第543回:年末年始の支援情報!〜炊き出し、相談会、大人食堂などなど〜の巻(雨宮処凛)

 12月19日、私は日比谷公園にいた。

 この日開催されたのは、「なんでも相談会」。4月から開催されている「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」と同時に開催された。5回目となる電話相談には全国から500件ほどの相談が寄せられ、日比谷公園の「なんでも相談会」には52人が相談に訪れた。食料支援の食料を受け取りにきた人は120人。当日は私も相談ブースを担当し、4人の相談に対応した。

 4人のうち、男性は3人、女性が1人。女性は40代、男性は60代が1人で40代が1人、30代が1人。全員がすでに住まいのない状態で、うち3人は公園や路上での寝泊まり。所持金は、もっとも多い人で4000円。もっとも少ない人でゼロ円。このような場合、住まいと生活費を確保できる公的制度は今のところ生活保護制度しかないのでその利用を提案するも、60代男性のみが利用を承諾し、後日、支援者と福祉事務所を訪れることに。しかし、他の2人は「しばらく考えさせてほしい」。もう1人は「とにかく自力で頑張る。生活保護だけは嫌だ」という答え。数日分の宿泊費、食費などを支給し、連絡を待っているという状態だ。

 コロナ禍以降、定期的にやっている炊き出し以外で初めてこのような野外での相談会が開催されたわけだが、私が対応した4人だけで、全員がすでに住まいも失い、所持金も尽きかけているという事実に改めて事態の深刻さを噛み締めた。なぜなら、この相談会は労働や生活、健康、学費問題などの相談を想定しているもので、住まいのない人に特化した相談会ではないからである。それなのに、担当した全員がホームレス状態。中には今年の5月頃から住まいがないという元イベント関係の仕事の人もいた。仕事が途切れる年末年始、事態はさらに深刻になる可能性がある。

 ということで、この年末年始には様々な取り組みが予定されている。

 まずは私も属する「新型コロナ災害緊急アクション」。つくろい東京ファンド、ビッグイシュー基金、反貧困ネットワーク、NPO法人POSSEと共催で年末の緊急相談会と「年越し大人食堂2021」を開催する。概要は以下だ。

「年越し大人食堂2021」(年末年始緊急相談会)

●12月31日(木)15〜18時
  東池袋中央公園にて相談会と食料配布。
●1月1日(金)12〜18時
  聖イグナチオ教会にて相談会と「大人食堂」
●1月3日(日)12〜18時
  聖イグナチオ教会にて相談会と「大人食堂」

 詳細については「新型コロナ災害緊急アクション」や「反貧困ネットワーク」のサイトで見てほしいが、この年末年始の取り組みについては、こちらでクラウドファンディングもやっている。寄付したいという人はぜひこちらへのご協力をお願いしたい。

 また、4月から5回にわたり「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」を開催してきたわけだが、この年末年始にも開催する。概要は以下の通り。

「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」

12月31日(木)から1月3日(日)まで
午前10時〜午後7時
電話番号:0120-157-930(全国どこからかけても無料)

 この年末年始には、東京都のホテル提供もある。

 住まいのない人などに対して、年末年始、ホテルを1000室提供する、生活費の貸付も行うと東京都は発表しているのだ。現時点でわかっているのは12月21日(月)から約1ヶ月、1日あたり1000室が提供されるということ。こちらについて詳しいことはまだわからない。情報が入り次第、私のTwitter(@karin_amamiya)などでも伝えていく。

 ちなみに東京都の窓口の電話番号は0120-874-225、女性専用ダイヤルは0120-874-505(どちらもTOKYOチャレンジネット)。住まいがない人は無償でホテルに泊まれるので(最大2週間という話)、まずは電話してみてほしい。
 
それ以外にも、都内では炊き出しなどがある。

 以下、現時点で発表され、私が把握している情報だ。

●渋谷/2020-21 渋谷越年越冬闘争実行委員会(美竹公園)
12月28日(月)夕方~1月4日(月)早朝
12月29日(火)より連日15時集合で共同炊事、集団野営
※支援についても同サイトで募集している

●山谷越年闘争/山谷労働者福祉会館運営委員会(城北労働福祉センター前路上)
12月29日(火)昼〜1月4日(月)朝
※支援についても同サイトで募集している

●横浜寿町越冬闘争/寿越冬闘争実行委員会(寿公園)
12月30日(水)〜1月4日(月)
食事提供

 また、関西では以下の取り組みもある。

●コロナSOS年末年始市民相談/コロナSOS市民相談at大阪市役所実行委員会(大阪市役所南西角)
 12月28日(月)、30日(水)、1月1日(金)、3日(日)、4日(月)12時~15時

 それにしても、こんなに厳しい年末を迎えるのは初めてだ。

 貧困問題に取り組んで14年。リーマンショック後の2008年の年越し派遣村、その翌年、オリンピックセンターが年末年始に開放された公設派遣村も経験してきた。15年から毎年、年末は都内や関東近郊の炊き出し現場を回ってきた。

 年々炊き出しに並ぶ人が若年化し、昨年末は「ロスジェネの多さ」に驚いた。「この国の底が抜けている」。そんな光景を見るたびに思った。しかし今年、突然猛威を振るったコロナ禍は、リーマンショックの比ではない打撃をこの国にもたらした。格差と貧困がじわじわと深刻化する中、それでもギリギリ生活していた人たちにとって、文字通り「トドメの一撃」となってしまった。

 ネットカフェで暮らしていた人、ダブルワークをすることでなんとかアパート生活を維持できていた人、自分は貧困とは無縁だと思っていた人、20年以上、寮付き派遣で全国各地の工場を転々としてきた人。そんな人たちからのSOSが、この春からひっきりなしに届き続けている。家賃を滞納してもうすぐ追い出されるというアパートの一室から、ネットカフェから、深夜のファストフードから、コンビニから、車上生活をしている車から、悲鳴のような「助けて」の声が上がっている。

 そんな人たちと出会うたび、「よく生きててくれた」と思う。気がつけば、春頃から支援者たちは「よく生きててくれた」が口癖のようになっている。本当に、よく生きていてくれた。よく死なないでいてくれた。それしか言葉が見つからないような、それほどに追い詰められた人たちと多く出会ってきた。何人もの涙と怒り、やるせなさに触れた。

 11月、新型コロナ災害緊急アクションの政府交渉に、ベトナム人僧侶のティック・タム・チーさんが同席してくれた。新型コロナウイルス感染が拡大してから、タム・チーさんのもとにはベトナム人実習生、留学生からの相談が殺到している。これまで、北海道から沖縄まで約1万9000人に70トンの米を送り、関東には4ヶ所の保護施設を作って600人以上を保護してきたという。生活苦や帰国できるかという心配から不安定になる若者も多く、中には自殺を図った人もいる。そんな若者たちのメンタルケアもしつつ、これまでに数百人の帰国を支援してきたそうだ。

 そんなタム・チーさんは、「ベトナムには、『破れてない葉っぱは破れた葉っぱを包むべき』という言葉があります」と口にした。自らが無事であれば、傷ついた誰かを助けるべきという意味だろう。翻って、少し前の日本にもそんな言葉はあったような気がしたけれどどうしても思い出せない。思い出そうとしても、「自己責任」「人に迷惑をかけるな」「全部お前が悪いんだ」という言葉にかき消されてしまう。

 だからこそ、今、私たちは「助け合い」を実践している。「自助」を強調する政治に対しての最大限のカウンターであり、弱者を見捨てる政治への、必死の抵抗でもあるのだと思う。「新型コロナ災害緊急アクション」では、4月から困窮者に対してもう5000万円以上の給付をしている。民間が数千万円の給付をしていることの異常さを、政治は自覚してほしい。そして、恥じてほしいと思う。

 とにかく、この年末年始、一人も困窮で死なせない。そんな覚悟で支援者たちは寒い中、奔走している。そして年末年始も休み返上で困窮者支援を続ける。私も現場に張り付く予定だ。だけど本当は、「一人も死なせない」という覚悟は、政治にこそ求められるものではないのだろうか。

 願わくば、来年の年末年始は、ボランティアで走り回った支援者たちがゆっくり休めるよう、「公助」が機能しますように。そんなことを願いつつ、年末年始に備えている。

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雨宮処凛
あまみや・かりん:作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。06年より格差・貧困問題に取り組む。07年に出版した『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。近著に『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)、『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社)、『祝祭の陰で 2020-2021 コロナ禍と五輪の列島を歩く』(岩波書店)。反貧困ネットワーク世話人。「週刊金曜日」編集委員。