第163回:日中緊張関係発生! とりあえず北京に行って飲み歩いてきた(松本哉)

 全国の酒飲みの諸君! とりわけ、日々飲み歩いて家族や真面目な友人たちから白い目で見られている同志の諸君! ついに我々の重大な任務が登場した。常日頃から世間の誹りを受け、日陰者として世をはばかって飲み屋をハシゴしているのは、世を忍ぶ仮の姿。諸君、重い腰を上げて立ちあがる時が来たのだ!! そう、いま飲み歩くことが求められている。ここはひと肌脱ぐしかない!
 何の話って、そう、最近の日中間の緊張関係のこと。我らが首相が、言ったら怒るのわかってることウッカリ言っちゃって、まんまと怒らせてしまい、向こうは向こうで「オメー、なに調子に乗ってんだコノヤロー」と本気モードに。ヤベエと親分に泣きついてみるけど「俺は知らねえよ」と見放される始末。ま、田舎の居酒屋なんかで幼馴染みの町工場の社長と町内会長なんかが意地の張り合いでケンカになり、「てめえ、バカにしやがって」「なんだと、表へ出ろ」みたいなくだらない感じ。いや、バカバカしい。どいつもこいつもしょうもない。付き合いきれねえ。
 というか、そもそも日々普通に生活を送ってて遊んだり働いたり騒いだりしてウロウロしてるだけの我々市井の民からしたら、本当知ったこっちゃねえ話。これ、日本のうちらだけじゃなくて、中国の一般のやつらも同じで、とんだ迷惑だ。政治家だかなんだか知らないけど、勝手に国を牛耳った気になってるやつら同士のイザコザで、なんでこっちが巻き込まれなきゃならねえんだ、まったく〜。せっかくこっちは国同士の利害関係とは別に、いろんなレベルで国超えていろいろ繋がって遊んだり働いたりして、いい関係も築いたりもしてるのに、ややこしいことしやがって〜。
 ってことで、こういう時こそ我々のんべえの出番。こんな時だからこそ、むやみに行ったり来たりして飲みまくってしまうのがいい。とりあえず中国に乗り込んで、現地の中国人たちと飲みまくってしまおう。最近はどいつもこいつもネットやSNSに頼りすぎて、知りもしないことを知った気分になっちゃってるやつらが多すぎてよくない。ここは我々が酒瓶でも携えて現地に行って、「みなさんどうもどうも。いや、うちのバカなお上が余計なことやって、すいませんね、どうも。あとでキツく叱っときますんで。まま、まずは一献」といけば、向こうだって「いやいや、うちの方もとんでもないんで、いつもお騒がせしてすいませんねえ。今日のところはこれでご勘弁を」なんて返盃が返ってくるに違いない。そう、こっちはこっちで仲良くしとくのが大事だし、向こうの人たちの空気感や表情や雰囲気なんかを実際に感じてしまうのがいい。こればかりは行ってみないとわからないからね〜。
 さあ、そうなったらもうやることはひとつ。はい、中国に行って中国人と飲みまくってきまーす! じゃ、俺はちょっくら先に行ってくるから、のんべえ諸君、後に続いてくれ〜!! 飲むぞー! あ、酒とか嫌いな人、怒らないでください。酒飲みには酒飲みの生き様があるんで、勘弁して〜。あと一杯だけ飲ませて〜。

裸一貫、単身中国へ乗り込む

 ちょっとどうしても新鮮な青島生ビールを飲みたかったので、ひとまず青島へ向かう。あ、もちろん一人ね。やはり人と交流しようって時は自分を劣勢に置くのは重要ポイント。大人数で行っても向こうは普段通りの本音を出して来ないので、やはりここは常にアウェイ戦を心がけたい。のんべえ諸君は一瞬でわかると思うけど、これは飲み歩き方の心得と同じ。常連が集まる小さい個人店の飲み屋なんかに、一見にもかかわらず6人7人で押しかけてカウンター席の場の空気を持っていっちゃうのは、酒飲みとしてかなりの無作法だ。国際交流も同じで、やはり一見の客として「お邪魔さしてもらいます」という謙虚な姿勢で行ってはじめてその場のことを知ることができる。
 てなわけで青島到着。しかし青島には友達は一人もいないので、なんとか知り合いの中国人に連絡しまくっていくつかの青島情報を聞き出して、それを手掛かりに歩いてみる。果たして、今の状況下での中国人の反応はどんな感じなんだろうか。日本のニュースを見ていても、政治の動向は報道されてても一般民衆の様子はほとんど伝わってこないので、これは気になるな〜。
 早速、地元民が集まるローカルな夜市とか、知り合いの知り合いみたいな飲み屋とか、いろいろ遊びに行ってみる。これが意外と反応良くて、日本から来たよというと「おー、日本から来たのか〜、いいねー!」みたいな感じで思いのほか歓迎モード。「コロナの前までは青島にも日本人たくさんいたんだよ〜」みたいなこと言ってきたり、なんか好意的だ。あれ、別になにも変わってない。一緒じゃん。みんなめちゃくちゃ優しいし。
 いや〜、もうちょっと「コノヤロー」みたいな感じで怒られて、そこからどう一発逆転で仲良くするかってのがやりがいあっていいんだけどな〜。例えば、以前、尖閣諸島問題でひと揉めあった頃に中国に行ったときは、結構絡まれた。深夜バスに乗った時などは、隣に座った土建屋の親方風のおっちゃんに話しかけられて、こっちが日本人ってわかった瞬間に「オマエ、日本人か! 日本どうなってんだ、俺は日本人嫌いだ!」みたいなテンションで言ってきたんだけど、「まあまあ、そんなこと言わないでくださいよ〜」とか返して出鼻をくじきつつ、「いや〜、ラーメンも餃子も麻雀も元は中国から来たもんじゃないですか〜、そもそも日本人の名前みんな漢字だし、仲間みたいなもんでしょ〜」とにじり寄る。オヤジも劣勢を挽回すべく中学校の社会科で習った知識をなんとか引っ張り出してきて「で、でもオマエ、戦争の時中国人死ぬほど殺されたんだぞ。どうなってんだオマエら」と反撃してくるが、そこは「いや、あれは日本が悪かったね」とすんなり認め、さらに出鼻をくじく。そうこう話してるうちに、土建屋オヤジ「いや、実は俺生の日本人と初めて話したけど、なんかイメージとだいぶ違うな〜」みたいなこと言い出して、結局仲良くなった。あのオヤジ、地元(聞いたら田舎の人だった)に帰ったら仲間と火鍋とか食べながら「オメエら日本人見たことねえだろ。俺は本物に会ったことあるんだよ。知ってるか? 日本人にもたまにはいい奴いるんだよ」みたいな感じで吹聴するに違いない。それそれ、あの感じが好きなんだよね〜。自分は元々、人に文句言われてもあまり傷つかないタチなので、これは天性の任務! さあ、どんどん文句言われるぞ〜。
 ってわけで、青島でもどっかで「おまえ日本人コノヤロー!」って言われたくて、およそ観光客が行かないであろう金物屋とか裏路地のボロい食堂とか入った時に「いや〜、日本から来たんですよね〜」みたいにさりげなく言ってもみんなやたら好意的。おかしい。現地の日本人駐在員向けには「あまり日本語を大っぴらに話したりして日本人とバレないようにした方がいい」なんてお達しも出てるって聞いたけど、そんなバカな話はない。なので、タクシーに乗ったりしてもむやみに「運ちゃん、おれ日本人」みたいに話しかけてみると、「あ、そうなのか。俺は銀座行ったことあるぞ」みたいになるだけで別に危険な状況にはならない。話が違う! チキショー、初対面の人に怒られてえな〜。
 ま、今回は青島は軽いジャブみたいなもんなのでしょうがない。怒られるのは今度にとっておこう。今回はそれよりも首都北京で飲みまくるのが目的だ。

いざ首都北京へ!

 さていよいよ本丸の北京へ! 北京は死ぬほど友達がいるので、これは楽しみだ! しかもそんな友達たちは芸術とか音楽とかやってたり、飲み屋とかイベントスペースとか変わった店をやってるやつらばかりで、日本のその辺の人たちとほとんど似たような価値観で生きてる連中。いやー、みんなどんな感じなんだろ。相変わらずバカなんだろうな〜。でも違ってたらどうしよう。
 北京到着後は、まずは鼓楼東大街というところに宿を定める。この一帯は北京中心部の中でも面白いBARとかライブハウスや変わった雑貨屋、レコード屋などのサブカルチャーや謎の文化エリアなので大バカな奴らもウロウロしてていい感じのところ。さて、そうして早速北京のやつらに連絡して合流するわけだけど、待ち合わせ場所で会った瞬間に「おー、久しぶり! っていうか、このタイミングで日本から来るの面白すぎるだろ! オマエ、分かってるな〜」みたいな感じで大爆笑される。言わずもがな日中の緊張関係のことだ。いやー、このリアクション最高すぎる。何も変わってないこの感じがすごくホッとしたし、やっぱり飲み友達に国境はねえなと改めて実感。国家と民衆を分けて考える人はやはり信頼できる。
 久々に会った北京のバカなのんべえたちとの会話の中心は、やはり最近面白いスペースあるかとか、昔、その名を轟かせてた北京屈指のマヌケたちは今どうしてるかとか、逆に最近の東京の面白いことはなんだとか、そんな地下文化シーンに関する話や情報交換で盛り上がる。やっぱりみんなの関心事はそこ。なんかニュースだけ見てると、勝手に国を牛耳ってる気分になってる奴ら(=政府)同士の関係性とかがみんなの関心事のように思っちゃいがちだけど、実のところそんなのよりももっと身の回りの環境づくりのことの方が関心事。もちろんそれは政治的無関心ってわけじゃない。そんな身の回りの社会の積み重ねが本来あるべき政治や社会なので、謎の空中戦みたいなの勝手にやられてもそんなの“政治”でも“社会”でもなんでもない空虚なニセモノだし、そんなものに巻き込まれる人を一人でも減らすのが本来の政治・社会にとって大事なこと。
 ま、とは言って話も深くなってくると、やっぱり今の日中間の話もしないではない。そこでよく聞かれるのが、「日本では政府の支持率7割ぐらいあるんでしょ? どんな人が支持してるの?」ということ。そんなこと聞かれても知ったこっちゃないので、「YouTube見過ぎの年寄りとか友達いない若者とかじゃない? 俺しらね。俺は高市みたいなやつ嫌い」とか聞かれるたびに答えまくっといた。
 そんな感じで飲みまくってると、次から次へとバカな友達が飲みに来て文字通りバカ騒ぎになっていくんだけど、北京のやつらも、日本で勝手なことやって遊んでる奴らとまったく同じような感性でいたし、これを再確認できるのがのんべえ冥利に尽きる。で、やつら酔っ払って言い出すことは「オマエ、滞在短すぎるからチケットキャンセルしてもっと北京で飲もう。1〜2週間いた方がいいよ!」みたいなこと言い出す奴らばかり。やべー、それいつも自分が言ってるセリフ! 帰れねえ!

北京で飲み歩くならココだ!

 あ、そうだ。せっかくなので北京のこともちょっと紹介してみよう。日本国内での情報では中国の一般のその辺のやつらの空気感とか全然見えて来ないしね。

 今回北京で飲み歩いたところで、まず行ったのが「盲区」というBAR。ここは北京のバンド界隈のやつらが作った店で、飲み屋として営業する以外にもライブイベントをやったり上映会やトーク系イベントもやったりZINE作ってたりと、いろいろ精力的に活動するアジト的なスペース。この盲区メンバーたちとはコロナ前からの友達で、当時から「いやー、やっぱりみんなが集まって、自由にイベントとかできる自前のスペース持とうと思ってるんだよね」と始まったスペース。

バンド界隈が集う拠点「盲区」

盲区で酒豪たちと朝まで飲む日々

 次は甭管BARという店で、盲区の斜め向かいにある。北京パンク界隈の人たちの店で、盲区と合同イベントやったりもしてて盟友みたいなところ。歩いて10秒ってところがいい。

甭管BAR

甭管の大将と

 さらにこの甭管、今月新しくライブハウスをオープン! このご時世にパンクの新しいライブハウスができるってさすが政治都市・北京。オシャレCITY上海ではあり得ない!(笑) ちょうど滞在中にオープニングイベントがあったので行ってきたけど、大盛況でバカ騒ぎだった!

新スペースの甭管2号店

 そして、その甭管ライブハウスから約50m先にはSchoolという老舗ライブハウスがあり、ここは北京ロックシーンでは欠かせないところ。ここのボスは北京の老舗バンドJOYSIDEのマネージャー係もやってて、行った時に話したら「来週、東京行くよ! 下北沢shelterでライブやるから遊びに来てよ」だって。世界はやはり近い! やれ中国がどうの日本がどうのってなぜかカッカしてる、日中両側にいる謎の“愛国者”とか、実は地下文化ではこんな距離感でずっとやってきてるってことをわかってほしいね〜。

伝説のライブハウス、学校School

 次に顔出したのは「原料空間」という飲み屋。北京にはかつて「SOSクラブ」っていう北京のあぶない飲んだくれたちが集いまくる伝説のBARがあった。ここは自分も飲みすぎて何度もひどい目に遭ったという、最高の場所。で、この原料は、そこの流れを汲む恐るべき飲み屋。いや〜、こういう地元のんべえたちと交流できる場所があるってのは我々よそ者からしてもありがたい存在だ。

原料空間。この日は営業終わってたけど、中見せてもらった

 そして原料の隣にあるのが「五金」。ここは見ての通り、キッチンをメインとしたスペース。この場所には最近引っ越したんだけど、引っ越す前のスペースも同じようにキッチンとテーブルが中央にあるレイアウトだった。その配置の通り、料理をするイベントもあったり、トークや学習会的なイベントもあったり、ここも活発に活動してるところ。五金の阿科(写真右)という姉御(←シャキッとしてやたら行動的なのでそういう雰囲気)は去年には高円寺にも遊びに来てた。

五金

 あと自分的に重要なのが「独音唱片」。中国のインディーズ音楽を大量に扱うレコード屋で、ここもかなり老舗。だいぶ昔にまだ中国音楽シーンについて何もわからない頃、北京に行くたびにここに行って店員さんに最近のオススメのやつとかいろいろ教えてもらってる。で、ここも6年ぶりに行ったらすごくグレードアップしててビビった。中ではカフェスペースなどもできており、すごくきれいになってた。いや〜、昔は街の古いレコード屋みたいな佇まいだったんだけど、いや〜、おまえら出世したな〜!

レコード店「独音唱片」

 さて、北京では他にもたくさん面白いスペースがたくさんあるんだけど、とりあえずこの辺で。細かい日記はブログで書いたので興味ある人はこちらを
 そして、上で紹介したところ、全部徒歩圏内。やっぱり歩いて行けるところにあるって本当に重要なんだよね。行ったり来たりして人が混じるし、人それぞれ会う場所合わない場所あるので居心地のいいところに落ち着けるし。あ、あとのんべえ諸君に朗報なのはいま紹介した場所、全部酒売ってる。よし、ハシゴだハシゴだ! 飲み歩いて北京人と仲良くなろう!

北京の飲んだくれの、通称飛び出しナイフくん。台湾で会ったり東京で会ったりもする。こういう無駄にウロチョロしてる酒飲みの存在は重要

のんべえ交流の意義

 さてさて、そんな感じでアンダーグラウンド飲んだくれ親善大使としてトータル約1週間ぐらい死ぬほど飲み歩いてきたわけだけど、やっぱり日本人も中国人もヘッタクレもないね。しかも、「お互い国や政府が大変だけど、うちらは頑張って交流しよう!」みたいなわざとらしい感じなんて一切ゼロで、イエーイ、うおー、みたいな何も考えてない感じが最高。実際中国に行く前は「いや、実際どんな感じなんだろ」とか思わないでもなかったけど、いざ現地に着いてバカな奴らの顔見た瞬間に「おー、飲みますか〜」みたいになって、ややこしいこと全部飛ぶ感じ。もちろん知り合いだけじゃなくて、完全初対面の人たちとも死ぬほど飲んできたけど、全部そんな感じで、全員絶好調だった。そう、飲み始めて思うのは「日本人として中国に行って中国人たちと酒を飲もう」っていう発想自体が間違ってたことに改めて気付く。酒飲みにとっては、なに人かなんて野暮なことより、次にビールなのかウイスキーなのか、白酒いっちゃうのかってことの方が重要なことだ。いや、そうだった、俺が悪かった!
 そして、国関係なく、本当にバカすぎるのんべえは延々と飲み続ける。夕方から飲み始めて明け方まで飲んでるやつだっている。知らない間に隣の初対面の人と話し込み、「あれ! 気付いたらオマエと8時間も一緒じゃねえか! そもそもオマエ誰だ!」みたいなことだってザラにある。これは酒飲み同士でしか成し得ない偉業と思ってくれ、のんべえ諸君。ま、なんの話したか全然覚えてなかったり、ものすごい熱弁振るったのに相手が記憶飛んでたりという、マヌケな事態は多々あるものの、確実に近隣住民同士の距離感になる。これこれ。今の国境が分断されて、あっちこっちで勝手に国同士が揉め始める世界、近隣住民感ある人間関係が国境を超えて広がることがとても大事になってくるのだ。
 いくら国が戦争を始めようとしても、その国の人たちがやる気ゼロだったら戦争なんかできっこない。では、揉めてる国の人たち同士が死ぬほど飲み友達だらけだったらどうか。いざとなった時も、相手国の行きつけの飲み屋とかそこのマスターや常連のバカな顔が浮かんでくる。酔い覚ましで何度も行った定食屋のおばちゃんの顔も浮かぶ。酔ってヘソ踊りやってたバカがまだそこにいることも思い出す。置き忘れてきた自分のカバンもあそこの飲み屋に置いたままだし、貸した2000円もまだ戻ってきてない。「そこ空爆は勘弁してよ〜。困るよ〜」となって厭戦ムードは全開になる。両陣営でそんな奴らが無数にいて「いや…、それはちょっと…」っていう奴らがワラワラ続出しまくったら、とてもじゃないけど戦争なんかできない。そう、戦争になるのは飲みが足りないといっても過言ではない!!!! これ、さすがに対イスラム圏とかでは通じない作戦だけど、東アジア圏に関しては、我々にも一役買える可能性がある!

1週間飲み歩くだけで、新たな知り合いが数十人できる。しかし、北京の人たちは飲むな〜。くわばらくわばら

 さて、そういうことだ、酒飲みの諸君! 政治力を使って平和を築こうとする人もいれば、スポーツや文化交流で攻める人もいるし、酒飲まない人はお茶で交流するかもしれない。みんなが自分に得意ないろんな手を使って平和を築くのがいい。そして諸君、我々がやるべきことは言うまでもない。飲み会だ!!!
 「誰に吹き込まれたんだか知らないけど、そんな屁理屈言って、ただ飲みたいだけでしょ! 早く帰って働きなさい」などと言ってくる親戚のおじちゃんおばちゃんなんかには聞く耳も持たず、目を瞑り「いや、ここは世界平和のためにやむを得ないんだ…」と決め台詞を吐いて悠然と立ち上がり、「あいつ、いよいよ頭おかしくなっちまったんじゃないかねえ」と背後で囁かれるのを聞きつつ、「ちょっと北京行ってくらあ」と、いぶし銀の背中を見せながら飲み屋街の闇に姿を消す。これだ!
 世界平和のために、ハシゴ酒が国境を越える時がついに来た! みんなで各地に散って日本の酒飲みのくだらない底力を見せに行こう!

*記事を読んで「いいな」と思ったら、ぜひカンパをお願いします!

       

松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲! タダで生きる方法 増補版』(ちくま文庫)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方 増補版』(ちくま文庫)、編著に『素人の乱』(河出書房新社)。