川崎ヘイトデモに加担したも同然の神奈川県警(マガジン9編集部)

 あの日から10日経つが、未だに怒りが収まらない。

 7月16日、川崎市中原区でヘイトデモが強行された。いや、デモというには距離も時間もあまりに短く、さらに何を主張しているのか分からぬような代物だった。「ピンポンダッシュ(呼び鈴を押してすぐに逃げる子どものいたずら)」とすら呼ばれている。1年前、同じ中原区で結集した市民たちによって中止に追い込まれたヘイトデモの「リベンジ」とレイシストたちは言っているが、単なる逆恨みだろう。

 ヘイトデモを阻止しようと集まったカウンターは1000人。出発点と思しき川崎市平和館から中原平和公園付近には多数の警察官が警戒に当たり、綱島街道には警察車両が長蛇の列をなしていた。10時半といわれた予告時間を過ぎ、カウンターからは「デモ中止!」のコールが鳴りやまない。

 11時を過ぎた頃、平和館から500メートルほど離れた地点から突然デモが開始された。猛追し、ヘイトデモをやめさせようとシットインなどで対抗するカウンター。現場は混乱し、レイシストは乗ってきたバスに逃げ込んでそのまま遁走した。その間、わずか十数分。歩けた距離は数百メートルという。

 警察は、出発点からデモできないレイシストと「共謀」し、公園付近に大規模な囮の警備をしてヘイトデモを強行させたと言ってもいい。

 ヘイトスピーチ対策法に反するデモに加担した神奈川県警。その陽動作戦に動員された警察官の数たるや果たして何人だったのだろう。神奈川県議会はどれだけの血税が使われたのかを県警と県公安委員会に聞かなくてはなるまい。

 1年前、包囲した市民と一緒になってレイシストにデモ中止を説得した警察。カウンターではなくレイシストの側を向いていた警察。それがこの日はまるで逆になってしまった。法整備の必要性を痛感せざるを得ない。

 怒りは激しく、悲しみは深い。それでも言い続けよう。「共に生きよう」と。

(仲松亨徳)


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