2024年11月26日
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想田和弘

想田和弘
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想田和弘(そうだ かずひろ):映画作家。1970年、栃木県足利市生まれ。東京大学文学部卒業。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業。BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。最新作『五香宮の猫』(2024年)まで11本の長編ドキュメンタリー作品を発表、国内外の映画賞を多数受賞してきた。2021年、27年間住んだ米国ニューヨークから岡山県瀬戸内市牛窓へ移住。『観察する男』(ミシマ社)、『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)など著書も多数。

第112回:「くじ引き民主主義」を導入せよ。政治を「みんなのもの」に取り戻すために(想田和弘)

細田博之衆院議長が5月10日、東京都内で開かれたパーティーで、次のように発言した。「いったい、いくら歳費をもらっていると思いますか。議長になってもね、毎月もらう歳費は100万円しかない。“しか”というと怒られちゃうけど、そんなにもらって…

第111回:ジーン・シャープの非暴力抵抗理論(想田和弘)

前回(3月9日)、僕は本欄に「私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対してどう向き合うべきか」と題するコラムを書いた。そして4月15日朝日新聞のオピニオン欄「耕論」には「非暴力抵抗こそ民を守る」と題する談話を寄せた。以来、僕…

第110回:私たちは軍事国家から侵略を受けたときに、それに対してどう向き合うべきか(想田和弘)

ロシアによるウクライナへの侵略行為は、人道的にも、国際法上も、許されぬものである。したがって国際法的には、主権国家であるウクライナのゼレンスキー大統領には、ロシアに対する「自衛のための戦争」を遂行する権利があるのだろう。だから彼…

第109回:岩波ホールの閉館と映画界の慢性的問題(想田和弘)

東京・神保町の老舗の映画館・岩波ホールが、今年7月に閉館することになった。同ホールのウェブサイトによると、「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断」したことが理由だという。映画界や映画ファンの間…

第108回:過去とつながるタイムマシン(想田和弘)

ひょんなことから、牛窓の自宅の近くにある築95年の古くて立派な蔵をお借りすることになった。きっかけは、去年の秋、この蔵が近々取り壊されるという噂を聞いたことだ。僕も妻の柏木規与子も仰天して、「そんなもったいない。壊すくらいなら、何…

第107回:太陽の運行と人間の生活(想田和弘)

牛窓に住み始めて、気づいたことがある。季節によって、自分の起床する時間が変化するのである。冬から春へ、春から夏へと近づき、日が昇る時間が早まると、それにつれて起床時間も早まる。逆に夏から秋へ、秋から冬へと近づいていくと、起床時間…

第106回:在外邦人には渡してもらえぬ「バッテンをつける紙」(想田和弘)

先日行われた衆議院総選挙では、最高裁判事の国民審査がいつになく注目された。というのも、最高裁が今年6月、夫婦同姓を強制する現行法について、「合憲」との判断を下したからだ。この判断を受け入れがたく感じている僕らにとっては、「合憲」...

第105回:統一候補を決めるには「予備選挙」が必要だ(想田和弘)

東京8区の野党統一候補の擁立をめぐって、立憲民主党とれいわ新選組の間に不協和音が生じている。この原稿が公開されるころには、あるいは決着がついているかもしれない。というより、行き違いがあるなら冷静にそれを正して、平和的に円満に決着…

第104回:コロナ早期治療のための体制を作れ。作らぬなら総選挙の争点にせよ。(想田和弘)

コロナ禍が始まった頃、新型コロナウイルスは人類にとって未知のウイルスであり、医療機関に入院できても治療は手探りだった。しかしあれから約1年8ヶ月の間に、治療法がかなり確立してきた。たとえば抗体カクテル療法を発症から7日以内に行えば…

第103回:「ワクチン強制化」への流れを警戒し憂慮する(想田和弘)

最初に断っておくが、僕はいわゆる「反ワクチン派」ではない。新型コロナワクチン接種には、それなりのメリットがあると思う。コロナ禍が長期化するなか、各国政府がワクチン接種を迅速に進めたい理由も理解できる。リスクとメリットを天秤にか…