核実験による放射能被害を伝え、「次の被害」を防ぐために〜『サイレント フォールアウト』米国上映のためのクラウドファンディング(西村リユ)

 今月1日は、アメリカが太平洋のマーシャル諸島のビキニ環礁で行った水爆実験で、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員らが被曝してから70年の日でした。しかし、この実験で第五福竜丸以外にも多くの漁船が被曝し、のちに多くの元乗組員ががんなどで亡くなっていたこと、また日本の国土にも放射線物質が降り注いでいたことは、広く知られているとはいえません。
 このテーマに20年以上にわたって取り組んできたのが、元南海放送ディレクターで映画監督の伊東英朗さん。元乗組員たちの取材を重ね、膨大な資料を調査。映画『放射線を浴びたX年後』(2012年)『放射線を浴びたX年後2』(2015年)、また数々のTVドキュンメタリーを通じて、知られざる被曝の事実を伝え続けてきました。マガジン9でも、2020年の「この人に聞きたい」で、その思いを語っていただいています。

伊東英朗監督へのインタビュー(2020年12月16日UP)

 その後、2023年には3作目の映画『放射線を浴びたX年後III サイレント フォールアウト 乳歯が語る大陸汚染』が完成。この作品では、やはり1950年代からアメリカ政府がネバダ州で行った核実験により、アメリカ本土に大量の放射線物質が拡散され、多くの人が被曝していた事実が明らかにされています。被曝の実態を調査するため、「子どもたちの乳歯を集めよう」という運動が母親たちを中心に広がった──という話も、初めて知りました。
 本作はこれまで各国の映画祭で上映され、日本国内でも有志による上映会が各地で開催されてきました。しかしそれにとどまらず、さらにアメリカで多くの人に映画を見て、放射線被害について知ってもらいたいと、アメリカ各地をめぐる「キャラバン上映」に向けたクラウドファンディングが始まっています。

米各地を巡る上映キャラバンでアメリカの人たちに大陸汚染を知らせたい(readyfor.jp)

 下記、伊東監督の呼びかけ文から引用です。

 まず、放射能の問題にほとんど関心のないアメリカの人たちに関心をもってもらいたい。
 
 そして、アメリカ大陸全土の放射能汚染の事実を伝え、ほとんどの人が被曝者である、という当事者意識をもってもらいたいのです。
 
 次に、自らの政府が行った核実験によって被曝をさせられたこと、そのことを伝えなければならない責任を政府が果たしていないことについて、議論してもらいたいのです。
 
 小さなコミュニティから始まる議論も、少しずつ上げられた声が集まると大きなうねりとなります。

 わずか十数年前の福島第一原発事故のことも、ともすれば記憶から薄れていく(いまだ避難先で暮らしている人、甲状腺がんなどの病気に脅かされる人がいるにもかかわらず)今、過去に起こったことを改めて知る意味は大きいと思います。
 『サイレント フォールアウト』は、大きな劇場での公開はされていませんが、今月15日から福島市の映画館「フォーラム福島」で上映。また、全国各地での上映会も続いています(スケジュール、問い合わせ先などは公式サイトに)。映画もクラウドファンディングも、ぜひチェックしてみてください。

(西村リユ)

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