第46回:野中広務さんが亡くなった…(木内みどり)

今日
2018/01/26
野中広務さんが亡くなったというニュースを知った。

淋しい。

友人・辛 淑玉さん(スゴちゃん)から一緒にご飯しようと誘われて、野中広務さんと晩ご飯をしたことがあります。

野中さんがご馳走してくれることになることがわかっていたし、前日が野中さんのお誕生日と聞いてもいたので、なにかしら用意したいと思い、散々迷った挙句決めた、パステルカラーのピンクとパープルが素敵にあやなしているネクタイを用意しました。

あるホテルのあるレストランで3人でご飯しました。

驚いたことに、いきなり、野中さんからプレゼントをいただきました。京都の脂とり紙、縮緬の綺麗なケースに入っている上等なものでした。
あぁ、ネクタイを用意してきてよかったとホッとしました。野中さんは包みから出して「絶対、自分じゃ買わない色だな」と少し照れながらも胸にあてて喜んで下さいました。

常に背筋がピンとしていて、
角張っていて、
硬くて、
なのに、なのに、優しい~~~という複雑な印象の方。

ほんとに、たのしい時間でした。

わたしとスゴちゃんとが「長いお務めご苦労さまでした」「ここからのマッサージは日本国民からのものです」「ここからは未来のこどもからのマッサージです」とか言っては野中さんの肩をマッサージするという時まであって、3人が3人ともたのしく過ごした晩なのでした。

翌朝、野中さんから携帯に電話がありました!!
スゴちゃんから聞いたわたしの携帯に電話してくれたのです。

「昨日はたのしかった。また、やりましょう。
月に何度か東京ですから、また、近いうちに。
そう、ふふ、今、いただいたネクタイを締めています。
このネクタイでこれから京都に帰ります」
って。

わたしにとって野中広務さんは本気の日本人で、
正義の人で、
ブレない人で、
徹頭徹尾、反戦。
徹頭徹尾、反差別。
硬くて硬くて、
なのにやさしい~~方で、
とっても素敵、でした。

野中広務さんと辛 淑玉さんの対談本、
『差別と日本人』
これ、読んでほしい。

わたしと友だちだと思ってくださってる方でしたら、ぜひ、読んでほしい本です。


追記

この記事も読んでください。
http://blogos.com/outline/273823/

*記事を読んで「いいな」と思ったら、ぜひカンパをお願いします!

       

木内みどり
木内みどり(きうち みどり):女優。’65年劇団四季に入団。初主演ドラマ「日本の幸福」(’67/NTV)、「安ベエの海」(’69/TBS)、「いちばん星」(’77/NHK)、「看護婦日記」(’83/TBS)など多数出演。映画は、三島由紀夫原作『潮騒』(’71/森谷司郎)、『死の棘』(’90/小栗康平)、『大病人』(’93/伊丹十三)、『陽だまりの彼女』(’14/三木孝浩)、『0.5ミリ』(’14/安藤桃子)など話題作に出演。コミカルなキャラクターから重厚感あふれる役柄まで幅広く演じている。3・11以降、脱原発集会の司会などを引き受け積極的に活動。twitterでも発信中→水野木内みどり@kiuchi_midori