2005年に「マガジン9条」としてスタートしたマガジン9。その19年のアーカイブから、編集部スタッフが「もう一度読んでもらいたい」と思う厳選コンテンツと、そこから選んだ「伝えたい言葉」を、折に触れてご紹介していきます。社会の状況や空気は変わっても変わらないこと、気づかないうちに変わってしまっていること……「このときはそうだったっけ」と思い返したり、「今も全然変わらないな」と驚いたり、立ち止まって振り返ってみることの意味は小さくないと思います。「いいな」「共感できるな」と思う言葉があったら、ぜひ全文を読んでみてください。
「朝ドラで憲法の条文が読み上げられている……!!」
テレビの画面を見ながら、思わず涙ぐんでしまいました。話題のNHK朝ドラ『虎に翼』。戦後、主人公が新憲法──日本国憲法と出会う場面で、「個人の尊重」を定めた13条、「法の下の平等」を定めた14条が読み上げられたのです。
聞いていて、改めて「憲法ってかっこいい……」と思いました。そして思い出したのが、こちらのインタビュー。詩人の白井明大さんが、日本国憲法の条文を「詩訳」した著書『日本の憲法 最初の話』についてお聞きした記事です。この本の中で、白井さんは13条をこう訳しています。
個人として尊重される。
あなたは、
個人として尊重される。
この国の誰もが一人一人、
個人として尊重される。
政府の言うことには黙って従えとか、
お国のために、自由も、財産も、命すらも投げ出せとか、
個々の人間を踏みにじってきた過去の
過ちを繰り返さないために。(後略)
「個人として尊重される」からこそ、人はそれぞれに、自分の人生を生きることができる。その意味とともに、2012年に自民党が発表した「憲法改正草案」では、この13条条文の「個人」が単なる「人」に変更されていることの意味も、もう一度考えておきたいと思います。
ドラマを見て「憲法、いいなあ」と思った方は、ぜひインタビュー全文、そして『日本の憲法 最初の話』も読んでみてください。絵本版もおすすめです!
国のために私がいるんじゃなく、私のために国がある。国家権力の源には一人ひとりの、私の、あなたの生きる権利があるのであって、国にはその一人ひとりに尽くす責務があるんだ、国の都合で戦争をするなんて論外だ。そういうことをまず表現したいと思ったんです。
──白井明大さん(詩人)のインタビューより(2023年12月13日)
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