第134回:緊急事態延長! のんびりマヌケに暮らすための地下情報網の構築を急げ!!(松本哉)

 さあ、またしても緊急事態宣言で、自粛要請のオンパレード。もちろん、コロナもやばいウイルスなので、ちゃんと生活や休業の補償をした上で押さえ込もうというのであれば、全然協力する。ただ、今回のように「オリンピックやりたい!」という政府の謎のワガママによって、こっちばっかりがいろんなことを我慢しなきゃいけないってのは、たまったもんじゃない。政府がオリンピックのことばっかり考えてるおかげでコロナがいつまで経っても終わらない。それにやることやること、色んな人から文句言われるのをビビってオドオドしながら政策が決められてるから、何がしたいんだかよくわからない。というか、比較的感染拡大の程度が弱い東アジア地域で大パニックになってるのがほぼこの日本だけ。このまま行ったら、何年も経って他の国は全部収束してるのにまだ日本だけてんやわんやになってて、海外から「まだコロナやってるの、日本!? あったね〜、そんな病気。懐かしいな〜」なんて言われて世界に大恥を晒しかねない。こんな有様じゃ、どうにかコロナを乗り切ったとしても、また次の疫病や天災が来たときも同じことになりかねない。
 昔は日本も先進国とか経済大国とか言われてたけど、気づいてみたらニッチもサッチもいかない謎の未開な国になってるじゃねーか! なるほど〜、ついにそう来たか〜。

 さて、ということで、今回は緊急事態宣言下や戒厳令下でもうまいことマヌケ面してのんびり暮らす方法について考えてみましょう〜。いとも簡単に政府がテンパって機能不全になるってことが判明した以上は、緊急事態的な状態が頻発するような世の中にもちょっと慣れておかないとね。いつまたこうなるかわからないし。
 あるいは! 自国民を黙らせるのに便利な緊急事態に味を占めちゃった政府が、将来なんかめんどくさいことになった時にすぐ緊急事態を多発するようになるかもしれない。そんな時に、いちいちこっちが骨抜きにされたり疲れたりテンション下がったりするのも癪だ。我々もちゃんとうまいことそれに対抗してストレス発散したり、遊んだり、助け合ったり抵抗したりっていう技術を身につけておくのがいい。いつまでもバカな政府に振り回されてこっちが疲弊してたら、たまったもんじゃない。もちろん、さっさと自民党を政権の座から引き摺り下ろすのは先決事項。でも、仮に立憲や共産党とかれいわとかが政権をとったとして、最初は自民党よりは良くなるはずだ。でも、それがもし長期政権になった時に、腐敗したり邪悪な党に豹変しないという保証はない。備えあれば憂いなし。どんな権力者の下であろうとも、いざという時に備えて、民衆側もうまくすり抜ける技術は押さえておきたい。

ひとまずLINEグループを作っておこう

 いきなり結論だけど、重要なのは独自の情報網を作ること。いまはSNSなど、公開された情報に頼りがちな所もあるけど、大震災になるとすぐデマが流れたり、選挙が近くなるとプロパガンダが始まったりするのを見ればわかるとおり、ネット情報とかSNSなどは意外と脆弱だ。日本の場合、今のところは政府がSNSの情報を検閲や削除しまくったり規制したりっていうことはそこまでないと思う。ただ、日本のような妬みっぽい陰湿な性格の人の多い暗い社会では、自粛警察みたいなやつらの登場でわかる通り、謎の告げ口社会になって異常に窮屈になる。緊急事態宣言下のような時はなおさらだ。で、結果、全員が優等生か正義の味方のフリをしながらSNS社会で生きなきゃいけないことになる。本当ははみんなロクでもないくせに全員がそれを隠して風紀委員のフリしてる社会。アホらし〜、俺は抜けるよー、そんなウソくさい世界! と言うことで、とりあえずSNSはじめネット上の世界はいざというときには役に立たない。
 じゃあどうするか。そう、全公開の情報網と個人間の個別連絡の中間のような情報網を作ること。これが大事。具体的にいうと、手軽なところで、信頼できる友達や仲間や飲み友達なんかをどんどん入れたLINEグループを作ってみよう。もちろんFacebookのメッセンジャーでもいいし、他のアプリでもなんでもいい。友達の友達ぐらいまで入れて数十人とか百数十人とかなるべく大規模に。で、そこで、飲み会の情報やイベント告知をしたり、新情報を共有したりと、SNS的に使う。個別に連絡しまくったり、その都度非公開のイベントページを作ったりするっていう手もあるけど、それは結構面倒くさいしね。……というか、別に言われなくてもグループぐらい作ってそこでいろんな連絡をしてると思うけど、このあと書くけど使い方が重要だし、緊急時には結構使えることも頭に入れておこう。ひとまず、友達圏の巨大グループを作ったとする。すると、それが事実上のミニSNSの代わりになる。しかも、それぐらいの規模だったら正義の味方のフリをする必要がないのも便利だ。そう、いまは内輪のコミュニケーションのように使ってると思うけど、いざというときに役立つ。例えば、戦前の日本とか海外の管理や言論統制の厳しい国みたいになっても、その抑圧はひとまずかわすことができる。緊急事態程度の自粛社会なら楽勝だ。

いまは感染防止上できないけど、昔はリサイクルショップ店内で飲み会もよくあった。秘密情報網を独自に持っていれば、将来禁酒令が出ようと、飲み会ができる。もちろん入り口では秘密の合言葉。写真は2019年ごろ

最先端の社会=中国に続け!

 上で書いた話、実は中国で学んだワザ。中国はご存知の通り、最近はいろいろとネット上の規制も多く、あまり自由にできないところもある。そこで、中国人たちはみんなメッセンジャーアプリのグループを作りまくって、そこで自由にいろいろ話したりイベント情報を流したりもしてる。グループ内だけなんて閉鎖的じゃないかと思うかもしれないけど、そうでもない。向こうでは、日本と比べても、みんな死ぬほどグループを作りまくる。飲み友達みたいなグループもあれば、同じ趣味の人たちのグループとか、行きつけのカフェの界隈の人達のグループ、政治や芸術のテーマを絞ったものから、同じマンションの住民の町内会みたいなグループまで、なんでもある。人数も数百人規模のものから数人のものまで、いろいろ。で、当然それぞれメンバーがバラバラなので、とある面白い情報がグループ内で流れたら、それがまた別のグループで広がり、それがまた別の方に流れてゆき、公開されたネット上やSNSを介してないにも関わらず、Twitterのリツイートのように全国各地にその情報が広がって行ったりすることもある。だから、中国に行って遊んでて仲良くなると、いろんなところで「このグループに入らない? 入れちゃっていい?」とか聞かれて、入れてもらう。これがまた、秘密の情報屋に接触した感じでテンション上がっていい。で、気づいたら大量のグループに入り謎の情報網に加入してることになる。実際、こういう情報網の方が面白い情報がたくさん入ってくるのですごい便利。例えば、小さいライブのイベントとか、CDやZINEを売るイベントをやるっていう時に、あまり公開すると、やれ販売許可がどうのこうのとか細かいこと文句言われたりする時があるから、身内で情報を回した方がいい。
 で、そうなってくると、面白い現象が起こる。それはSNSと身内の情報網の逆転。主要な情報はほとんど身内の情報網で回すことになってくる。だから、最近は中国現地の若者たちが口を揃えて言うのが「ネット上にある情報ってことはつまんない情報の証拠」とのこと。いや〜、いいね、そのハナっからメジャー情報を信用してない感覚。新しい!!! 公開されたネット上の情報では、芸能人や有名人のコメントとか、大きな商業イベントとか、インディーズ文化圏の情報でも、お店の出店情報とか、音楽やアートのイベント情報みたいな、表面的な当たり障りない情報がメイン。そして肝心の、「で、実はこんなのもあるんだよ」みたいな、きわどい線を攻めてる尖った芸術作品の発表とか、メチャクチャすぎてお上に怒られそうなバンドのライブとか、突然路上に集まってみんなで大宴会しようみたいなふざけたイベント情報とか、イベント内の裏企画とか、ちょっと政府に睨まれそうな自由な言論(本当に攻めまくってるアグレッシブな言論はさすがに無理)とか、そんな面白い情報なんかは全部身内の情報網で回す感じ。
 とりあえず、日本とネットの使い方が全然違って面白いし、規制とか厳しくてもみんなケロッとしていろいろ編み出して、たくましい! そう考えたら、ある意味世界最先端の最前線だ。さすが、民衆の抵抗力も4000年の味だ!! ……なんて感心してたけど、気付いてみたら、まさか日本でも必要とされる時が見えて来るとは!!! よーし、中国に続け! うちらも勝手にやっちゃおう〜。

抵抗の現場でも真価を発揮!

 また、香港に行った時のこと。3〜4年前の当時、香港ではライブハウスの規制が厳しくなっていて、ちゃんとした商業施設として登録した場所以外の所(例えばライブバーみたいな小規模なスペース)でのライブイベントなどを違法営業として取り締まっていた。なので、小規模の音楽イベントが表立ってできないっていうことで、インディーズバンドやDJの人たちなんかは、活動場所がなくなっちゃうので必死。対抗手段として、その頃から香港ではイベントの告知はほとんどがFacebookの非公開イベントだった。非公開設定だけど友達を何百人何千人と死ぬほど招待しまくってイベントを行っており、形の上では巨大なプライベートパーティとしてやっていた。当然、イベント会場などの詳細も口が裂けても口外禁止だし、写真などをSNSにあげるのも厳禁。なので、普通に情報なしで香港に観光客として遊びに行っても、いくらネットで検索しても商業イベントしか引っ掛からず、本当に面白いイベントは全て地下情報網の中。ほとんど超巨大な口コミネットワークによって成り立ってて、みんな知ってる。面白い〜。
 同じ香港で言うと、まだ記憶に新しい一昨年の香港のデモの時にも、ロシア発の最も安全性の高いと言われているtelegram(テレグラム)というメッセージアプリを活用してデモ側で情報共有をして、神出鬼没のデモを行ったりしていた。すごい、みんなよく考えてうまく活用してるね〜。そして、面白いことに実は同じような現象がSNS以前の時代の世界でもあった。同じデモの話だけど、2000年代後半ぐらいにドイツに行ってデモに参加したときに、デモ開始前に「情報センター」なる謎の電話番号の書かれた小さな紙が参加者に配られ、困ったらそこに電話しろという。いわばデモ側のコールセンターで、問い合わせたら状況を教えてくれる。ヨーロッパのデモは日本と違って、デモ中にコースが変わったり、散り散りになって、また別のところで再集結したり、デモ後に別の行動が始まったりと、かなり臨機応変に行われるので、この情報センターはとても助かった。これも完全な公開情報と個別連絡の中間ぐらいの情報網のひとつ。
 もちろん、香港もドイツも、これによって完全に安全に情報が共有できてるってわけじゃない。当然内通者だっているだろうし、警察も本気で情報収集にかかったらイチコロだ。実際に香港でもテレグラム上での情報が漏れて作戦がバレたりとかも頻発してたし、ドイツでもある程度の手の内がバレるのは前提で運用してた。まあ完璧ではないのはしょうがない。

今ではとてもじゃないけどできない超密のライブイベントも、やろうと思えば地下情報網で呼びかけることも可能。これで将来ライブ禁止令が出ても安心だ。写真は2019年ごろ

ふざけた奴らが死なない世界を!

 さて、翻って我らが日本社会。いつまで続くかわからない緊急事態の世の中。この様子だと、コロナにかかわらず、第二第三のコロナ的な厄介ごとが登場して、自粛自粛の世の中がいつまで続くかわかったもんじゃない。その都度、謎のニセ風紀委員たちが暗躍する不気味な社会。そして、暗闇で菅首相の不気味な笑みが浮かび上がるという、怪談のような日本社会が続いていくのだろうか……。ナンマンダブ、ナンマンダブ。
 ところがどっこい、そうは問屋が卸さないのが、この世の常。いろんな手を編み出して勝手なことをやり続ける、ふざけた連中がいる限り、そんなシミったれた景気の悪い世の中にはなりはしない。しかも、こうるさい風紀委員や生活指導の先生たちをうまいことすり抜ける技術というのは、我々は中高生時代からみんなが訓練していることで、そんなのは赤子の手をひねるようなものだ。諸君、あの時の努力や悪知恵を思い出す時がきたぞ〜。
 そう、ひとまずはここまで少し紹介した作戦を駆使して中間的な情報網を作ってみれば、たいていのことはできるので、全く窮屈感を感じる必要もない。あ、一応言っとくけど、もちろん今のコロナ禍中で、感染対策を無視して人がごった返すメチャクチャなイベントとかやっちまえなどと言ってるわけではない。コロナを軽んじたら自民党の始まり。そういうことではなく、全てに気を使い過ぎず、自粛しすぎないようにするのが大事で、過剰な抑圧はどんどん跳ね返していけばいい、ということ。ただ、そんなメチャクチャな無謀なイベントも、おすすめはできないけど、やろうと思えばできる。その「できる」ということが大事なのだ。そしてさらに、その地下情報網があれば、自由に振る舞うだけではなく、助け合いもできるし、これを機会に疎遠だった人と仲良くなるかもしれないし、いろいろ活用できる。
 さてさて、最後にもうひとつ。これを言ったら元も子もないんだけど、今この文章が載ってるのも、ウェブマガジンという、まさに全公開されたネット上の世界だ。なので当然、この文章も、薄〜く、表面的に書いている。あえて言及していないところを、いろいろ察してもらいたい。大サービスでおまけで言っちゃうと、例えば、メッセージアプリだっていざとなったら情報筒抜けみたいなところもあるので、海外の厳しい規制の国なんかではもっと別の情報網づくりなんかもたくさんある。……と、こういうことを説明し始めるだけですでにヤボなのでもうやめるけど、まあそういうことだ。ネット上に全公開された情報が全てなんていう時代はもう終わりを告げている。ネット上の世界の下には、ものすごい深い数十倍数百倍の面白い情報の世界が広がっている。これ、ここ10年ぐらい海外に遊びに行きまくって各地のインディーズ文化圏の人たちと遊んでて思い知らされたこと。「ここ写真撮らないでね」とか「この内容SNSにあげちゃダメだよ」みたいなことなんてザラ。改めて日本を見てみても、完全に同じ流れで、まだ浅いにせよどんどん情報網がいろんなところに広がってきている。最近よく言われる“SNS疲れ”なんていうのも、完全にその一端だろう。現にだんだん新発見も減ってきて面白くなくなってきている。
 あ、そういえば、中国のインディーズカルチャーの中では、いま紙媒体がすごい流行ってる。ミニコミやZINEみたいなもの。そのネットに出てない感がすごいワクワクするらしい。テレビや新聞が徐々に滅んでいき、次はネット社会が滅んでいき始めている。いや〜、これからの世の中の新たな情報網、楽しそう!!! なんか、昭和のミニコミ文化とか、食堂のおばちゃんや喫茶店のマスターに伝言伝えといてみんながその情報聞きにくるみたいな文化が、形を変えて再来してくるのかもしれない。いや〜、将来、喫煙所で見知らぬ老人から無言で手渡されるマイクロSDカードとか、通りがかりのチビッコが急に渡してくる手紙とか、そんな思いもよらない情報網とかあったらテンション上がるだろうな〜(しまった、口が滑った!)。
 とりあえず、緊急事態宣言下の皆さん。この、突如として出現した窮屈な社会、全てをそのまま受け入れてたらストレスでやられちゃう。そんなことにならないようにも、従来通り、ふざけた奴らが勝手にのびのびと生きていける状態をキープしておこう。っていうか、これ超簡単。さあ、とりあえず、みんな独自情報網の構築、進めていきましょう〜。

       

松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。