全国各地で豪雪による大きな被害が出ているというニュースが連日流れています。特に北陸地方、福井県では、主要道路やJRにも大きな被害が出ており、日々の生活にも大変な支障が発生していると思います。心よりお見舞いを申し上げます。
一晩であのような大雪に見舞われ、どんなに心細くてまた怖いことだろうと、案じるしかないわけですが、そんな中、自治体より災害派遣要請を受けた陸上自衛隊が出動し、除雪作業をしたり、立ち往生するトラックの列に食料を配布したりする姿をテレビニュースで見ると、正直ほっとしている自分がいます。自然災害の多い日本において、自衛隊員によるこのような災害救援活動は、なくてはならないものだと、実感します。
ただ、現在の憲法9条の改定において言われている、自衛隊を憲法9条に明記するのか、しないのか、自衛隊は合憲かそうでないのか・・・という議論で論じられている自衛隊は、災害救助をする「自衛隊」とは分けて考えるべき、なのです。どういうことのなのか、については以下に引用する伊藤先生の指摘をお読みください。
4 自衛隊明記の改憲論議で注意すべき点(伊藤真のコラムより)
注意するべきことが2つあります。1つは、ここで憲法に明記され、国民に承認されたとされる自衛隊は、現在の自衛隊法が規定する任務を遂行する自衛隊です。つまり、災害救助ではなく、「我が国の平和と独立を守り」「我が国を防衛することを主たる任務」とする自衛隊です(自衛隊法3条1項)。そしてそのために「必要な武力の行使」をすることができる組織です(自衛隊法88条1項)。武力の行使には人を殺害することも含まれます。
しかも、それは新安保法制の制定・施行前までの、個別的自衛権行使だけが許された専守防衛の自衛隊ではありません。集団的自衛権の行使として海外で武力を行使し、他国軍隊と一体化して海外で兵站活動をする自衛隊です。災害救助で活躍する自衛隊を違憲というのは自衛官がかわいそう、という感情で判断してよい問題ではありません。
そしてその自衛隊の本来任務は、国土防衛であり、国民保護ではないことも知っておかなければなりません。誤解を恐れずに言えば、自衛隊の任務は国民を守ることではありません。あくまでも国の独立を守ることです。これは世界の軍事の常識といってよいものです。
「困っている人たちを助けている自衛隊が、憲法で認められていないのは、かわいそう」という心情は、誰もが持つものだと思いますが、それとこれとはまったく別次元の話だということを、理解しておきたいと思います。
伊藤先生のこのコラムは、最初から全て読んでほしいのですが、重要な箇所を時々、ピックアップして紹介したいと思います。
(水島さつき)