2024年11月26日
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想田和弘

想田和弘
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想田和弘(そうだ かずひろ):映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。最新作『五香宮の猫』(2024年)まで11本の長編ドキュメンタリー作品を発表、国内外の映画賞を多数受賞してきた。2021年、27年間住んだ米国ニューヨークから岡山県瀬戸内市牛窓へ移住。『観察する男』(ミシマ社)、『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)など著書も多数。

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第142回:「決められる政治」より「決められない政治」(想田和弘)

デモクラシーの難点は、民主的な手続きと決定によって、デモクラシーを終わらせることも可能だということである。先日の大統領選挙で、米国の主権者はその総体として、デモクラシーの廃止につながりかねぬ重大な決定をしてしまった。ドナルド・ト…

第141回:ドキュメンタリーのジレンマ(想田和弘)

ドキュメンタリーの作家には、常にジレンマがつきまとう。どういうジレンマかというと、作った作品を一人でも多くの人に観てほしいと願う一方で、作品が世の中に広まることで、被写体に何らかの負の影響が及ぶのではないかという懸念が伴うことだ…

第140回:配信サービスの普及と映画の苦しい台所事情(想田和弘)

10月19日から日本各地で劇場公開される拙作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)は、僕にとっては4年ぶりの新作である。今まではだいたい1〜2年に1本は公開してきたので、こんなに間があいたことはない。久しぶりに映画界の皆さんと仕事を…

第139回:『五香宮の猫』の“ドブ板”宣伝作戦(想田和弘)

ニューヨークから瀬戸内海の牛窓に移住して、三度目の夏を迎えている。ウチの近所にある神社・五香宮を中心とした半径二百メートルの中で撮影し、牛窓の小宇宙を観察した拙作『五香宮の猫』(2024年、119分、観察映画第10弾)の日本劇場公開が…

第138回:選挙が終わった後に選挙特番をやるのが当たり前になってしまってよいのか(想田和弘)

先日の東京都知事選挙の様子を遠く牛窓から眺めながら、改めて痛感したことがある。マスメディア、とくにテレビが、報道機関としての責任をほとんど放棄しているのではないか、ということである。その最たるものが、選挙特番である。テレビ各局は…

第137回:「AIゆりこ」と「答弁拒否」に抱く素朴な疑問(想田和弘)

ソーシャルメディアで「AIゆりこ」なるものの動画を目にしたとき、都知事選を前に、誰かが小池百合子都知事を揶揄するパロディ動画を作ったのだろうと、つい誤解した。なぜならAIとは、「人間でなくてもできる仕事を、人間の代わりにするもの」で…

第136回:映画館を“ぶっちゃけトーク”の場に。シネマ放談の会(想田和弘)

岡山市には、シネマ・クレールという2スクリーンだけの小さな映画館がある。市内唯一の独立系アートハウス映画館(ミニシアター)である。僕の住む牛窓からシネマ・クレールへは、車で40〜50分かかる。映画を観るには、ちょっと遠い道のりだ。し…

第135回:世界各地の映画祭を巡りながら感じ考える(想田和弘)

新作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)がベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映されたのを皮切りに、世界各地の映画祭巡りが始まった。ベルリンの直後にはEast Asia Film Festival Ireland(アイルランド東アジア映画祭)へ参加し…

第134回:波乱のベルリン映画祭で目撃し、体感し、考えたこと(想田和弘)

2月に開かれた第74回ベルリン国際映画祭に拙作『五香宮の猫』(2024年、観察映画第10弾)が招待され、参加した。その直後、アイルランドでの上映ツアーに招かれ、いまこの原稿は首都ダブリンのホテルで書いている。今年のベルリン映画祭は、…

第133回:8年ぶりにiPhoneを買い替えて思ったこと(想田和弘)

バッテリーを何度か交換しながら8年間大事に使ってきたiPhone6Sの動作が、鈍くなってきた。それに頻繁にフリーズする。さすがに寿命を迎えているようなので、新しいのを買いに行くことにした。妻のスマホも同時期に買った同モデルである。だが、…