第156回:トランプまた登場! はびこる自分勝手主義への対抗法はこれだ! (松本哉)

 世界中で戦争が収まらないどころか、各地でも火種が燻り続けて危なっかしくてしょうがないっていうこのタイミングで、謎の帝国アメリカではトランプ大統領が再登場することとなった。トランプ氏は「アメリカ第一主義」という、“テメエの身内さえよけりゃ、他はどうなったって知ったこっちゃねえ”という、神をも恐れぬ自分勝手主義。普通はよそ様を気遣ったり面倒見て初めて人としてどうだってもんじゃないのかねえ。それを白昼堂々、自分がよけりゃいいなんて、普通だったらみっともなくてお天道様に顔見せできないと思うけどね〜。まったく、どうなってんだか!
 で、それどころか、そんな自分勝手主義は世界にはびこり始めており、世界各地で「自分たちさえよければいい」なんて公言する、近所のバカ息子みたいな政治家がちらほら登場してきている。こりゃ大変だ! そしてこの自分勝手主義、自分らだけで勝手にやるっていう鎖国的な意味ではなく、どんどん人にちょっかい出して他人を自分の都合のいいように利用しようとしたり、他人を貶めて自分を上げるみたいな人間のクズ的な手法のはた迷惑な主義だ。
 例えば、アメリカからしたらすでに日本なんて完全にいいカモで、いろんなものを買わされたり言うこと聞かされたりと、すでに触手は相当伸びて来ている。じゃ、日本もそれに対抗して自分勝手主義で行けばいいのかっていうと、そんなのは到底無理だ。いろんな意味でここまで没落しつつある日本が世界に太刀打ちできるわけないし、仮にまた強国になって太刀打ちできたとしても、それは、その一方で世界に山ほどある弱小国たちにヒドい目に遭ってもらって、それを踏み台にして、ということだ。よそ様を見捨てて自分らだけのしあがろうなんて、そんなみすぼらしい人生は送れない。
 万事休す! こりゃ無理だ〜、アメリカ帝国を筆頭に、中国や、これから台頭してくるであろうインドなど世界列強の前に我々は骨の髄まで搾り取られるのか!?

 それを聞いて、一目散に逃げるために大八車に家財道具を積み始めている諸君、まあ落ち着いてくれ。まだ日本沈没が確定したわけじゃない。今日はひとつ、世界列強からこの日本社会を防衛する秘策を紹介しよう。その名も、“相手にされない世界のお荷物”作戦! これしかない! そう、世界列強から完全に呆れられて、「日本? あいつら役立たずのバカだから関わらないほうがいいよ」と、触らぬ神に祟りなし状態に持っていくこと。これだ!
 そもそも、現在の資本主義の王道である経済成長頼みの国の運営って世界中ですでに行き詰まっていて、成長できないのに成長しなきゃいけなくなっていろんな無理なことばかりし始めて、環境破壊やら貧富の差の拡大やら国同士の利益の衝突や紛争なんかが起きまくってる。完全に頭打ちで、そこに未来はない。ここは我らがひとつ、世界に先駆けてその路線から離脱して、群雄割拠の列強たちに「あちゃー、やられた!」と、一泡吹かせてやるしかない。それだ、それだ! よーし、そうとなったら具体的な離脱策を練っていこう!

セーター毛玉取り大会──負けたら停電

 まず、経済成長という資本主義の王道をはなっから目指してないことを内外に知らしめるために、完全に無駄なイベントを乱発する。例えば、「都道府県対抗! セーターの毛玉取り選手権」みたいなどうでもよすぎるイベントを開催。で、最下位の3県は罰ゲームで3日間の停電。優勝した都道府県民には3日間の税金からの蔵出し有給休暇で、全員仕事休み。これは盛り上がる。
 停電になったらたまらないのでみんな開催1ヶ月前ぐらいからみんな仕事を休んで毛玉取りの訓練をし始め、大会当日は世界に類を見ない県内屈指の毛玉取りの達人が雌雄を決し、全県民が固唾を飲んで行方を見守る。そして、負けたら3日間停電。県庁から銀行からデパートまで全て暗闇の中。仕事はできないわ昼間も公園で遊ぶとか山に登るぐらいしかすることないわで、「チキショー、来年は覚えてろよ〜」と、日没とともに布団に入る日々。そう、全てが資本主義的にマイナスでしかないが、古来祭りっていうのはそういうもので、金もうけだとか変な計算を働かせたら粋じゃない。トランプを筆頭とする資本主義の権化の出はなを挫く絶好の作戦で、初っ端から「こいつら何やってんだ」と、呆れさせるのがいい。こういうくだらなすぎるイベントが連発してるような文化が根付いてる国を侵略したら経済的損失は計り知れないということを、まずは知らしめたい。

ちょんまげを結う

 世界をビビらせるという意味では、ちょんまげ(丁髷)を結うのもいい。日本が近代化(資本主義化)する前のステレオタイプ的なイメージはちょんまげだ。侍のイメージが強いが、形は違うけど商人から農民まで基本的にちょんまげだったし、女性も髷を結っていた。女性の髷の場合は今でも伝統的なスタイルとして海外の人からも評価されがちだけど、男のちょんまげの場合はどうもマヌケな印象しかない。
 そこで政府閣僚や高級官僚などは積極的にちょんまげを結ってもらい、サミットやG20など国際会議に果敢に出張って行って欲しい。重要な会議で日本代表が会議室に現れた瞬間に笑いが起こり、何か発言する度になぜかみんなが半笑いで聞いてるぐらいのポジションを築くことができれば、もう落語家としては一人前だ。世界広しと言えど、この地位を追い落としにかかるような国は世界にはない。
 バスの運転手やコンビニ店員、ビジネスマンから一流のヘアデザイナーに至るまでちょんまげだったら、いざ侵略して日本を支配しようと目論む勢力があったとしても「あそこか〜」と、二の足を踏むことは確実。核抑止にも劣らぬ力を発揮してくれるはずだ。

仕事中に酒

 神事から祝宴の席、村の祭や寄合の場など、昔から日本社会と酒は切っても切れない関係があった。飲んだくれたり暴れたりするのでなければ、酒を飲むこと自体は特段悪いこととはされていなかった。ところが明治の文明開化以降、キリスト教的価値観が染み付いた西洋文化が入ってくるに従って徐々に「酒=だらしない」ということになってきた。なので、江戸時代までは仕事中に酒を飲むことは特段珍しいことではなかったという。明治維新期に西洋人の実業家(資本主義の権化)が日本に進出し、日本で事業を起こし始めた時、どいつもこいつも仕事中に酒を飲んだり平気でサボったり嘘をついたりととんでもなかったことに頭を抱え、人員集めの手配師に「頼むから仕事中に酒を飲まない人を集めてくれ」と頼んだら、「そんな奴はこの日本にはいねえ」と言われ、東の果ての島国で途方に暮れたという逸話がある。
 それだそれだ! はびこる世界列強から見捨てられるには、ここはかつての伝統を思い起こし、仕事中に酒を飲み始めるしかない。上司がちょっと目を離すとすぐ畳の上で車座になって酒を飲み始めてる感じになったら、もう「日本でのビジネス展開は無理だ!」と諦めるに違いない。もちろん、やるべき仕事の時は飲まずに普通に働いたらいいが、いざふざけた上役が幅をきかせる時なんかは容赦なく飲み始めるしかない。そう、労働者の最後の切り札“労働力にならない”という地獄の最終兵器の恐ろしさを知らしめてやるしかない!

背が低くなる

 あと、やたら背がチビっこいのもいい。元々背が低い日本の利点を活かして、極力ナメられるように、小さい奴らがチョロチョロしてる感じを貫いていきたい。最近は食生活やライフスタイルの関係で、各国の平均身長はどんどん伸びてデカくなってきているというから、これは絶好のチャンスだ。これを機に日本は逆行して小さくなるしかない。やたらせっかちな小さい奴らが大量にいる謎の島。これはいい。トランプみたいなでかいビジネスマンがノッシノッシと現れても、小さいのがワラワラ現れてうろちょろし始めたと思ったら、急にクモの子を散らすように逃げ散ったりしてれば、でかいやつらは「ええ〜い、まどろっこしーい!」とイライラして仕事どころじゃなくなるはずだ。で、いざ追いかけられても、やたら低い鴨居の古い長屋かなんかに逃げ込めば追っては来れない。それに、やたら小さくなれば、そもそも目線が合わないので、余計な仕事を振られる回数も減り、一石二鳥だ。

すぐ見え透いた嘘をつく

 「いや〜、山手線が人身事故で」「80歳のおふくろが階段で転んじゃって」「携帯が壊れてLINEの通知がなぜか来ないんですよ」「来る途中の川で溺れてる子どもを見つけた」などという誰が聞いても嘘とわかる手法を国際舞台でも連発。最初は国際問題に発展するも、継続は力なり、最後は「ハイハイ、そりゃ大変だったね。で、子どもは助かったのかい?」などと呆れ顔で言われるようになれば勝ちだ。日本を支配しようとする場合は「嘘つきは泥棒の始まり」から教えなきゃいけないのかと、列強各国は二の足を踏むことは確実だ。

 えーっと、こういうくだらないことを書き始めると止まらなくなるので、この辺にしておくが、まあともかく、旧来の資本主義社会のお家芸みたいな弱肉強食の価値観とは相容れない謎のエリアにしてしまうのがいいってことだ。

必殺、石破茂作戦

 で、ここで注目したいのは日本の政界。最近はくだらない政治家たちやくだらない政党群の変なもくろみが渦巻いてて興味すら湧かないが、なんだかよく知らないけど石破茂氏が首相の座についているようだ。ま、所詮は自民党なので、その時点で治世の哲学から政策まで全部アウトなのでそこへの期待は一切ないが、何を言いたいのかよくわからないような不気味な言い回しとかさせたら天下一品の可能性大。上記の世界列強への対抗策を考えたときに、これはいい。要は関わったら損するような雰囲気を醸し出せれば防衛成功だ。そう、石破氏のポテンシャルは高い。何事もハッキリしない日本の悪いところを逆手にとって、その不気味さを防衛策に使おう。
 まずは、首都を山深い不穏な空気感の戸隠とか伊賀あたりへ遷都。樹海でもいい。こうなると、トランプ来日みたいなことになっても勝ち目はある。まずトランプが米軍の横田基地あたりに颯爽と降り立ち、でかいアメ車に乗り込んだとしても、延々と山深い道を車で入って行かないと首脳会談ができないので、細い山道になってくる頃にはスズキの軽バンあたりに乗り換えを余儀なくされ、この時点でペースはこっちのものだ。そして、徐々に未舗装の砂利道になってくるあたりで不安になってくる。この辺りでさすがのトランプも痺れを切らし、「石破ハドコニイル!」と振り向いて日本サイドの側近に話しかけるが、その側近の顔はすでにガイコツとすり替えられている。さらには車を降り、恐ろしく長い参道の石段を登らされ、次第にカラスが鳴き始めたり、ハッと振り向いたら忍者の影が一瞬見えたり、夕方には定刻の寺の鐘が鳴り「コレハ、ナンノ合図ダ!」と飛び上がって驚いたりと、ペースは完全に日本サイドへ。
 そして、夜もすっかり更けたころ、あたりには民家もなく、ちらほらと廃屋や無名人士の墓標などがある深い森の中を抜け、遠くに見えるかすかな松明の灯。その新首都の古寺に到着するトランプ一行。その頃はすでに、トランプ氏が身にまとう星条旗柄のスーツとシルクハットもすでにススや蜘蛛の巣にまみれている。コウモリが舞う古寺の入口の木戸を、トランプ氏最後の勇気を振り絞って、ギギギギギ〜、と軋む音を立てて開くと、そこには広い仏間が広がっており、その正面で薄暗い行燈の明かりに照らされた石破茂氏が鎮座している。石破氏は「お出ましですかな」とニヤリ。首脳会談の始まりだ。トランプ氏は脂汗をかきながらも気を取り直し、ビジネスマン然としてさまざまな無理難題を要求。そこへ石破氏は行燈のゆらめきで見え隠れする笑みとともに「ええ、そこは善処いたしましょう」「よきに計らいますので、そこのところよろしくお願いしますよ」「内容を吟味して前向きに」「ここは持ちつ持たれつで、分かってるよね、キミ」などと、日本の伝統文化、答えてるようで内容ゼロの玉虫色の回答を繰り返す。それを援護射撃するかのように、急に風が吹き込んだり、行燈の火が突然消えたり、天井の裏で足音がしたり、台所で包丁研いでる音がかすかに聞こえたりして、さすがのトランプも言葉に詰まり、要求を押し通せない絶妙な間を読んで、すかさず石破氏がポンポンと手を叩き「これ、誰ぞある。トランプさんのおかえりだよ。お見送りを」の一言。勝負あった!
 これやってほしい!!!! のらりくらりと不気味なかわし方で相手の土俵には乗らない。押し寄せる列強の波から守るにはこの手しかない! っていうか、石破氏、こういうのやらせたらめちゃくちゃ真価を発揮すると思うんだけどな〜。

国会改革と政府改革

 さあ、その石破氏の手腕で乗り切れる時間にも限りがある。それに自民党は金持ちの代弁者の党なので、仮に外圧を乗り切ったとしてもその後がまた厄介なことになる。現に自民党政権はすでに国内の人々から金をむしり取りにかかっているぐらいだ。それじゃ意味ない。かといって、政権交代したとしても危うい。金の亡者と化したヤケクソ資本主義勢力が土足で踏み込んでくるのを追い払うのは容易なことではない。
 ここは、めったに働かない民衆作戦、玉虫色の首相作戦に加えて、政府などの国の構造にもメスを入れないといけない。とりあえず、掴みどころのない「だめだこりゃ!」とあきらめさせるような体制を早急に築くのが重要だ。ってことで、ひとまず国会議員の人数を6000人ぐらいにする。そうするとジャンジャン当選するので、いろんな主張の政党も続々と出て来て、500政党ぐらい乱立してくる。二大政党制なんてのは選択肢少なすぎてクソ喰らえなので、そんな感じでいいよ。それぐらいあったら、さすがに自分の考えに近いところも出てくる。こうなってくると、120政党で連立政権なんてことになってきて「いや〜、先週は8政党抜けて5政党が連立入りしたよ」みたいな感じで大変なことになってくる。野球の二軍やサッカーのJ2みたいな政党あってもいいね。
 ここまできたらもう列強諸国は誰と交渉したらいいのか訳わからなくなってくるので、都合悪いときにケムに巻きやすくなる。なんなら南北朝時代みたいに国会もう一つ作っといて、「いや〜、正統なのはこっちとも言えるし、あっちとも言える」みたいにする手もある。それに、ここまで人数が多いと一人ひとりが目立たないから、威張ったり調子に乗ったりする奴らも減っていいかもしれない。
 さらに、国会ウヤムヤ化でも守りきれない苦しい局面の場合は、最後の奇策として、市区町村全てが独立して日本を1700カ国に分割。日本なんていう、そこそこ経済規模でかい国だからややこしいことに巻き込まれるのであって、世界最弱レベルの国になればいい。で、その1700カ国は隣近所同士でこっそりいろいろ融通しあったりして助け合えばいい。こりゃ、平和でいいよ。で、世界各地に独立を呼びかける。みんなが小さくなればいい。田舎の道を歩いてると、たまに千匹以上のやたら小さい小蠅みたいな虫が群れになって飛んでて、払っても何してもどうしようもなくて、うわー、って逃げるしかない感じ。あれあれ、国家の理想像。

我々の出番

 と、ここまでふざけた話ばかりしてきて、「首相が玉虫色で国会がのれんに腕押し状態って、外圧はのらりくらりとかわせるかもしれないけど、それじゃ内政まで何も決められなくなって実行不能になるじゃねーか!」と思うかもしれない。そう、その通り。でも、それでいいのだ。そもそも考えてもみてほしい。これまでリーダーシップをズバッと発揮して素晴らしい政治が続いた時代があっただろうか。少なくとも近代以降じゃ聞いたことがない。もちろん、たまにいい市長なんかが誕生していい政治が行われることもたまにある。でも、それも一時的なことで、また別のやつが登場してヒドいことになったりもする。しかも、大きな目で見ると、総じて世の中は悪くなってきている。そんなまぐれの善政には期待できない。さらにいうと、これまでの数々の自民党の不祥事が次々とウヤムヤになっていったり、「ふざけんな」と闘う姿勢を見せていた野党が気付いたら腰砕けになって変な妥協したりし始めるのもこれまで何度も見てきた。世界を見てもいつまでも戦争とかやって原始国家以来大して進歩してないし。ま、早い話が、数千万人、数億人なんていう規模の人をお上がうまいことまとめるなんて土台無理だっていうことはすでに証明されている。もちろん悪政より善政の方がいいので、いい政治家は増えてほしいけど、まあ焼け石に水状態。
 さあ、そこで重要になってくるのが、第一の作戦、1億人のんびり生活社会で、みんなで地道にローカルな社会を作っていくしかない。そもそも北海道から関東、関西、沖縄までどこもノリは違うし話の呼吸感も違うので、物事の進め方だってそれぞれ特色があるはずだ。油断していい時は酒飲もうが昼寝しようが適当でいいけど、締めるべきところはキチッと締めていくっていう加減や程度だって、それぞれの場所や、人によっても違う。バカな祭りが始まると1ヶ月以上誰も働かなくなるところや、寒くなると3ヶ月ぐらい家から出てこなくなる地域があってもいいし、昼はみんなぐうたらしてて夜になると働き始めたりナイトマーケットやらで盛り上がるところがあってもいい。1日3〜4時間だけものすごい集中して働くスタイルのところや、12時間ぐらいだらだら適当に遊びながら働く風習のエリアなどがあってもいい。どこがどういう風習になってるのか完全に不明で、行って溶け込んでみてようやく「なるほど、この辺りではこうやって世の中が回ってるのか!」と知る感じ。
 まあ、要するに世の中が回ればいいのだ。回らなくなったら村の寄合で「おい、こりゃあまずいぞ!」と、なんとかするに違いない。で、どうにもこうにも回らなくなってやばい時に「全くしょうがないやつらだ〜」と登場するサポートセンター役が国の仕事だ。あとは、電気や鉄道を通したりと基本的な下働き。なので、日本政府がトランプとか習近平とか国連なんかに「お前らいったいどうなってんだ」と怒られても、「いやあ、うちは国であって国でないというか……。海の上にポツンと浮かぶ、あるようでないような儚い国というか……。まあ蜃気楼みたいな、ま、ワビ・サビですね」とか言っておけばいい。

 結論を言ってしまうと、我々一人ひとりの生き方にかかっている。間違っても、国のために生きたり、国益のために働いてはいけない。資本主義が頭打ちになってるこのご時世にそんなことをしたら、瞬時に足元をすくわれて社会がメチャクチャになってしまう。そうではなく、なるべく小さな社会を作って、その社会が丸く収まるぐらいの適度な生き方を、ほどほどに自分勝手にいい加減にやればいい。そうして国家が弱体化する代わりに民衆がむやみやたらとサバイバル力を養う。これが必勝法だ。
 えっ、身の回りに小さな社会なんてない? そりゃ大変だ、そんな諸君は一刻も早く、近所の飲み屋や食堂、銭湯に行って顔見知りを増やすしかない!! ことは急を要する! 急ぐんだ! そう、それがこの混沌を迎える世界からこの社会を守る最短距離だ。
 諸君の健闘を祈る!!!

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松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。