第137回:打倒環境破壊! 打倒資本主義! 打倒強権政治! リサイクルショップの凹んだヤカン作戦に集え!(松本哉)

 先日、COP26なる国際的な環境会議が開かれたのも記憶に新しいが、いま世界は気候変動などの深刻な環境問題にぶち当たっている。しかも、国際会議で話し合うのは、主に世界の強国の指導者たちの発言力が大きいので、結局金もうけのことが頭から離れずに、どうにも歯切れの悪い結論にしかならないのが毎度おなじみのパターン。こりゃ、だめだ。あいつらには任せとけない!
 そしてさらに言うと、世界の危機は環境問題だけじゃなく、金もうけと金もうけが衝突して戦争になったり、さらにその金もうけの狭間であぶれた人たちが貧困に喘ぐ。これ、昔みたいにどんどん経済成長なんかしてた時はまだ誤魔化せてたけど、今や世界経済は完全に頭打ちで、永久に成長し続けるってのは幻想だったってことが判明してしまった。そのため、ドサクサに紛れてしぶとく金もうけしてる大富豪のおこぼれはもはや一般庶民の方には回ってこなくなってきている。おかげで、ニッチもサッチも行かなくなった人たちが世界中で急増中だ。いや〜、これやばいんじゃないの〜? さあ、どうなる世界!?
 と、そこで満を持して登場するのが、社会の巨悪やら悪徳資本家やらに斬り込みをかけ、奴らをグウの音も出ないぐらい叩き潰そうって言うとんでもない地獄の軍団だ。そう、何を隠そう町のリサイクルショップだ! なんだって? 頼りない? いや、ちょっと待て。みなさん、町のリサイクルショップとか言うと小学校のバザーみたいな、なんだかほのぼのとした平和な感じを思い浮かべたりしてないだろうか? 違う違う! 甘い甘い!! もっとすごい、金持ちも逃げ出すとんでもない地獄の軍団だ! コンチキショー、金持ち出てこい!! ってことで、今回は金もうけ中心社会を滅亡に追い込むリサイクルを呼びかけてみたい。

うちの店、リサイクルショップ素人の乱5号店。基本的に何でもある

環境破壊への抗戦、凹んだヤカン作戦!

 さて、まずCO2排出と温暖化のことを考えても、実はその排出量のほとんどを占めるのは家庭ではなくて企業から。なので企業からの排出量が抑えられなければ意味がない。そう聞くと、「なんだ、じゃあうちらあんま関係ないじゃん。エアコンケチったりして損した〜」なんて思うかもしれないが、世の中そうは甘くない。関係ないと思ってても、自分の身の回りのものを見回してみると、そのほとんどは企業の工場で作られたものだ。電化製品や電子機器類はほとんどそうだし、家具や雑貨なんかでも、ほとんどが工場で大量生産されたもの。手作りの雑貨とか、近所の職人さんが作った家具がどれだけ身の回りにあるだろう。ま、細かいこと言っちゃうと、手作り品だとしても、その原料はどっから来たものかわからない。そう、遠くからはるばる運ばれてきたものっていうのは、その分だけ莫大な燃料を使って運ばれてきてるので、微々たるものとはいえ、それが重なると我々がエアコンの温度を一度節約するのなんて一瞬で消し飛んじゃうぐらい、とんでもない量になる。
 リサイクルショップという仕事柄、処分場などにも行くことがあるけど、例えば年式も新しくてまだ使えそうなキレイな家電なんかがボンボン山積みされて捨てられていっているし、家具も同じ。特に、日本の賃貸の部屋っていうのは、家具や家電などが一切ない状態で貸し出されるので、なおさらだ。みんな、引っ越してきた時に生活用品一式を買って、出て行く時に全部処分する。近所に引っ越すなら持っても行けるけど、遠方に引っ越す時は引越し代がバカ高くなるので、結局一回捨ててまた新しい物を買う方が安くなってしまう。このために、環境負荷の最大の要因でもある大量生産大量消費社会がいつまで経っても続いている。そして、企業の金もうけによって成り立ってるこの世の中では、それをやめようなんてことにはなかなかならない。
 やつらがやらないなら、我々民衆の蜂起によってゴミの山と新製品の乱造を食い止めるしかない。と、そこで現れるのが現代に蘇る実力行使部隊リサイクル軍団! 物を手放す人からそれを回収し、なんと点検や修理・掃除をして、あろうことか欲しがってる人の手に届けてしまうという、過激な集団。そして、それはほとんどの場合がご近所なので、長距離輸送もすることなく超短距離がほとんど。これは過激すぎる!
 例えば、どうでもいい家具の代表格、カラーBOXを見てみよう。そう、あの蹴ったら穴が開きそうな材料で作られた三段の棚だ。あれ、最近は東南アジアなどの工場で作られてることが多いので、そこからはるばる船で運ばれてきて、国内の運送会社で販売店を経由して、家まで運ばれてくる。で、しばらく使って引っ越す時に粗大ゴミに出すか叩き割って可燃ゴミで出され、それが焼却されて運命を終える。それが、近所にリサイクルショップがあれば、そこ経由で次の人の手に渡るので、新品のモノの動きと比べたらどれだけ少なくて済むか。当然、こっちも車で取りに行ったりするので無害ではないが、大きく見たら超微量だ。もちろん、こだわりがあったり、どうしても欲しい色やブランドだってあると思うので、新品で買うことも悪いことじゃない。でも、別にそこまで深くこだわらなくてもいいものは中古で十分だし、昔の家具などのように新品にはない味わいが好きな場合だってあるから、中古という選択肢もある。少しでも中古品を使うっていうのが大事なことだ。
 ついでに自分の住んでる街、高円寺の話になるけど、ここがまた昔からボロアパートが多かったり、今でも一人暮らしの若者たちが多いこともあってか、リサイクル過激派レベルが半端じゃない。リサイクル店をやってて面白いのが、街によって売れるものも値段もバラバラなことなんだけど、高円寺はすごい。上品な街では、安く買える高級品などが好まれがちなリサイクル店だけど、高円寺に至っては、最も売れ筋が歪んだカラーボックスと凹んだヤカン。金がない若い奴らが買ってくのはわかるんだけど、結構いい身なりしてたり、キレイな服着てる人たちも、意外と平然と凹んだヤカンとか買って帰る。高級スーツに身を包んだ紳士が、やたらでかい凹んだヤカンを裸でぶら下げて帰る光景とか、とても美しい! そう、いいものというのは、別に見た目がいいものってわけじゃない。新品でもすぐにぶっ壊れるIKEAの家具みたいなのがゴミなのであって、凹んだり煤けてたりしても作りがちゃんとしてるヤカンはいいものなのだ。特に高円寺の中古品への抵抗感のなさはものすごい。ま、よく考えたら高円寺は昔から古着屋とか古本屋、中古レコード屋など中古の店が死ぬほどあったっていうのもあるのかもしれない。
 リサイクルショップっていうのは、早い話、分別の職人。人が手放すものを、どれが再利用できてどれが原料としてリサイクル可能で、どれが本当に捨てないとどうしようもないゴミなのかを見分けて、それをその適切なルートに流すのが仕事。そんなリサイクル屋が日々の分別と再利用で保護してる環境は量り知れない程なはず。ま、数字で測ったわけじゃないからよく知らないけど。よく、地産地消なんて言って、地元のものを消費するのも地域活性化を兼ねて環境にもいいなんて概念があるけど、リサイクルなんてそれどころじゃない。新たな生産もしないし消費してゴミにもしない。同じものをその街の中で回しながらずっと使い続けるという過激な思想だ(笑)。みなさんもぜひ、一つでも多くの中古品を使って地球を救ってほしい。

冷蔵庫やら電子レンジやらをリサイクル。もはや金持ちたちには生きる望みはない!

ついに激闘! 資本主義vsリサイクル!!

 さて、リサイクル屋が環境にいいのは誰でも思いつきそうなことなんだけど、それだけじゃ済まない。今の金もうけばかりの世の中にも一矢報いるっていう側面もある。すでに書いたように、要らない人から欲しい人へと、うまいこと橋渡しをできたらこんなに無駄を省けることはないし、その上多くの人が欲してるサービスでもある。ところが、あまりリサイクル文化が浸透してしまうと新品の商品が売れなくなるので、大手資本は本格的にリサイクル業をやろうとはしない。そう、このいつまでも続く大量生産大量消費によって成り立ってる巨大財閥の金持ち連中にとっては、ものを大事にするリサイクルなんて完全に悪夢みたいな出来事。っていうか、高度成長期以来、金もうけ至上主義で世の中を成り立たせようとした結果、いろんな弊害を生みまくってるんだから、その路線ぼちぼち観念したほうがいい。いまだに「経済成長!」とかアホみたいなことばっかり言ってる政治家とか多いけど、もういいよそんなもの。それって昭和の頃に限界見えたやつでしょ。これからは成長とかしないでもどうやって豊かに暮らしていけるかってことを考えていかないといけない時代。ってことで、悪徳な金持ち連中による世界秩序は、申し訳ないが死んでもらうよりない。

 さあ、そこでまた登場するのが、金持ち階級のやつらにとっての死の商人ことリサイクル店。まず、高度な消費社会っていうのは大きな都市に依存する感じで成り立っているので、そんな大都市の中にリサイクルショップが点在してるっていうのは、敵の心臓部を突く都市ゲリラと言っても過言ではない。町のリサイクル屋では、捨てられそうになったタンスを救済し、素早く手入れして掃除して、またタンス界に再度放り込んで、危うく新品を買いそうになってた人の元に届けるという果敢な攻撃を加える。そう、例えるならばデモ隊に投げ込まれた催涙弾をすかさず拾って警官隊に投げ返すみたいな感じ! あれ、ちょっと違うか…。
 で、そんなわけで…。悪の資本家の諸君に告ぐ! 残念だったな諸君。我々は都市部の各所に拠点(店)を構えて物を大事に使うという強烈な攻撃を諸君に加えるのだ。我々のゲリラ戦に手を焼いた諸君が「もう物を大事にするのはやめてくれ」と土下座をして懇願しても、我々は許さない。悪行三昧で肥え太る諸君には1ミリも容赦する余地はなく、我々は無慈悲に凹んだヤカンを磨き続け、200円ほどを握りしめて木造アパートから走り出てきた青年にそのヤカンや歪んだカラーBOXを手渡してしまうのだ! どうだ、参ったか! 我々の勝ちだ! 資本家諸君の命運ももはやこれまでだ!!!
 金に目が眩んだ守銭奴の悪徳資本家たちからしたら、目を覆いたくなるような阿鼻叫喚の地獄絵図そのもの。そう、それがリサイクルショップだ。

中央集権と強権政治の前に立ちはだかるリサイクルショップ!!

 この都市ゲリラ戦、まだこの程度では済まない。実はリサイクルショップの存在は、中央集権や強権政治にも一撃食らわせてしまう。そう、それは世間話や無駄話だ。中古品というのは、基本的には全ての商品が一点物で、状態もまちまち。しかも扱う商品の種類も無限にあるので、自分自身すでに20年以上リサイクル業界にいるけど、いまだに初めて見る謎の商品に遭遇することが頻繁にある。そんな世界なんだから、店の人とお客さんとの会話がやたら多い。お互い「これはなんですか」「どうやって使うんだ?」「懐かしい!」みたいな会話は必須だし、配達や買取で家にも行くからお茶が出てきて暇を持て余したじいちゃんばあちゃんの世間話に巻き込まれることも多々あるし、何でも屋と勘違いして訳のわからないことを頼みにくる近所の住人もいれば、酔っ払った勢いで暇つぶしに遊びにくる謎の若者たちまで、一日店番してると喋り疲れるぐらいの時もあるぐらい。おかげで近所にやたら知り合いが増えまくる。
 さらに、商売を通じても近所の人たちとの繋がりはどうしてもできる。仲良くしてたりよく飲みに行く飲み屋からお客さんが来てくれたり、近所の不動産屋さんから仕事をもらうこともすごい多いから、知り合いも増える。逆にいうと、遠くに住んでる人はほとんど商売の対象外で、近所であればあるほどお客さんだ。これは、店の商品の流れが一方通行の物流ではなく、リサイクルなのでその町内を回り続けるせいだろう。ITだったりネットショップだけで商売してたりっていう業種と正反対だ。
 特に今の時代、家族や職場、同じ趣味の人など仲間内との会話ばかりになりがちだけど、これは結構危険。同じような人とばかり話してるとだんだん世の中が見えなくなってくる。自分達の価値観が普通だと思っちゃいがちで、世の中にはいろんなとんでもないやつらがたくさんいるってことを忘れちゃう。そんな意味でも、街の人たちと普遍的に出会う中での会話では「こんな奴がいるのか!」という驚きの連続なので、なかなか鍛えられていい。やはりジャンル違いというか、違う世界で生きてる人との接点が日常的にあるというのは社会が成り立つ上で必須のことだ。
 で、話を戻すと、物を通した人の繋がりが広がれば、その地域でのコミュニケーションが生まれ、そして、助け合ったり情報交換したり揉め事が起きたりしながらそれが社会を形成する。それは強権政治みたいな謎のエライやつらが中央で勝手なことやり出した時の抵抗力にもなる。圧政の下でみんなで裏技とかの知恵を絞ったりできるし、天変地異とかで大パニックになった時にもなんとかなるし、ローカルな社会である程度何とかなりそうな状態にしておくのは大事で、そんな時に家族と仲間内しか知り合いがいませんなんてことになったら、それは結構やばい。もう死ぬしかない。
 まあ、もちろん近隣住民たちが仲良くなったところで、閉塞感満載のムラ社会みたいな最悪の状態にもなりかねない場合もあるけど、交流がなければそれ以前の問題で、無の状態だったらこれはもう中央政府になんとかしてもらうしかないっていう最弱の状態になっちゃう。奴隷になったら人間おしまいだ。

海外の友達のバンドのCDやら本などもだんだん増えてきた。ここでやたら知り合いが増える。しかも、いまにも酒が出てきそうなカウンターもあり

都市ゲリラへの参加呼びかけ

 そんなわけで、諸君! みなさんも実力行使の地獄の都市ゲリラ部隊、リサイクル作戦を通して、金もうけ中心社会に一発食らわせてみないか!? ということで、二つのお誘い。
 まず一つ目。少しでも多く中古品を使ってみよう。例えば椅子ひとつ新品ではなくて中古品にしてみるだけで、威力は絶大。それが廃棄され、さらに新しい椅子がどっかの遠い国の工場で作られて運ばれてきてっていう環境負荷から救うことができて、この大量生産大量消費の上に成り立つ金もうけシステムに椅子一個分の打撃を与えることができて、さらに椅子を選んでる時に店の人との何気ない会話でちょっと仲良くなって地域の謎の社会とのパイプが少しだけ太くなり、その分だけ中央の権力者の振るう力が弱くなる(椅子一個分)。それが、家具家電一式なんか揃えたら環境負荷の削減は結構なもんになる。あ、でももちろん新品でないとイヤなものもあるし、その時の気分ってのも大事なので、無理にとは言わない。自分だって新品のものを買うことだってよくある。そう、こういうの妙にストイックに遂行し始めると、疲れるしね〜。友達減るし。ま、やはりここは適当が一番。頭の片隅に入れといて、「中古でいいかも」というのをいつでも思い出せるようにしておくのがいい。それと、地域とかは関係なくなっちゃうし輸送も遠距離になりがちだけど、メルカリやヤフオク、ジモティーなどを使うのもいい。もちろん「メルカリ、10%も手数料取りやがって、このヤロー」みたいにムカつく時もあるんだけど、ま、新品よりはちょっといい。

 そして、もうひとつは、敵への最大の攻撃。リサイクルショップを開こう。実はいま、街のリサイクルショップというのは全然足りてない。うちの店だって、いま、とんでもない件数の買取依頼が来まくるけど、とてもじゃないけど捌けないぐらい。片っ端から依頼受けてたら一瞬で店がパンクしちゃうので、受ける件数をセーブしたり、二日酔いで寝坊して店開ける時間を遅刻して電話に出られなかったりっていうような調整をして、なんとか回している現状だ。当然うちで受けられなかった人の中には諦めて廃棄に回しちゃってる人もたくさんいるはずだ。また、リサイクルショップがないエリアっていうのもたくさんあって、その辺では地域で物を回すことができなくなるので、新品を買ってゴミを出すしかないか、あるいは遠方のリサイクルショップに来てもらうしか無くなってしまう。
 ただ、「いまメルカリとかが台頭してリサイクルショップって大変なんじゃないの?」と思う人もいるかもしれないけど、そんなことは全くない。困ってるのはメルカリなどと商品が被ってる大規模に展開してるリサイクル店だけ。街のリサイクルショップでは、ネットじゃ売れないようなものや送料考えたらネットに出す意味がないようなものが主力(凹んだヤカン・でかい棚・現物見ないと価値がわからない謎の雑貨などなど)。しかも、個人店の場合は融通が効くので、なんとでもなる。商売の世界は広いけど、仕入値と売値のどちらも決められるのは古物商だけ。「仕入値が高騰して商売に打撃」みたいなことは一切ないので、そのバランス感覚さえ間違えなければ絶対に潰れない。ってことで、リサイクルショップは超楽勝だしやたら楽しい商売なので、絶対におすすめ。ちなみに、リサイクル屋の開業の仕方は以前書いた『マヌケ反乱の手引き書〜ふざけた場所の作り方』という本で結構詳しく書いてあるので、参考にしてみてもらえれば幸いだ。メルカリで調べてみたら、安ければ500〜600円で買えてしまうので是非(出版社の人に古本勧めてるのバレたら気まずいので、コッソリ買ってね)。

 ということで、諸君! 金持ちたちが牛耳っていまだに利益を独占しているこの世界は、いよいよカオスになろうとしている。ここはひとつ、我々が世界各地で立ち上がって、奴らへの決死の攻撃(古いヤカンを使ったりすること)を開始しよう! これは老若男女も都会田舎も関係なくできる。そうなのだ諸君、あなたの街の近所のリサイクル屋でステテコ姿でハナクソをほじってるオッサン店主や、店番してると見せかけて昼寝してるおばちゃん店主を見よ。あれはゲリラ兵だ! 彼らに続こう! そしてもちろん、使わないものを友達にあげたり物々交換したりするのはもっといい。でも、それだけで全ての中古品を回すのは不可能なので、鬼の分別師、リサイクルショップはやっぱり必要。
 そして最後に言っとくと、「環境を優先したり消費社会を否定して経済が停滞したらどうするんだ」ってことを言い出す人がよくいる。答えよう。そんなもんは知ったこっちゃない。むしろ大いに停滞させて新しい豊かさを作っていかなきゃ、どうしようもない。死ぬほど働いて、どんどん給料が上がって、ひたすら買い物して消費して回る世の中なんか、もう誰も求めてない。逆に、「適当にのんびり自分のやりたいことやってるけど、なんだか知らないけど意外と世の中回ってるじゃねえか。じゃ、晩メシまでもう一寝入りするわ」っていう理想の世の中に少しでも近づけていかないと、世界はこのまま終わってしまう。そう、むしろ経済成長を阻止だ。経済はひとまず停滞させなきゃ何も始まらない。
 諸君、敵の行手を阻むのは我々しかいない! やいやい、一斉蜂起だ!! かすれたボールペンをライターであぶって書けるようにしたり、破れた雑巾を2〜3枚縫い合わせてまた使えるようにしたり、取れたボタンをまた縫っちゃったりと、血で血を洗う激しい闘いに立ち上がり、肥え太る巨大資本に壊滅的な打撃を与えようではないか! ヤカンだヤカンだ! ヤカンもってこい〜。
 ってことで、リサイクルショップ、みんなで使いましょう。

商店街の路上では、ベロンベロンに酔っ払った謎の老人(近所の蕎麦屋)が通りがかりの若い衆を集めて講釈を垂れる。これで中央集権も滅亡は必至

       

松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。