第22回:“杉並の奇跡”に続きたい! 民衆のための新しい政治、参議院選挙でも風は吹く?(塚田ひさこ)

チャコの区議会物語

「杉並の奇跡」に大歓喜!

 1週間のタイムラグができてしまいました。でも改めて叫ばせてください。
 6月20日に開票された杉並区長選で、岸本聡子さん、やりました!!!!!! いろんな奇跡が重なっての当選だったと思いますが、とにかく杉並区民をはじめ彼女の応援をするために、あらゆるところから集まってきた市民の力が本当に素晴らしかった。そして本当に「創造的(クリエイティブ)な選挙」を、みんなでやってのけた! というのが外から見ていた者としての印象です。

 私は、岸本さんが杉並区長選に立候補するらしい、というサプライズニュースを聞いて以来、記者会見などはなるべく見るようにしていたのですが、選挙運動の現場にはなかなか行くことができず(杉並区民にもちょっと遠慮をして)、選挙戦が始まる前の4月29日に開かれたミニ集会と、選挙選最終日の6月18日の西荻窪駅前のマイク納め演説のみ、駆けつけました。

 その間、わずか1ヶ月間。岸本さん自身もそうですが、選挙戦がどんどん変わっていきましたね。そしてそのプロセスも、岸本さん広報の動画やSNS発信などで、現在進行形で私たちは知ることができました。メディアにも取り上げられていましたが、岸本さんを支持する市民が街角に立って行う「ひとり街宣」も新しい現象でした。とにかくこれまでの組織や団体、組合、政党だのみの選挙とは違う、「普通」の人たちが自分ごととして考え、動き、伝えた選挙だったのではないでしょうか。街宣の場で市民たちがマイクを握りリレートークをする。それを地べたに座って拍手しながら聞いている岸本さんの様子も、SNSで流れて話題になっていました。とにかくフランクでカジュアルでいい雰囲気なんです。
 それはまるで、岸本さんがマガ9のインタビューで話してくれた、ヨーロッパにおける「広場での政治」の一端を見せてくれているようにも感じました。

 岸本さんの最終のマイク納めの時もそうでしたが、司会や応援演説はとにかく女性の姿が多かったのも、特徴的でしたね。とかく選挙といえば、政党のジャンバーや黒のスーツのいかつい男性が集まって並んで、というのが今でも一般的なのですが、そういうところとも一線を画していました。結果、投票率が5.5ポイント上がり、投票行動した女性が増えたことが、今回の勝利の一因とも言われています。

 岸本さんが首長選挙に出ることを決断した理由として、選挙運動を一つの市民運動に仕立て、「希望のポリティックス」を日本でも実践してみようということがあったのではないか、と私は見ていたのですが、区長になった今となっては、選挙はそのプロローグに過ぎず、これからがまさに本番!

 杉並区民に対してもそうですが、区職員や区議会に対してや、特別23区長会などでもどんな発言やメッセージを出していくのでしょうか。一筋縄ではいかないことばかりと思うけれど、本当に楽しみでなりません。

参議院選挙告示の前に、ある重大な決断

 そんな、ここ数年味わったことのないような幸せな気持ちで杉並区長選挙の開票日6月20日を過ごしましたが、その2日後には参議院選挙の告示日がやってきました。この「参議院選挙」の重要性は、雨宮処凛さんが前回のコラムでも書いていましたが、与党圧勝ならば3年間選挙がない可能性が高いです。そしてその間に、消費税の引き上げや憲法改悪も進むことでしょう。自民党の茂木幹事長は「憲法改正をすぐにやりたい」とメディアでも断言していますからね。でも選挙への一般の関心は低い。
 そんな状況を憂いてばかりいても仕方がない……。ということで、実は私は最近、一大決心をしました。それは国政政党「れいわ新選組」への入党です。これまで無所属・市民派議員として2年半活動をしてきましたが、さまざま不思議なご縁もあっての決断となりました。今はせっかく現職議員でいるわけですから、何かその間にもっとできることがあるのでは、との思いもありました。
 なお地方議会においては、会派での活動が優先されます。私はこれまで通り「無所属の会」の会派のメンバーとして、議会活動をしていきます。会派のメンバーからは、今回の所属については、私の気持ちを尊重してもらい、また背中も押してもらいました。

なぜ「れいわ新選組」なのか?

 さてその「れいわ新選組」所属を決めた理由は色々ありますが、最も大きいのは、れいわ新選組が真に市民のための新しい政党だということです。市民を庶民、大衆、民衆と言い換えても良いかもしれません。設立されたその背景には、業界団体も大きな組合組織もありません。
 ちょうど参院選の応援企画として「自治体議員から山本太郎、そしてれいわ新選組へのメッセージ」動画参加の依頼がありました。れいわ新選組が掲げている政策には特筆すべき素晴らしいものがたくさんあり、私も支持しているものばかりですが、今回はそもそも政党としてどこに私がその魅力を感じているのか、何が他の政党と異なっているのか、またグローバルな視点で見たときに、どう位置付けられるのか、という点から話すことにしました。
 それがそのまま私の「入党の理由」にもなっていると思います。話した内容に加筆した原稿を私のホームページに掲載していますので、詳しくはぜひそちらをご覧ください。

 この「自治体議員からの応援メッセージ」は、これからも増えていくことと思います(私も呼びかけていますし、メッセージを送ってもいいよという自治体議員の方は、私のTwitter(@hisakotsukada9)へのダイレクトメッセージでもいいので、是非ご一報ください)。実は、無所属市民派で活動している自治体議員の中には、山本太郎さんやれいわ新選組の政策に共感し、応援している尊敬すべき先輩議員が結構たくさんいらっしゃいます。それはやはり市民のための政治をやっていることの表れである、とも感じています。
 そんな皆さんと、これからは地域を超えて繋がっていきたい、ネットワーキングしたいとも考えています。それが私の「希望のポリティックス」です。

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塚田ひさこ
塚田ひさこ(つかだ・ひさこ):豊島区議会議員・編集者。香川県高松市生まれ。香川県立高松高校、成城大学卒業後、サントリー(株)など民間会社勤務を経て、2005年憲法と社会問題を考えるウェブマガジン「マガジン9条」(現「マガジン9」)の立ち上げからメンバーとして関わり、運営・企画・編集など事務局担当。2019年5月地方統一選挙にて初当選。email:office@toshima.site twitter:@hisakotsukada9