総選挙が終わりました。
結果は、自民党が284議席と、単独過半数を獲得。公明党をあわせた連立与党が300議席あまりを占めることになりました。選挙制度の問題による得票数と議席数とのずれはひとまず置くとして、これだけを見れば「圧勝」といえる数字でしょう。投票率も(台風などの影響はあったとはいえ)53%強と、戦後2番目の低さに終わりました。
もちろん、明るいニュースがなかったわけではありません。現政権と対立軸を明確にする立憲民主党が、選挙まで1カ月を切ってから立ち上がったにもかかわらず、野党第一党を占める躍進。無所属や他党もあわせ、何人もの信頼できる議員を国会に送り出すことができました(他方で、残念な結果に終わった候補者も何人もいましたが)。同党の枝野代表が街頭演説で「この党を立ち上げたのは、背中を押してくれたみなさんだ」と語っていたように、これまで以上に「市民」の存在感が色濃い選挙だったことも、大きな収穫といえるかもしれません。
一方で、与党と希望の党などを合わせた、いわゆる「改憲勢力」は374議席、改憲発議ができる「総議員の3分の2」を大きく超えました。この結果を受けて、安倍首相はさっそく「改憲論議を加速させる」と表明しています。
12年前、「9条が変えられてしまう」との危機感からはじまった「マガジン9」ですが、そのときよりもさらに、「改憲」の文字は現実味を持ってきているといえそうです。「憲法を変える」ことそのものを否定はしませんが、いまの自民党が進めようとする「改憲」の流れに、おとなしく乗るわけにはいきません。
政治家に働きかける、路上で訴える、ブログやSNSで発信する、イベントを開く、家族や周りの人と話をしてみる…この流れを押し止めるためには、まず一人ひとりがいろんな形で行動を積み重ねていくことが必要。この12年でマガ9が蓄積してきたコンテンツも、ぜひそのためのツールとして広く利用してもらえればと思います(たとえば以下に挙げた記事など)。リニューアル前の記事もこちらから読めますので、どんどん活用していただければうれしいです。(西村リユ)
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●緊急事態条項(自民党が今後の改憲論議の柱として掲げる4項目にも含まれています)について
→「お試し改憲」ではすまされない!? 危険で不必要な「国会議員の任期延長」(小口幸人さんインタビュー)
→災害の現場で必要なのは「国家緊急権」ではない(小口幸人さんインタビュー)
●同じく4項目の一つに挙げられている、「参院選挙区の『合区』解消」に関連する「一人一票」の問題について
→参院「一票の格差」判決で、国会へのいらだちをあらわにした最高裁(伊藤真さんインタビュー)
●自民党が掲げる改憲案の方向性について
→自民党の改憲草案は、上から目線の「オッサンの押し付け」憲法(谷口真由美さんインタビュー)
→24条改憲案にある「家族は、互いに助け合わなければならない」の真意は?(斎藤美奈子さんインタビュー)
→法律が大の苦手な僕が改憲問題を論じる必要に迫られる理由(映画作家・想田和弘の「観察する日々」)
→自民党憲法改正案の本質(森永卓郎の戦争と平和講座)
●集団的自衛権行使容認や安保法制整備と、自民党改憲案との関係について
→この国は今、どこに向かおうとしているのか?(伊藤真さんインタビュー)