スタッフ発・気になる本と映像作品②

編集部に恵投いただいた書籍や、ただいま絶賛「積ん読」中! な本、これから見たいあの映画……などなど、スタッフが「気になる」本や映像作品を時々ご紹介していきます。読書や映画鑑賞の参考に、どうぞ。

〈書籍〉『原発事故は終わっていない』(小出裕章著/毎日新聞出版)
 あの小出さんの書き下ろしです。とてもやさしい語り口、文章で、原発事故が継続中であることを指摘します。とくに第3章「見捨てられた日本国民」は、真実を政府はどう隠蔽したか、東電や電事連は今も何を隠し続けているかを、鋭く断罪します。
 科学者として原子力にに携わった自分の責任をはっきりと自覚し、その責任を引き受けるために発言し行動し続ける著者の生き方に敬服します。
 「むずかしいことをやさしく」と言ったのは井上ひさしさんでしたが、その通りの本です。みんなに読んでほしい本です。

〈書籍〉『平和への道Ⅱ ほのぐらい灯心を消すことなく』(松尾光章著/いのちのことば社)
 キリスト教徒であり、長い間、理科・科学の教師として若い人たちと接してきた著者が、平和への思いを込めてつづった数々の文章。聖書に裏付けられた静かな祈りと、そして平和を乱すものへの怒りが伝わってきます。
 第2章は「朝日新聞『声』への投稿文」と題されていますが、折々の世の動きをしっかりと見つめ、的確な批評、批判で読む者の胸に沁み込みます。枕頭において、静かに少しずつ読み進めましょう。そんな本です。

〈書籍〉『「ガロ」に人生を捧げた男 全身編集者の告白』(白取千夏雄著/興陽館)
 「ガロ」といえば、ある時期、漫画の世界の金字塔とも言われた雑誌だった。帯に、こう書かれている。当時の若者で「ガロ」を知らない者は(多分)いない。
 〈漫画家を目指し上京した青年と『ガロ』創刊編集長・長井勝一との出会い、漫画編集としての青春、『ガロ』休刊の裏側、青林堂の編集者一斉退職事件、青林堂と青林工藝社への分裂、自身の慢性白血病、最愛の妻を襲う不幸、悪性皮膚癌発症、繰り返す転移と度重なる手術という苦難の中、それでも生涯一編集者として「残したかったもの」とは…。〉
 どうです、読みたくなるでしょう?

〈写真集〉『福島に生きる 凛ちゃんの10年』(豊田直巳 文・写真/農文協)
 福島に通い続け、撮り続け、そして書き続ける豊田さん。映画『サマショール』も完成させた。その豊田さんが、福島・飯舘村の凛ちゃんという少女の10年を記録した写真集です。赤ちゃんの時の写真から、小学校卒業までの凛ちゃんの成長と、環境の変化……。
 素敵な大人への過程を歩みながら、凛ちゃんが何を考えていたか、それを考えると切なくなります。
 なお同時に『明るい未来を子どもたちに』『土に生かされた暮らしをつなぐ』も同じシリーズとして発売されました。これで豊田さんの『それでも「ふるさと」』全7巻シリーズが揃ったことになります。身近に置いて、折に触れて開いてみたい写真集です。

〈書籍〉『「反原発」のメディア・言説史 3.11以後の変容』(日高勝之著/岩波書店)
 3・11後、新聞、テレビ、スクリーン上にあれほどあふれていた「反原発」の言説は、10年たった今人々の記憶から消え、散逸しつつあるのではないか。そんな危機感を抱いたメディア研究者の日高勝之さんが、反原発の言説・表象を丹念に収集し、検証、整理した労作。
 分厚い研究書ですが、広瀬隆、鎌田慧、小熊英二、安冨歩、鎌仲ひとみ、想田和弘、森達也など、人物ごとにまとめた章もあり、そこをとっかかりに入るのも一法です。