第14回:7月の都議選が近づき、ぴりつく議会の空気(塚田ひさこ)

チャコの区議会物語

コロナ禍で2年前とは様変わりした議員活動

 臨時議会も無事終わり、6月議会と呼ばれる第2回定例会がまもなく始まります。豊島区議会は他の地方議会より少し遅めのスケジュールで、6月16日から7月14日までの会期です。東京都議会選挙(6月25日告示、7月4日投開票)をはさむ関係で通常より会期が長めとなっています。告示後の1週間は、議会の予定は何も入れないというのが暗黙のルールのようです。ほとんどの議員は所属する政党の、もしくは支持する候補者を全面応援するため、ほとんど出払ってしまうそうですから。
 まずは前回のコラムに続き「区議会議員は何をやっているのか?」の質問に答えるべく、5月25日に行われた「第1回臨時会」前後の2週間のスケジュールをピックアップしてみました。

5月
14日㈮:副都心委員会、議員全員協議会(登庁)
15日㈯:コロナワクチン集団接種会場視察、議会報告会(登庁)
16日㈰:カウンセラー資格習得講座参加、「豊岡市ジェンダーギャップ解消戦略取り組みについて聞く」オンライン女子会参加
17日㈪:自宅にて作業
18日㈫:正副幹事長会議(臨時会告示)(登庁)
19日㈬:「河川大会@調布」が書面開催に変更、オンライン勉強会参加
20日㈭:無所属の会派の相談会、議会BCP研修会 (登庁)
21日㈮:区内事業所訪問、理事者打ち合わせ(登庁)
22日㈯:休み
23日㈰:カウンセラー資格習得講座参加
24日㈪:正副幹事長会議(本会議前日の代表者会議)(登庁)
25日㈫:議員協議会、本会議(一日限りの臨時会)(登庁)
26日㈬:自宅にてオンライン会議
27日㈭:区外にて別件取材と打ち合わせ
28日㈮:正副幹事長会議、区内事業所訪問(登庁)

 土日を含む15日間の間に、登庁が8回。これが他の議員と比べて多いのか少ないのかはわかりませんが、コロナ禍前と決定的に違うのは、土日に春の卒業式、入学式にはじまり、通年を通してある区主催のイベント開会式や区施設の落成式、周年記念行事などが、ほぼ入らなくなったということです。議会や委員会においても座る席のソーシャルディスタンスをとっていますが、会派控え室も議員が集まって密になったり、不要な長時間滞在になったりしないようにする、またリモート作業できるものはそうするなど、各自十分に気をつけるよう議長からも言われています。
 そんなことで議会報告会や審議会がオンラインになったり、調布で行われる予定だった河川大会が書面開催になったり、とイレギュラーなことが続いています。街宣活動をはじめリアルな場での区政報告会や勉強会ができなくなっていますが、オンラインでの情報交換や勉強会は格段に増えました。休日はそれで1日が終わってしまうことも多いのですが、全国の自治体議員や海外にいる方たちとも、オンラインではありますが当たり前のように情報交換ができるのは、以前は考えられなかった大きな変化だなあ、とは思います。

場外乱闘? に巻き込まれ、控え室で5時間まち

 さて都議会選挙。告示まで1ヶ月を切りました。私は無所属で会派も無所属の会なので、気楽なものですが、政党に所属している議員や関係者たちはけっこうピリピリしてきているのではないでしょうか。
 現在、豊島区選出の都議会議員は定数3に対して候補予定者が4人となっており、横一線という話も聞くので、すでにばちばちと火花が飛び交っています。都議選は国政選挙に比べても、各地域選出といった色合いが強いので、現職区議が候補者と一緒に行動をし、街宣活動の横にいてチラシを配ったり、演説会の司会をしたり、応援演説をする、というのが普通にあります。東京都民だけれど、地域の区議会議員がどういう人で、どんな活動をしているのか、顔も見たことがない…という人はこの機会にぜひ、都議選の候補者の近くにいる人に注目してみてください。声をかけて質問などしてみると、丁寧に答えてくれるはずです(選挙前ですからね)。

 そして東京都議選に絡んだ「場外乱闘」は、こんなところにも現れてきます。
 例えば5月25日、この日は午後から第1回臨時会が行われました。臨時会では今期の議会運営にあたって、新しい議長、副議長、常任委員会、特別委員会の専任、後期高齢者医療広域連合議会議員、監査委員の専任など、3つの選挙と起立採決があります。加えて専決処分の報告と承認のため委員会が開かれるなど、1日限りなので形式的とはいえ、びっちりスケジュールが組まれています。
 その臨時会の始まる前の午前中のことですが、議員が全員集まる全員協議会の席上にて、区側から新型コロナウイルスのワクチン接種の状況についての説明があったのち、発言通告どおりにA党の議員より発言がありました。コロナワクチンについての提言か要望でもされるのかなあ、と思っていたところ全く違っていました。
 その内容というのは、「現職のB党の都議会議員が、名前入りのたすきをかけて、区内の某所で街頭演説をしていた。その様子は写真にも収めている。選挙期間中でもない時に、名前入りのたすきをかけて良いのは、屋内の支援者向けの演説会などに限られる、街頭で不特定多数の人に行うのは、公職選挙法に違反しているのではないか?」というもの。
 それをその場に出席させていた豊島区の選挙管理委員会の事務局長に「違反である」と答弁させた上で、「そうした一連の行為をB党の豊島区議団の議員らがtwitterなどでSNS発信をしている。法律違反のことを世界中に発信している、これは大変な問題なのではないか! 豊島区は『公正な選挙の確立を求める決議』を出しているのに、どういうつもりなのか? 経緯説明と謝罪を求める」……。なんだかもうA党の議員も語っているうちにどんどんヒートアップしていくような激しい問いかけだったものですから、議長もその場で納めることもできず、B党からも休憩動議が出されて、そのまま休憩になったのです。
 休憩になると私たちは控え室にもどりただ待つだけです。その間、何が行われているかといえば、議長と副議長がA党、B党を呼んでおとしどころの調整をするわけです。結局5時間近く経ったのちに、全員協議会が再開され、B党からは国会における「個別の行為が公職選挙法に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える」という答弁を引いてきて、「だから先ほど、豊島区の選挙管理事務局長は違法と言ったが、司法でないと違法とは断定できないのではないか」と反論し、謝罪はもちろんなくA党はおおいに不満の様子でしたが、議長が「この問題については重く受け止めて一旦預かる」という形でこの場を収めました。

 私自身は公職選挙法については、その複雑さやわかりにくさなどそもそも問題であり、また今の時代にあったものに改正していくべきであると思っている方ですが、もちろん現行法である以上、グレーなことは避けるべきです。そこをB党はわかっていてあえてやっているのか、どうなのか。また一方、A党としては「法律違反を犯している!」とB党のイメージダウンを狙っているんだろうと思われましたし、その分選挙にかける執念のような必死さが伝わってはきましたが、「やり方がいじわるだなあ」という印象もぬぐえず。これが豊島区の今後の都議会選挙の情勢やたたかい方にどう影響を及ぼすのかはわかりませんが、これから始まる第2回定例会においても、何かしらそういうことが持ち込まれてきそうで、当事者ではないもののドキドキしています。
 とにかくそんなこんなで、この日の臨時会が終了したのは午後9時近くになり、ひさしぶりに脚がパンパンになったのでした。

*参考

●豊島区における公正な選挙の確立を求める決議(平成28年3月18日)
昨年の4月に実施された豊島区長選挙及び区議会議員選挙では、一部の候補者において、公職選挙法に照らし、違法行為と思われる事案が散見された。
公平・公正な選挙の実施は、民主政治において欠くことの出来ない最重要事項であり、それは公職選挙法においても明確に規定されているものである。
一部の候補者の行為とはいえ、選挙の公平・公正に関し、区民から疑念を指摘されるような事態は、大変遺憾と言わざるを得ない。
今後は、18歳選挙権が付与されることも見据えて、各議員は、関係諸機関と協力し、選挙の公平・公正の確保のため、最大限の努力を傾注していかなくてはならない。
豊島区議会は、今回のような事態が二度と起きないよう、再発防止に向けた万全の取り組みを徹底すると同時に強化していくものである。
以上、決議する。
平成28年3月18日
豊島区議会

●(衆議院)選挙運動・政治活動の態様に関する質問主意書(平成30年12月4日提出)
質問本文
答弁本文

       

塚田ひさこ
塚田ひさこ(つかだ・ひさこ):豊島区議会議員・編集者。香川県高松市生まれ。香川県立高松高校、成城大学卒業後、サントリー(株)など民間会社勤務を経て、2005年憲法と社会問題を考えるウェブマガジン「マガジン9条」(現「マガジン9」)の立ち上げからメンバーとして関わり、運営・企画・編集など事務局担当。2019年5月地方統一選挙にて初当選。email:office@toshima.site twitter:@hisakotsukada9