もう一度、伝えたい言葉たち──マガ9アーカイブス「忠誠とか、正義とか、名誉の戦死だとか、戦争にそんなものはない」新藤兼人さんインタビュー(2007年8月8日)

2005年に「マガジン9条」としてスタートしたマガジン9。その17年のアーカイブから、編集部スタッフが「もう一度読んでもらいたい」と思う厳選コンテンツと、そこから選んだ「伝えたい言葉」を、折に触れてご紹介していきます。社会の状況や空気は変わっても変わらないこと、気づかないうちに変わってしまっていること……「このときはそうだったっけ」と思い返したり、「今も全然変わらないな」と驚いたり、立ち止まって振り返ってみることの意味は小さくないと思います。「いいな」「共感できるな」と思う言葉があったら、ぜひ全文を読んでみてください。

 1951年に『愛妻物語』で監督デビュー、90代まで現役を貫き、数多くの話題作を発表し続けた映画監督の新藤兼人さんには、32歳で海軍に召集され、二等兵として戦場に送られたという経験がありました。同期100人のうち、生き残ったのは新藤さん含め6人だけだったといいます。
 その経験をもとに脚本を書き、証言者として出演もされた映画『陸に上った軍艦』(2007年公開)の公開後に、マガジン9でもお話を聞かせていただきました。戦争を指揮する人たちは、まるでゲームの駒でも動かすように作戦を練るけれど、実際に戦場に送られるのは、一人ひとり家族があり、生活がある人たち。そんなふうに「個」を、家庭を破壊する戦争には、いかなる理由があったとしても反対する──。今読み返しても生々しい、ご自身の体験に根ざした「非戦」論、再度多くの方に読んでいただきたいです。

忠誠とか、正義とか、名誉の戦死だとかということになっていますが、戦争にそんなものはない。

──新藤兼人さん(映画監督)のインタビューより(2007年8月8日)

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