現在、四国に暮らす高校2年生のなつさん。政治参加や民主主義、気候変動などに関心をもち、地域内外でのさまざまな活動にも参加されています。今年の夏には18歳となり選挙権を得るなつさんに、政治に関心をもったきっかけや思い、活動のなかで感じたことなどについてご寄稿いただきました。
「政治に興味をもったきっかけは?」
はじめまして、なつといいます。現在は高校2年生で、高校入学のタイミングで四国に移住してきました。趣味は読書と一人旅で、マガジン9も愛読しています。政治に興味があり、日々友人と政治議論をしたり、本を読んで学びを深めたり、地域で行われるイベントに参加したりしています。
「政治に興味を持ったきっかけは?」。そう聞かれることが多くありますが、多くのできごとが積み重なって今の自分の関心事になったと感じています。
中でも大きかったもののひとつは、読書が好きで、家にあった本や雑誌をよく読んでいたことです。私の家は生協に加入しており、毎月機関紙が届いていました。その機関紙は、生協で取り扱っている食べ物や生活用品のことよりも、いま社会で起きていることに紙面の大部分を割いていました。福祉、災害、教育、環境問題、報道、ジェンダー、民主主義、戦争と平和。最初は難しくて読み飛ばしていた連載も、一度読んでみると面白く、気づけば毎月隅々まで読むようになっていました。選挙や政党の話は少なかった分、それらのトピックについて自分が考えることもあまりなかったように思います。テレビでニュースを見るだけでは出てこない、全く違う切り口からの批評も多く掲載されていて、物事はそこまで単純ではない、と学びました。
もうひとつが、新型コロナウイルスでの休校です。当時の私は小学5年生。最上級生になるのを前に、児童会活動や所属していたスポーツチームで中心となって活動することを楽しみにしていた時期でした。これまでにない事態に連日政府からの重大な発表が行われ、テレビで放映される記者会見を見るのが恒例になっていたころ、安倍首相(当時)が突然告げた「休校」。私の生活は大きく変わりました。政治や社会のことに関心はあっても、自分の生活に直接関係のあるものという実感は持てないままでしたが、当時の私にとって最も重大な関心事である「学校」の形が「政治」によって変わった、というのは衝撃的でした。
それまでは、どこか「遠い存在」だった
その後、政治に関わる人や政治活動をすることを身近に感じるようになったきっかけがありました。それは、高校生になる前の春休みに東京で行われた「民主主義ユースフェスティバル2025」に参加したことです。それまでの私は、政治に関わる人に対しても、どこか遠い存在というイメージを持っていました。今振り返れば、政治の話を過剰にタブー視していたなと思います。しかし、政党学生部や社会問題に取り組む団体のブースを見て人と話したり、民主主義や政治について考えるパネルディスカッションを聞いたりするうちに、「案外ふつうの人が、政治に関わっているんだ」と思えるようになりました。政治に関わる人にも、当然趣味があって、好きな食べ物があって、家族がいて、人生は政治だけじゃない。そんな当たり前のことを、ようやく理解しました。
それをきっかけに、このユースフェスを主催した超党派の若者団体「日本若者協議会」に参加し、活動するようになりました。民主主義について知り、考えるきっかけになるようなイベントを企画したり、勉強会に参加したり。私はオンラインでの参加が中心でしたが、政治を「目的」ではなく、自分のやりたいことや目指すものを達成するための「手段」として見る感覚は私にとって新鮮でした。やっぱり政治はどこか高尚なもので、自分が使えるような手段ではないと思っていたのです。
一度参加してみると、オンラインでの講演会などに参加する心理的ハードルが下がり、ネットでセミナーなどを探しては参加するようになりました。学校や地元にいるだけでは聞けない話が聞ける、それを受け取るだけでなく質問もできる、ということで、とても面白く感じました。
自分の身近に話せる場をつくろう
しかし、そのうち、オンラインでのイベントや講演会に参加するだけでは物足りなく感じるようになりました。開催場所は東京がほとんどで、現地参加している人は会の前後に会話をしたり、一緒に食事に行ったり、講師に質問をして談笑したりしているのに、オンラインで参加している自分はできない。所属する団体のオンラインイベントでも、画面越しではなかなか親交が深まらない。日本全国に向けて企画や広報をしているイベントだから、私が住む県のことはあまり話題に上がらないし、地域の社会問題について話そうと思ってもわかる人が少ない。そのような気持ちから、自分の身近に政治を話せる場をつくろう、と考えました。学校内の政治や社会に関心のある学生数人に声をかけてみると、意外と良い反応が返ってきました。私の知らないところで他にも「話したい」と思っている人がいたようで、口コミで輪が広がり、10人ほどでグループを結成しました。
メンバーは関心のある分野も考え方も興味の程度も多種多様です。しかし、それでもそれぞれの意見を尊重する空気、わからないことは「わからない」「教えてほしい」と言って教え合う雰囲気があり、話していて楽しいです。一方で、新入生の加入などで人数が増えすぎ、そもそも発言がしにくくなっているとの意見もあり、今後の課題だと思っています。
活動の中では、経済産業省でのワークショップ、とある政党の政治資金パーティーに参加する機会をつくったりもしました。パーティー券を購入したわけではなく、知り合いの議員さんから、「社会見学に」と招待していただいたものです。民主主義ユースフェスティバルでの経験から、「実際に人と会って話すこと」「自分の目で見てみること」が大切だと感じており、良い経験だと考えました。特にパーティーでは、豪華に飾り付けられた大きな部屋に主催の議員が拍手で迎えられながら入場してくる様子に、議員の“権威”の一端を見た思いがしました。
考えるだけでなく、動くことも必要
こうした活動の一方で、「民主主義」「政治参加」をメインテーマに据えて活動を行っていくことに、「これでいいのか」と疑問を感じるようにもなりました。自分には民主主義や政治参加の他にも、学びの環境や気候変動対策、社会保障、地方創生など関心のあるトピックがあり、そちらにより強い思いを持っている。であれば、自分のやりたいこと、実現したいことに向けて、それに取り組んでいる人と一緒に活動していくことも必要ではないかと考えたのです。特に気候変動対策や社会保障の問題などに対しては、傍観しているだけでどうにかなる問題ではない、これはいよいよまずいと感じたこともあり、意見の異なる人と話し、考えると同時に、民主主義の上に成り立っている個別のテーマに対しても考え、動いていく必要があると思いました。
そんなとき、2025年7月の参院選前に、地域の団体が主催した立候補予定者との対話会で発言する機会をいただき、「高校生世代から」というテーマで自分が実現してほしいことを話しました。内容は、友人と相談しながら考えた「基礎研究への投資」「避難所の整備」などです。それをきっかけに知り合った大学教授に誘われ、大学生のグループに参加しました。15年に安保法制反対を掲げて活動していた若者グループ、SEALDsなどの動きをきっかけに、「地方にも学生の運動を」と結成されたグループです。
グループでは、選挙のときに県内選挙区の立候補予定者を招いた公開討論会を行っています。学生が質問をし、予定者がそれに答えていく形式で、私は参院選では「若者の政治参加」、今年の衆院選では「気候変動対策」について質問をしました。どちらも自分の関心のあるテーマで、政治による何らかのアクションが必要だと思っているものです。
気候変動対策について質問したときには、ある立候補予定者から「気候変動や地球温暖化はどこまで本当なのかと疑いを持っています」と言われました。何種類かの返答の想定をしてから当日に臨んだのですが、この返答は想定しておらず、すぐにデータなどを基に反論することができませんでした。まだまだ細部を掴みきれずに政治を考えているところが自分にはあるなと反省しました。
未成年の選挙運動を禁じる公職選挙法
選挙のときは他にも、街頭演説を見に行ったり、寮の食堂に学生を集めて開票速報を見たりしています。私はまだ未成年で選挙運動をすることができないため、応援する候補者がいても、ビラ配りや電話かけはもちろん、「〇〇さんに一票を」などとも言うことができません。この前の衆院選では、街頭演説をしていた人と話した際にビラを5枚も渡されたのですが、誰かに渡すわけにもいかないため、仕方なく自分の部屋にしまい込みました。
また、昨年の参議院選挙の時から、投開票日前の最後の土曜日にそれぞれの政治への思いを訴えるスタンディングにも参加しています。参議院選挙では、「未成年だからやめた方がいい」「将来に悪い影響が出る」と周りの大人に言われ、スタンディングの列には加わらず写真撮影だけをしていました。「選挙啓発ならいいんじゃない?」と言う人もいましたが、迷った末に一緒に立つのはやめました。何もしなくても汗が吹き出てくるような暑い中、身体を傾けるようにしながら70代、80代の人がプラカードを持って行き交う車に手を振っているのを見て、何もできない自分がとても悔しくなりました。私はその人よりもずっと若くて、体力もあって、何よりこの先ずっと、この社会で生きていくのに。若い世代ががんばらなくてどうするんだ、と思いました。
その後の半年、いくつかの言説に触れながら考え、今年の衆院選では「選挙に行こう」というのぼりを持って列に加わりました。いざやってみると時間があっという間に過ぎていき、振り返ってみるととても楽しい時間でした。手を振り返してくれる人、「頑張れ!」と声をかけてくれる人、こちらを見て何か話している人、無反応の人……。そこでしか見えない景色があったなと思います。隣に立っている人と政治の話をしながらの時間で、選挙は人と人がつながっていくきっかけにもなるのだと知りました。
未成年の選挙運動を禁止し、罰則までついている公職選挙法の規定については、その撤廃を求める裁判も行われています。私自身も政治に関わる活動をする中で、「相手は”若者である”という理由だけで私と関わっているんだろうな」「なんらかの思惑があるんだろうな」と思うこともあり、未熟な未成年が悪用されないように保護する、という目的は重要なものだと思います。しかし、それならば悪用した人を罰すれば十分なのではないでしょうか。
「どんな行動をとるのか」この先も考え続けたい
私が住む町には、公共図書館や常設の書店がありません。せめて公民館図書室や有志が立ち上げた私設図書室のことを町民が知れるようにしようと、友達とウェブアプリを作っています。しかし、先日、本のある場を運営している方から、町民の願いから生まれた“有志の動き”を逆手に取って、町は図書館がない状態を放置している部分がある、という話を聞きました。私たちの活動も、頑張れば頑張るほど、町に公共図書館ができる日は遠くなるかもしれない。かといって、本を読みたいのは今なのだから、手をこまねいて見ているわけにもいかない。自分たちのくらしをよりよくしていくためには、「自分にできることをやる」と「力を持っている人(あるいは組織)にお願いする」のどちらかだけでなくて、その両方が必要なのだと感じた出来事でした。
私は今年の夏に18歳になり、選挙権を得ます。初めての選挙は、このままいけば来年の統一地方選挙になりそうです。ここに住んでまだ2年ほどで地域のことはほとんどわからず、何を基準に投票先を選べばいいのかずっと悩んでいました。しかし、先ほどの話を聞いて、自分の大切にしたいことが見つかりました。私は、私の住む町はもちろん、県内にいくつもある図書館のない自治体のことを考え、図書館をつくるために動いてくれる人に投票したいです。
昨年の参議院選挙では、図書館友の会全国連絡会が立候補者にアンケートを送ってその結果を公表していました。自分も、各候補の図書館政策について調べて、それを他の人に話してみよう、と思いました。周りの本好きな友人と協力しながら、挑戦するつもりです。
昨年12月にガザについてイスラエル人とパレスチナ人の講演を聞く機会があったのですが、そこでの言葉に衝撃を受けました。「あなたはどんなリスクを負う覚悟があるか? 虐殺を止めるために、あなたはどんな行動を取る覚悟があるか?」「イスラエルはパレスチナの文化、歴史、アイデンティティを消し去ろうとしている。そのため、文化を守るという非暴力の行動も抵抗となりうる」。その話を聞き、何かしたい、自分にも何かができると思いつつ、いまだ何もできずにいます。政治のこと、国際情勢のことを考えるのは大切なことですが同時に大変なことでもあると思います。日常生活で疲れ果ててしまい、「もう政治のことなんて考えたくない」と思うこともあります。それでも、疲れたときは休みながらも、この先も生きていく以上は考え、そして周りの人と話し続けていきたいなと思います。
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なつ:高校2年生。高校入学を機に四国に移住。「民主主義ユースフェスティバル2025」の主宰団体や、県内の学生団体などに参加。





