第21回:「無所属の会」わずか1カ月で正副幹事長の交代! その経緯から学んだことは?(塚田ひさこ)

チャコの区議会物語

 まずはお詫びと訂正です。4月6日に公開された本コラムの第20回「最大会派2トップの突然の辞職。何があったの?」において、事実とは異なる記述がありました。すでに当該コラムにおいては訂正を入れておりますが、ここで改めて訂正内容を以下に示し、公明党、都民ファースト・民主はじめ関係者のみなさまにはお詫びを申し上げます。

 コラムの終盤、委員会のポストを決める経緯について書いた中の、「私たちの会派には何か相談があるわけではなく」という部分が誤りであるとして、政党の名前を出して批判したこともあり、5月10日の幹事長会において取り上げられました。訂正文にも書きましたが、経緯は次の通りです。

 「私たちの会派には何か相談があるわけではなく」と書きましたが、実際には4月4日と5日の正副幹事長会議の後に、5月の臨時会までの応急的な体制の整備として、委員会の役職について話し合う「世話人会」が開かれていました。
 そこに各会派の代表の幹事長が出席をしており、私たち「無所属の会」の当時の幹事長は、「現状どおりで特に求めるものではない」との発言を行っていたのです。私は、後で幹事長から世話人会での報告は受けていたものの、その具体的なやりとりについては把握をしていなかったため、このような誤った記述になってしまいました。
 そして、ちょっとややこしいのですが、この世話人会に出席していたのは21年度の幹事長たち。その後、5月2日付で「無所属の会」は今年度の新たな正副幹事長の届けを出し、私は副幹事長に就任していたのです。
 5月10日の正副幹事長会で「事実と異なっている」との指摘を受けた後、議事録を確認したところ指摘は正しいと確認しましたので、5月18日の正副幹事長会において、私は無所属の会の副幹事長として、幹事長とともに「訂正とお詫び」をしました。「都民ファースト・民主」の幹事長からは「内容を訂正した旨をコラムなどで再掲してほしい」との発言がありました。さらに「公明党」からは「公党を侮辱した罪は重く許し難い。謝罪をしたと言っても誠意が感じられない。議員協議会での謝罪は当然のこと、副都心委員会の副委員長を辞退するくらいの反省を示してもらいたい。信頼できない幹事長と副幹事長と同じ席にはいられないので会派で正副幹事長を選び直してもらいたい」という厳しい表明がありました。
 私は、謝りをただし心からの謝罪をした後は、任期最後の年は、常に区民の立場に立った鋭い発言や質問を投げかける幹事長をサポートし、健全な区政や開かれた議会運営のために貢献したいと考えていましたが、これ以上にこの問題を長引かせて議会を混乱させてはならないとの会派の中での話し合いもあり、わずか1カ月での正副幹事長の交代となりました。
 それにしても、ここは私の経験不足が出てしまいました。役職の割り振りについては「世話人会」で話し合って決める。会派の幹事長が、「役職を求める」とまずは言わないと、その話し合いの場に参加することはできないのです。最初から「求めない」と言ってしまっては、議論の輪に入ることができない、というのは当たり前のことです。ただ少数会派から「求める」と言える空気があるかどうか、というのはまた別の問題だとは思いますが。

役職の割り振りを決める「世話人会」とは?

 この「世話人会」というのも、一般には聞き慣れない言葉ではないでしょうか。「世話人」の言葉の意味としては、辞書にこうあります。

世話人〘名〙: 他人や仲間のめんどうをよくみる人。商取引、縁談などの仲介をする人。また、団体や会合などを組織、または運営する際に、そのめんどうをみる人。(「日本国語大辞典」より)

 議会における「世話人会」の「世話人」は正副幹事長がそのまま務めます。つまり、正副幹事長会と同じ顔ぶれで行います。辞典のこの言葉をそのまま引用すると、「他人や仲間のめんどうをよくみる人」たちが集まって、役職の割り当てを決める「会」ということでしょうか。
 この、役職の割り当てを決める「世話人会」は、議会の中の人においてはものすごく重要な会議である、ということが今回改めてよく分かりました。特に改選後すぐに行われる臨時会時の「世話人会」は、議会においての決まりごと、「交渉会派に関する申合せ」、例えば会派の人数によって変わる正副幹事長会への出席や発言権、「議会運営委員に関する申合せ事項」などについて新たなルールを決める時でもあるので、本当に長い時間をかけてやっていましたね。私は当初、一人会派のため全く蚊帳の外だったので、その時どんな議論があったのかはわかっていないところも多々あります。
 これらの議会における決まりごとの根拠は何なのか? 地方自治法との関係はどうなっている? などまた素朴な疑問が湧いてきましたので、今度、当時の議事録を見直して確認してみたいと思います。

新体制でスタートした議会の顔ぶれ、会派別割り振り

 さてこの5月25日には今年2回目となる臨時会が行われ、議会の三役である議長・副議長・監査の顔ぶれが新しくなりました。また常任委員会・議会特別委員会の役職の割り振りも新しくなりました。またポストについては、5月24日の「世話人会」において再び話し合われ、決まりました。なお、私たち無所属の会は、三役については「第1会派は議長、第2会派は副議長、第3会派は監査」というように一定のルールを作っておく方が、より多くの会派が議会運営にも参加できるし、会派の構成人数が変わった時などにおいても合理的ではないかとの考えから、ルール作りについての議論の際には賛成の立場でしたが、この意見は賛成少数で却下されました。
 そうした話し合いの結果、今回の会派別の役職の割り振りは以下の通りになりました。
  

 
 「数は力なり」…「民主主義」とは、「多数をとったものが少数意見を尊重する」ことだと、私は今も思っていますが、豊島区議会をはじめ今の政治全般においてそういった場面があまり見られないのが、残念ですね。あくまでも私見です。

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塚田ひさこ
塚田ひさこ(つかだ・ひさこ):豊島区議会議員・編集者。香川県高松市生まれ。香川県立高松高校、成城大学卒業後、サントリー(株)など民間会社勤務を経て、2005年憲法と社会問題を考えるウェブマガジン「マガジン9条」(現「マガジン9」)の立ち上げからメンバーとして関わり、運営・企画・編集など事務局担当。2019年5月地方統一選挙にて初当選。email:office@toshima.site twitter:@hisakotsukada9