2025年10月28日
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想田和弘

想田和弘
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想田和弘(そうだ かずひろ):映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。最新作『五香宮の猫』(2024年)まで11本の長編ドキュメンタリー作品を発表、国内外の映画賞を多数受賞してきた。2021年、27年間住んだ米国ニューヨークから岡山県瀬戸内市牛窓へ移住。『観察する男』(ミシマ社)、『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)など著書も多数。

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第153回:あっという間に誕生した「自維右翼(嘘つき)政権」(想田和弘)

あっという間の、右翼政権の誕生である。公明党が連立から離脱を決めたことで、一時は高市早苗自民党新総裁の首相選出が危ぶまれる事態になった。そこで自民党は国民民主党と組むのかと思いきや、急転直下、日本維新の会と組むことになった。自民…

第152回:非武装地帯で行われる平和のための祭典 DMZ国際ドキュメンタリー映画祭(想田和弘)

9月11日から韓国で開かれた第17回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭に参加した。DMZとは、韓国と北朝鮮の間にある非武装地帯のことである。この映画祭は平和や共存をテーマにDMZ近くの会場で17年前にスタートした。僕は初回から招待され、映画…

第151回:「8月ジャーナリズム」に欠けた議論(想田和弘)

「8月ジャーナリズム」という言葉があるように、毎年8月になるとマスメディアでは戦争についての報道や企画が増える。今年は戦後80年にあたるせいか、特に盛んだったような気がする。例年と少し違うように感じたのは、現在は「戦後」というより…

第150回:革命のための青写真(想田和弘)

今年は戦後80年にあたる。この夏、編集委員を務めている雑誌『週刊金曜日』では、米国の政治学者ジーン・シャープの非暴力抵抗の理論と実践について、大きな特集を組む予定である。シャープは軍事力ではなく非暴力抵抗の方法で国を守る「市民的…

第149回:心の行為(想田和弘)

京都の瞑想センターで、2度目のヴィパッサナー瞑想10日間合宿に参加してきた。2019年に行った1度目の瞑想合宿の体験記は、書籍『なぜ僕は瞑想するのか』(ホーム社/集英社)にまとめた。今回、1度目とは異なる様々な発見があり、瞑想体験も格段…

第148回:縄張り意識とゼノフォビア(想田和弘)

拙作『五香宮の猫』にも登場する、地域で生まれ育った雄猫の茶太郎は、弱いくせによく喧嘩をする。彼には常に宿敵のような雄猫がいて、近所のどこかで鉢合わせては唸り唸られ、噛みつき噛みつかれ、引っ掻き引っ掻かれて、ケガを負う。ちょっと前…

第147回:米国で急速に進行する民主制の崩壊とファシズム独裁化(想田和弘)

トランプ関税で世界が翻弄される中、米国国内で、途轍もないことが起きつつあることをご存知だろうか。日本ではほとんど報道されていないので、ご存知ない人の方が多いかもしない。僕が「途轍もないこと」というのは、米国の民主制が急速に崩壊へ…

第146回:「エノラ・ゲイ」の削除リスト入りが象徴するもの(想田和弘)

第二次トランプ政権を象徴するようなニュースを目にした。広島に原爆を落とした米軍の爆撃機「エノラ・ゲイ」の写真が、米国防総省のサイトから「削除すべき写真」のリストに入っていたというのである。いったい、どういうことか。エノラ・ゲイと…

第145回:米の“高騰”に思うこと。そもそも米価が安すぎて経済性が成り立たぬ米作り(想田和弘)

米の価格の高騰を受けて、農林水産省は備蓄米をできるだけ早く放出する方針を示した。政府の備蓄米は、これまで大凶作や災害の際だけに放出できるものだった。しかし農水省は先月、その運用を見直して、流通が滞っていると判断された際にも一時的…

第144回:ブータン映画『お坊さまと鉄砲』からうかがえる「幸せの価値観」(想田和弘)

劇場公開中のブータン映画『お坊さまと鉄砲』(2023年、パオ・チョニン・ドルジ監督、ブータン・フランス・アメリカ・台湾)に、とても印象深い場面があった。銃のコレクターであるアメリカ人が、骨董的価値を持つレアな銃を手に入れるため…