると、もう笑うしかないが、やはり笑っている場合じゃない。政権が腐りきっているんだ!
 その政権に仕える高級官僚たちの頭もグズグズの奴豆腐。
 こうなりゃ国も腐る。ひどすぎるアベ政治を見ても、他に替わる人がいないから安倍支持などと言いだす人々。ぼくは、いくらでもいると思うよ。動物園のサル山に行って探すかね。
 例の「桜を見る会」だけを取り上げても、ぶっ飛びのウソが大盛無料の大サービスだからな。少しおさらいしよう。

ぶっ飛んだ①
「シュレッダーが混んでいたから、名簿廃棄が遅くなった」

 これが、共産党の宮本徹議員の資料請求当日と名簿廃棄の日が重なってしまったことへの、内閣府の大塚幸寛官房長の答弁だ。
 んな言い訳、学校でやってみなよ。どんな優しい先生だって怒る。会社で上司にそう報告したら、いかに温厚な上司だって怒りで頭から火を噴く。それを平然と国会とかいうところで言い放つのが“高級官僚”。
 最初にこれをSNS上で見たとき、つまんねえジョークを言うヤツがいるなあ、と思ったんだが、なんとこれが国会でのガチの答弁。いい大人が真面目な顔で、誰も信じられないようなウソを平気でぶっ放す。どうしたんだ、ヘイヘイベイビイ! 清志郎だって二の句が継げまい。
 もはや国会なんてもんは吉本の漫才以下だね。
 しかもこの巨大シュレッダー、一度に千枚の書類を処理できる能力があるという代物。1万5千人の招待客名簿なんざ、ものの10分もあれば簡単に裁断できちまうんだぜ。
 この大塚という人物、自宅では子どもにどんな説教を垂れるんだろう。「嘘も方便」なんて教えているんだろうな。そんなのが“内閣官房長”だと。どこまで堕ちれば気が済むんだ、この政府!

ぶっ飛んだ②
「そういう中においてですね、私はなんら、招待客の取りまとめ等に関しては関与していないわけであります」

 当然ながら、安倍首相のウソ。そう言った数日後には「事務所から相談されれば推薦段階で意見は言ったが、直接関与したわけではない」と、自らの言葉を修正。ウソを言ってはごまかす、というのが安倍首相の(他の閣僚も同じだが)お家芸だ。しかも、この推薦枠には「昭恵枠」まであったことが明白になった。おいおい、「私人」の推薦が通っちゃうのかよ。
 かつて森友学園問題で追及されたとき、むきになって「この件においてですね、私や私の妻や事務所がかかわっていたということがあれば、私は、総理はおろか議員も辞めます。はっきり断言しておきます!」と開き直ったのはいったいどこの誰だったんですかね。
 「桜疑惑」にかんしては、自分が関与して事務所が推薦し、さらに「妻」までもかかわっていたと自分で認めた。さあ、辞めてもらおうじゃないの。

ぶっ飛んだ③
「予算が増えたのは、セキュリティやテロ対策に費用がかかったからであります」

 こう述べたのは菅義偉官房長官。ほう、ほんとうにそうかね。じゃあなぜ、招待状は1万5千人だったのに、実際の入場者数が1万8千人だったの?
 つまり、招待客の“連れ”であれば、誰でも入れたってことじゃん。少なくとも3千人は招待状なしの客だったということになる。
 まあ、家族ならまだしも、“反社会的勢力”の方々も混じっていたということまでバレている。
 何がセキュリティだよ、テロ対策だよ!

ぶっ飛んだ④
「各界の功労者や社会への貢献度を基準にして、招待すべき方々を選考させていただいております」

 これが内閣府の説明。ったく、ふざけんなっ! である。
 あの首相とのパチパチ写メに群がる人々のうち、いったい誰が「功労者」なんだ? 「各界」ってどこのことだ? どんな「社会的貢献」があったんだ?
 ことに芸能人の多いこと。安倍首相の芸能人好きは知られているが、このときばかりと我らの税金を使って大量招待。いやはや、税金を納めるのがイヤになるよ、まったく。

ぶっ飛んだ⑤
「招待状はいただいたが、その後で、首相官邸から不参加要請がありました」

 これはタレントの石田純一さんが明らかにした事実。石田さんといえば、安倍政権にかなり批判的な芸能人として知られている。要するに、安倍バンザイ以外の人は、たとえ著名人であっても拒否されるということ。
 これもまた公金を使った公的行事の「私物化」である。

ぶっ飛んだ⑥
「民主党時代から慣習的に行われていたこと」

 安倍内閣の十八番、「民主党時代の悪夢」をそのまま使用した菅官房長官の言い訳だ。おお、けっこうじゃないか。ではぜひ、民主党時代の資料を発掘して来て比較してみてくれよ。
 ところが、これまた「資料は廃棄済み」だから、明らかにできないという。なんの証明もできないことを持ち出して「民主党時代からの慣行」はないだろうよ。まず自分の頭のハエを追え、だぜ。

ぶっ飛んだ⑦
「総理枠1000人、副総理・官房長官枠1000人、自民党枠6000人、公明党等枠1000人…」

 内閣府が公表した招待客の内訳。こういうのを「お手盛り」という。好き勝手に後援会の連中を呼び、それを分の選挙運動に利用する。やり方が汚い。
 ところが、これもどうやらウソ。ウソの泥沼はもはや底なし。実際、2014年の資料では、首相と官房長官による推薦が3400人に上っていたと、共産党の田村智子議員がまたも暴露。こんなおいしい“利権”が減るはずがない。今回の「桜疑惑」の立役者・田村議員の活躍は目覚ましい。
 くり返すが、こんなことに使われるのなら、ぼくは税金を納めたくない。多分、多くの人がそう思っているぜ、きっと。

ぶっ飛んだ➇
今年の「桜を見る会」の招待客の推薦名簿の提出を求められた各省庁が出してきたのは、ほとんどが墨塗りだった。

 これまた、ふざけんなっ!だ。菅官房長官も繰り返し説明しているように、招待客は「各界の功労者や社会的な貢献度のある人」であるはず。そんなエライ方々の名前がなぜ墨塗りなのか。「プライバシー保護のため」というのが各省庁の言い分だが、功労者の名前がなぜプライバシーに抵触するのか。むしろ、公表して「功績」を讃えるべきじゃないか。
 「プライバシー保護」をとなえるなら、各メディアに政府が要請して、招待者の顔をボカして報じなければリクツに合わない。客たちがバシャバシャとスマホで撮り放題の絵を、どんどんツイッターやブログに挙げている。いったい何が「プライバシー保護」なんだよ!

ぶっ飛んだ⑨
「事務所には明細書などは残っておりませんし、またホテル側からは明細書は出ていない中においてですね、私にはなんの疑惑もございません」

 はいはい、またも安倍首相の意味不明な言い分。どう考えたって、超一流ホテルで会費5千円の宴会など開けるわけがない。首相自らがホテル側に要請して、明細書を出させりゃ簡単に決着がつく話だ。
 ホテル側にそんな書類が残っていないはずもない。安倍首相、自分がペチャペチャとしゃべっていることが、何の言い訳にもなっていないことに気づいていないのか。そのため、ホテル側にまで疑惑の眼が注がれ始めたぞ。
 一旦、ついたウソを糊塗するために、どんどんワケの分かんないメビウスの輪、永遠にウソの輪廻の中でもがくがいい。

ぶっ飛んだ⑩
「夕食会の参加者の大部分が、このホテルの宿泊者だったので、ホテル側もそれを勘案してくれた中においてですね、5千円という値段を設定したと聞いているわけでございます」

 とまあ、ホテル側が大勢の宿泊者のために便宜を図ってくれた、という言い逃れを安倍首相はしたのだが、これもすぐにウソがバレちった。実は、他のホテルに多くの客が宿泊していたことが判明したのだ。
 どうせウソをつくなら、もう少しきちんと調べてから、バレないようなウソをついたらいかが? と忠告してあげたくなる。
 だが多分、事務所は分かっていただろう。しかしその場その場でテキトーな言い逃れをする安倍サンだから、事務所も教えてあげる時間がない。こういう主人を持った番頭さんたちは苦労するよなあ…と同情はするけどね。

ぶっ飛びの【おまけ】

 とまあ、とりあえず「桜疑惑」について、10個ほどの“ぶっ飛び項目”を挙げてみたが、よく見ていけばもっともっと沢山ある。でも、こんなことを書いている自分に疲れちゃったんだよ。
 それでもね、どうしても付け加えておかなければならないことがある。こんなに「桜疑惑」が取り沙汰されているその真っ最中(20日)に、内閣記者会加盟報道各社のキャップ連中が、安倍総理大臣の“お招き”を受けて、永田町の中華料理店「上海大飯店」で、大懇談会を開いていた。いったいこれはどういうことだ!
 さすがに頭にきたらしい東京新聞の望月衣塑子記者が、こんなツイートをしていたよ。

 この官邸キャップとの懇談の場で安倍首相に対し、きちんと会見を開き「桜を見る会」の説明責任を果たすべきでは、と問い質した記者は1人もいなかったという。中には「首相は何も悪くない。いったい何が問題なのか」と首相を持ち上げる記者もいたとか。
 現場が取材で奮闘している最中に一体何をしてるのか

 ほんとうだよなあ。ジャーナリストの肩書が泣く。
 どなたかがツイートしていたけれど、この宴に出席していた各社の官邸キャップを実名で公表してほしいな。そんなのは、プライバシー保護でもなんでもない、ジャーナリストなら実名は当たり前のことだもの。

鈴木耕
すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)、最新刊に『私説 集英社放浪記』(河出書房新社)など。マガジン9では「言葉の海へ」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。