第101回:決定版! 共謀罪攻略法はこれだ!(松本哉)

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 ギャー!!!!! 「共謀罪」がやってくる! 本当に自民党ってのは次から次へとよくもまあロクでもない事思いつくもんだね〜。…と、あきれる今日この頃。この「共謀罪」法案、実際に犯罪行為を行うのではなく、やるやらないにかかわらず、もくろんだ時点でアウトという、びっくり仰天の前近代的な法律。「犯罪行為を計画したり相談したりしてるんだったら、取り締まって当然だろ!」と、一瞬思うかもしれないが、そう単純なものではない。例えば、高円寺などでかつてデモを連発していた頃もあったし、今も各種イベントの打ち合わせなどはよくやるけど、その時の会議など、犯罪計画そのもの! だいたい飲み会みたいな感じで会議をするので、そんな時などはバカな案が出まくる。「まず交差点の真ん中でニセ札をばらまいて、街が混乱した瞬間にイベントを開始したら絶対超盛り上がる!」とか、「デモの時に悪い警官が現れて不当な規制とかして来たら、マグロ一本釣りの漁師を乗せたヘリコプターを背後から気づかないように忍び寄らせて、突如そいつを地上100mぐらい釣り上げて懲らしめよう」とか「国会議事堂の地下で密かに温泉を掘り進め、悪い法案が可決された瞬間に議場を温泉まみれにして、議員全員が気分良くなって、その法律をなかったことにしてもらおう」などなど。実現可能なものから到底不可能なものまで、ふざけた案が大量に出る。で、こういうのはほぼなんらかの法律に触れるので、すべて犯罪計画から会議は始まる。ただ、もちろんそんなメチャクチャなことはできっこないので、それはただのバカ話で終わって、現実的な普通の計画になるんだけど、こういうバカな話のおかげで色々発想が豊かになり、面白い案が浮かびまくる。そう、悪い謀議は必要なのだ。ま、実際にいきなりこれで何もしてない人が捕まりまくるってことにはならないだろうけど、もくろむこと自体が犯罪になったら、犯罪捜査っていう名目で人のプライバシーなど全部なくなるので、そっちの方が十分やばい。

 ま、共謀罪のヤバさはもう知ってる人も多いと思うので、今更ゴチャゴチャ言っててもしょうがないや。ともかく、こんな法律は成立しないに越したことない。と、いうことで、頭にきたので共謀罪ごときが登場してもこっちは屁とも思わないことを思い知らせて、成立を断念させるために、自分のブログで共謀罪対策の新作戦を書いてみた。ま、読みかけのところ申し訳ないけど、ここで、ちょっとこちらを一度見てみてほしい。→素人の乱5号店・店主日記

 そうそう、こういうこと(えっ、くだらないって? すいません)。そう、人間の不屈のたくましさって半端じゃないので、どんな強い権力を持ってしても全部を管理したり、言うことを完全に聞かせようなんてのは絶対に不可能。特に今の日本では、何でもかんでも統制しようっていう、自民党などによる無駄な抵抗が続いているけど、彼らには、バカバカしくなって諦めてもらうよりない。

 さて、そんな時、このブログを読んだマヌケな台湾人から、こんな新作戦の提案が!
「韓国人と陰謀を練れば一緒に捕まるから、牢屋の中で韓国語が勉強できる!」
 おおー、これは名案! 多分これ、今年の夏にアジア圏のアンダーグラウンド文化圏大集結イベント「NO LIMIT」を韓国でやる計画があるからってことだろう。これは使える! アメリカ人と謀議を練って英語勉強したり、伝説の料理人に悪い話持ちかけて捕まって秘伝の料理法を伝授してもらったりできる! 捕まった時に裁判官に凶悪な謀議を呼びかけまくり、裁判官と一緒に捕まってみて牢屋に行って法律を教えてもらったりもできる。これいいね!(これ、共謀罪対策9。1〜8はブログ参照

対策10、共謀罪を使って夢の世界を作る

 また別のマヌケ台湾人から「牢屋を満員にする」という、これまた妙案あり。いいね〜。確かに、以前街で「何もしていない善良な市民が捕まるんです!」みたいに宣伝してる人がいた。こういう言い回しってうさん臭くてなんか好きじゃないんだけど、ちょっと待てよ。善良な人だけが牢屋に入ったら、牢屋の外はみんな悪い人になるじゃねえか。これ、いいね。面白いやつらがみんな謀議を練りまくって1億人ぐらい牢屋に入り、そこで独自の社会を築く。そうすると、つまんない権力者達は全員、誰もいない外の世界に寂しくいることになるので、これは一石二鳥。楽しそうだ!
 ヤバいヤバい! 海外のやつらまで新作戦を練ってくれはじめた!! ここ数年来、東アジア圏のマヌケ文化交流をひたすら推し進めているので、国を超えてお互いの理解が早い!!! これはありがたい!!! いや〜、だんだん共謀罪が便利な法律に見えて来た! ってことで、もう少し新作戦練ってみよう!! はい、続き続き!

11、困った人の避難所作戦

 日本の社会システムもまだまだ貧乏人に優しくない。クソ貧乏で死にそうになってるのに生活保護ももらえない人だって多数いる。クソ寒い上に仕事もない年末年始などには、いよいよ困って、食い逃げとか窃盗とかをわざとして留置所で危機を凌ぐ人たちもいるぐらいだ。そんなとき共謀罪があれば安心。何も悪いこともせず、人に迷惑をかけることもなく、捕まりに行くことができるようになる。
 あるいは老人たち。これから超高齢化社会がやってくるけど、その頃には年金制度は破綻しているので、極貧老人が激増。そこで、おじいさんに先立たれたおばあさんや、おばあさんに先立たれたおじいさんなど、ニッチもサッチも行かなくなった90歳ぐらいの人たちが集まって、みんなで悪いことを考える。そして、「これで安心だねぇ」と、みんなで自首しに行く。
 こうなると政府も大変。善良な人々の数々の共謀についには根を上げ「みなさん、安易な共謀はやめてください!」と、共謀罪は廃止。代わりに福祉が充実。

12、共謀ビジネス

 何ごとでも新法律ができて規制ができると抜け道ができる。つまり考えなきゃいけないことがひとつ増える。考えることが増えるということは、そこにビジネスが生まれる。そう、共謀屋だ。裁判とかややこしい行政手続きみたいなもので、共謀罪後の世界は、そんじょそこらの素人が手軽に共謀できなくなる。そこで玄人の登場。「共謀一手に請負います」「共謀代行」って感じで、素人の共謀を引き受ける。「あのう〜、ハイジャックの計画立てたいんですけど、最近どうも共謀がしにくくて…」とか「友達の誕生日を祝うために留守中に家に入ってサプライズを仕掛けたいんですけど、不法侵入の共謀になっちゃうから、ちょっとお願いしていいですか?」なんてお客さん達が続々と現れる。すると、悪の弁護士から弱者救済の弁護士がいるみたいに、共謀屋にも色々できる。「うちは、爆弾テロ、暗殺、放火まで、なんでも引き受けますよ。秘密厳守! ただ、ちょっと高いよ〜」っていう悪徳共謀屋もいれば、「いや、うちは世のため人のために共謀するっていう、ポリシー持ってやってますんで。そんな不純な共謀は受けられませんよ」なんていう正義感あふれる共謀屋さんまで。プロにやってもらえば、安心だ! これで共謀もOK! 雇用も拡大!

13、熱気球に乗って空で共謀

 共謀罪後の世界では、もう完全に当局にマークされているような豪傑達はもう気が気じゃない。どこでどう捜査の目が光っているかわからない。これは怖い! 誰も近づけないところはどこだ!? よし、空だ! 熱気球で空に向って発進だ! 空に浮かんでいるのはみんなから見えるけど、何をもくろんでいるかは誰にもわからない。これはすごい。ある時はヤクザ達が大勢熱気球に乗り込んでプカプカ浮いて行ったり、国家転覆をもくろむ危険集団が気球に乗り込んだものの、風に流されて間違ってどっか行っちゃったり。あるいは、政府の不正や汚職がばれた翌日の空には大量の熱気球が飛び立っていき、膨大なもくろみがなされている様子が見えて、「何が起こるんだろう」と、なんだかちょっとワクワクしてみたりもできる。楽しそう!

 …あ、これまたキリがなくなってきた。まあともかく、我々には、こんな法律あったって上手いことやってチョロまかすことを考えるヒマは大量にある。政府の諸君も、悪いこと言わないから無駄な抵抗はやめたほうがいいぞ。すべての人類には生まれながらにして共謀権を有しているのだ! ザマーミロ!

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松本哉
まつもと はじめ:「素人の乱」5号店店主。1974年東京生まれ。1994年に法政大学入学後、「法政の貧乏くささを守る会」を結成し、学費値上げやキャンパス再開発への反対運動として、キャンパスの一角にコタツを出しての「鍋集会」などのパフォーマンスを展開。2005年、東京・高円寺にリサイクルショップ「素人の乱」をオープン。「おれの自転車を返せデモ」「PSE法反対デモ」「家賃をタダにしろデモ」などの運動を展開してきた。2007年には杉並区議選に出馬した。著書に『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、『貧乏人大反乱』(アスペクト)、『世界マヌケ反乱の手引書:ふざけた場所の作り方』(筑摩書房)編著に『素人の乱』(河出書房新社)。