森友学園をめぐる公文書改ざん問題で、3月27日、当時の財務省理財局長だった佐川宣寿氏の証人喚問がありました。改ざんに関わる問いには「刑事訴追の恐れがあるので、答弁を差し控えたい」と繰り返す一方、安倍首相や昭恵夫人、官邸の関与は「ございません」ときっぱり否定。昨年の国会答弁と比べると、傲岸不遜な口調はやややわらいでいるものの、佐川氏は結局何も語りませんでした。
3月28日の朝日新聞では、政権は早くも幕引きを図ろうとしていることを報じています。しかし、これは財務省だけの責任ではなく、多くの人が指摘しているように、三権分立、議会制民主主義、官僚制度、そして公文書のありかたの根幹にかかわる大問題です。幕引きをさせるわけにはいきません。では、どうすればいいのか?
ひとつは市民が「うやむやにはさせない」と意思表示を続けることだと思います。
公文書改ざんの疑いが明らかになってきた3月16日、私は「官邸前大抗議行動」に参加しました。実は足を骨折して1か月前に退院したばかり。大人数が参加することが予想され、歩道にギュウギュウに押し込められた2015年夏の国会前の経験からすれば、やめておいたほうがいいかとためらいましたが、家族と一緒に杖をついて行くことにしました。
当日は溜池山王駅で下車。官邸前に最も近い5番出口からの坂道は封鎖されているかもしれないので、溜池寄りの8番出口へ。雨が降っていたため、駅構内で折りたたみ傘をたたんで、コートの上からレインコートを着ました。
六本木通りから茱萸坂にぐるっと回ると、すでに国会議事堂前駅の3番、4番出口は封鎖。4番出口付近の石垣が幸い空いていたので、そこに腰かけました。そのあたりはたちまち立錐の余地もなくなり、にもかかわらず警官は車道を開放することなく、過剰警備といっていい対応に終始。車道いっぱいに人が広がり、抗議の市民で官邸の周囲を埋め尽くす光景は絶対につくらせまいとする警察側の強固な意図を感じざるを得ませんでした。
抗議行動の様子。「アンチファシズム」のプラカードが見えました
3月23日にも「官邸前大抗議行動」は行われましたが、この日は私は不参加。マガジン9からは、ほかのスタッフが16日に続いて23日も参加しています。「ここは行かないわけにいかない」「行ってみよう」と思う人が1人、2人、3人…と増えていき、10万人になれば10万人の大群衆になる。そうなれば政権与党だって無視はできません。
「官邸前大抗議行動」の主催スタッフは、医療班、給水所を配備し、弁護士と連携し、警官と交渉し、スピーチエリア、コールエリア、サイレントエリアといった区割りをしています。さらにSNSで情報を大拡散。小さい子どもからお年寄りまで、ガンガンコールしたい人もゆったりのんびり立っていたいだけの人も、できるだけ幅広い人々が参加しやすい場づくりをする配慮と工夫に頭が下がります。こうした抗議行動を粘り強く続けていくことは、民主主義をないがしろにする安倍政権への明確な抵抗につながるはずです。
こちらは他のスタッフが撮影した、3月23日の抗議行動の様子。この日も雨が降ってきました
佐川氏の喚問でおしまいではありません。財務省にも、国交省にも、厚労省にも、文科省にも、検察庁にも、腹をくくれば「前川さん」になれる人はいるでしょう。新聞、テレビといったメディアの中にも、森友学園をめぐる安倍政権の対応を目の当たりにして「このままではこの国はおかしくなる」「これを許したらまともな国じゃなくなる」と危惧している人々も少なくないでしょう。
今後は、市民、野党、官僚、メディアの総力戦です。それぞれがそれぞれの場でやらなくてはならないこと、今できることをやる。これで幕引きにさせてはならないのです。
(柳田茜)