2019年、スタッフが選ぶ「わたしの三大ニュース」(マガジン9編集部)

2019年も、いよいよ終わろうとしています。今年は、改元もあり、政治の不正、環境問題、#MeToo関連の動きなど、さまざまなことがありました。そこで、昨年に引き続き、マガジン9スタッフが1年を振り返りながら、それぞれの視点で「わたしの三大ニュース」を選んでみました。みなさんは、どんなニュースが心に残っていますか。2020年は嬉しいニュースでいっぱいの年にしていきましょう!
【2020年の更新は1月8日(水)からです】

西村リユ

●「歴史修正主義」をめぐって

 昨年末の「3大ニュース」で、大阪市が「慰安婦」像の建立を理由にサンフランシスコ市との姉妹都市提携を解消したことを取り上げました。日本軍「慰安婦」の存在と日本の戦争責任を否定するような歴史修正主義が、ネット上の「妄言」にとどまらず現実の政治に影響を与え始めていることが、とても怖いと感じたからです。
 山口智美さんらの著書『海を渡る「慰安婦」問題』などにあるように、ずいぶん前から海外では「歴史戦」と称して、歴史修正主義を発信しようとする動きが活発化していました。国内ではほとんど報じられることのなかったその事実が、今年4月に公開された映画『主戦場』で取り上げられ、多くの人の目に触れたことは、大きな意味があったと思います。
 一方で、今年夏から開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、企画展に元「慰安婦」女性がモチーフの像が出展されたことをめぐり、政治家までもが「慰安婦問題はでっち上げ」などと発言。政府もそれに対して否定する姿勢を見せませんでした。長年「慰安婦」問題を研究してきた林博史・関東学院大学教授は、日本政府自身が「歴史修正主義の立場を鮮明にする、これまでとは違う新しい段階に入ってしまった」と表現しています(今週公開のインタビューより)。
 後から振り返ったときに、「あれが分岐点だった」と思わされることになるのか。それは、これからの私たちにかかっているのかもしれません。

●選択的夫婦別姓、今年も実現せず

 11月14日、夫婦別姓の選択を認めない民法と戸籍法が憲法に違反しているとして、事実婚の男女6人が国に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は原告の請求を棄却。民法も戸籍法も「憲法違反ではない」との判断を示しました。
 今年はその他にも、いくつも「選択的夫婦別姓」をめぐる裁判の判決が出ました。しかし、いずれも結果は「否」。結婚した後も自分の名乗りたい姓のまま生きていきたいという多くの人たちの願いは、叶えられることがありませんでした。
 映画監督の想田和弘さんとダンサー・映画プロデューサーのの柏木規与子さんご夫妻は、1997年にニューヨークで結婚。そのとき、「近いうちに選択的夫婦別姓が導入されると思っていたから、それまで待とうと思って」日本で婚姻届を出さなかったのだそうです(お二人それぞれのインタビューがこちらこちらから読めます)。そういえば、当時まだ学生だった私も、自分が結婚を考えるころには間違いなく別姓は可能になっているだろう、と暢気に構えていたものでした。それがまさか、そこから20年以上経っても、こんな状況が続いているとは。
 この12月からは、免許証にも結婚前の旧姓を表記することができるようになりましたが、そんな「小手先」を使うよりも、根本の問題と向き合うべきではないでしょうか(しかも、すでに手続きがあまりに面倒だという声もあがっています)。9月には、選択的夫婦別姓訴訟の原告のお一人だった塚本協子さんが、84歳で亡くなられました。職場の圧力などで夫の名字を名乗らざるを得なかった塚本さん。「塚本協子として生きて死にたい」。生前何度も口にされていたという、ささやかで当たり前の願いが叶わなかったことが、残念で残念でなりません。

●「トンデモ」閣議決定連発

「『反社会勢力』は、定義できない」。12月に出された閣議決定に、思わず目を疑った人は多かったのではないでしょうか。「定義できない」のなら、これまで企業などが、政府の方針を受けてせっせと力を注いできたはずの「反社会勢力との関係遮断」とはいったい、なんだったのか……。
 それ以外にも、振り返ってみれば「なんじゃそら!?」と突っ込みたくなるような「トンデモ」閣議決定が連発された一年でした。
 最近のものだけでも、
 10月15日。小泉進次郎環境大臣が前月、スピーチの中で「気候変動への取り組みはセクシーに」と発言したことについて、「セクシーの正確な訳出は困難だが、辞書によれば『(考え方が)魅力的な』といった意味がある」と閣議決定。
 同じく10月15日。さまざまな疑惑が囁かれる「桜を見る会」について、「内閣の公的行事であり、意義あるものと考えている」と閣議決定。
 11月29日。首相夫人は「公人ではなく私人」との認識が(2017年に、首相夫人・安倍昭恵氏について「私人」と閣議決定したときと)変わらない、と閣議決定。
 12月17日には、「安倍首相の公務の遂行を補助する」昭恵氏の日当や実費、飲食費、交通費など公費の支出について「範囲が明らかではないため、お答えすることが困難である」と閣議決定。

 なんだかもう、「内閣の意思決定」というよりも、何でもごまかせる(と思っている)魔法の杖みたいになっているような……。こんなめちゃくちゃ、いくら何でもこれ以上見逃しているわけにはいかない。年末に、改めてそう思います。

海部京子

●低投票率が目立った春の統一地方選挙(前半4月7日投開票/後半4月21日投開票)

 今年は、統一地方選挙と参議院選挙が重なる選挙イヤーだったので、選挙のニュースを3つ。

 まず、春の統一地方選。前半の知事選・道府県議選・政令指定市の市長選と議員選、後半の市区町村長選と議員選は、いずれも投票率の低い選挙区が多かった。特に道府県議選や市長選、市議選などでは軒並み50%を割って、過去最低となった選挙も少なくはない。この無関心さはいったい何なんだろう? いまや足元の生活課題は山積しているのに…。投開票日を集約するなど選挙制度を再考するとともに、各自治体は、選挙の広報、周知の方法をもっともっと工夫してほしいと思った。
 今回の地方選でよかったのは、長くマガジン9の事務局長をつとめてきた塚田ひさこさんが豊島区議会選挙に出馬、上位当選したこと。選挙戦最終日の街宣には、マガジン9のスタッフも激励に。そこには塚田さんの応援に入っていた木内みどりさんの姿があった。マイクを握った木内さんは、その場に集まった支援者だけでなく、関心なさげに通り過ぎてゆく人々にも熱く語りかけていた。「必ず投票に行ってくださいねー!」と。国政選挙や地方選挙で「この人は」と確信する候補者を支援してきた木内さん。何事にもほんとうに一生懸命で(年上の方に失礼かもしれないけれど)可愛い人だった。木内さんが言うように、すべての選挙で多数の人々が「必ず投票に行く」社会へ。変わってほしいし、変えることをあきらめたくはない。(塚田さんが綴った選挙と木内さんについてのコラムはこちら

●野党は参議院選挙の結果を、次の衆議院選挙につなげられるか?(7月21日投開票)

 7月の参議院選挙は、「うだるような暑さの中で選挙か……」と覚悟していたが、はっきりしない天気の日が多く、気温はそれほど上がらなかった。結果も、喜んでいいのか、ガッカリするべきなのか、何とも言えない、というのが正直な感想。
 野党は32の1人区すべてで候補者を一本化し、10議席をとった。自公は改選議席の過半数を獲得したものの、改憲発議に必要な3分の2を維持することはできなかった。一方、東京、大阪などの複数区では、野党候補者の票が割れて、当落ギリギリだった自公、維新の候補者を当選させてしまっている。複数区は「野党はそれぞれ候補を擁立して、たがいに勝利を目指す」と言うけれど、複数区でも何らかの調整は必要ではないかと思う。また、11月におこなわれた市民連合の「全国意見交換会」で参院選の各地の報告を聞くと、保守層の票を得るために、リベラル色を徹底的に消してたたかったという選挙区もあった。
 野党は、選挙で勝たなければ政治は変えられない。それは重々わかっているが、勝てるならどんな候補者でもいい、どんなやり方でもいい、という選挙戦で野党を応援するのは(ちょっと大げさに言えば)魂を売るようなきつさがある。2020年は、いつ衆院選が行われるかわからない。次の衆院選では、これまでの国政選挙での野党共闘のたたかい方を顧みて、本気で「本気の共闘」を進めてほしい。

●市民と野党が一丸となった高知県知事選挙(11月24日投開票)

 これは画期的な首長選だった。新人の松本けんじさん(共産党県委員)を共産党、社民党が推薦。立憲民主党、国民民主党も県連推薦を決めて、市民と野党の共闘体制がつくられた。選対本部長は、なんと「社会保障を立て直す国民会議」所属の広田一衆議院議員。県内5野党の代表が副本部長について、松本さんを支えたのだった。結果は、自公推薦の候補者におよばなかったが、39.07%の得票率を獲得、大健闘したといっていいのではないだろうか。
 野党を応援する無党派市民として、これまでの選挙における「候補者一本化」には疑問を感じることが少なくなかった。共産党候補(あるいは社民党候補、無名の無所属候補)じゃ勝てないからと、地元でコツコツと活動し、すべての人の人権や尊厳を守ろうとする候補者がおりて、弱者にもマイノリティにも関心のない候補者が「統一候補」として擁立される。知名度、学歴、経歴、ルックスだけで選ばれる選挙はもう終わりにしたい。今すぐ終わりにはできないけれど、せめて野党は、たとえ見た目はパッとしないおじさん、おばちゃんでも、中身のある人をみんなで全力で盛り上げていく選挙もしてほしい。そういう候補者が当選するようにならないと、この国の社会の根本は変わらないと思う。

田端薫

●「れいわ」旋風、巻き起こる

 「何をやってもだめ」「どうせ変わらない」というあきらめムードの中で迎えた7月の参議院選挙。そこに突如巻き起こった「れいわ旋風」。結果2名の重度障害者議員の誕生という歴史的快挙を成し遂げたものの、結局、既成野党とりわけ共産党の票を横取りしただけで、無党派層の掘り起こしにはつながらなかった、との分析も。
 そもそも「あなたを幸せにしたい」って、昭和のドラマにでてくるプロポーズの決め台詞みたい。MMTって、ほんとに大丈夫なの? 脱原発のかわりに、当面は石炭火力で行くしかないって、時代錯誤では? 野党共闘はどうなるの? などなど不安、疑問は多々あれど、だけど信じたい。山本太郎の熱い言葉、誠意、政治姿勢、したたかな戦略を。がんばれ「れいわ新選組」!

●#MeTooは止まらない

 12月、民事裁判での伊藤詩織さん勝訴! 4年間の彼女の壮絶な戦いを思うと、涙が止まらない。判決文は「自らの体験を明らかにして、性犯罪の被害者をとりまく社会状況の改善につなげようとする公益目的あり」と、彼女の勇気を評価している。
 #MeTooは、しょせん欧米のまねごと、日本には定着しないだろうという悲観論を鮮やかに蹴っ飛ばして、日本のフェミニズム運動ははしたたかに進化し続けている。 #withyou 、#WeToo、 #KuToo 、#VoiceUp、#NoMoreセクハラ、フラワーデモなど、あの手この手で女性たちは、性差別、性暴力に、はっきりNOを突きつける。その担い手の多くが若い女性であることが、50年前のウーマンリブおば(あ)さんにとっては、なによりうれしい。

●「ジョーカー」的犯罪の衝撃

 私は『バットマン』の原作も、一連のバットマン映画も見たことがない。なのでまったく唐突な連想なのかも知れないが、映画『ジョーカー』を見たとき、真っ先に思い浮かんだのが京都アニメーション放火事件の容疑者のことだった。
 三十数名もの若い命を一瞬にして焼き殺すという残虐非道で理不尽な、まさにジョーカーの仕業かと思いたくなる犯行だ。容疑者は犯行直後に「(自分の小説作品を)パクられた」「死刑になってもいい」「失うものはなにもない」などと言ったという。そして瀕死のやけどを負い、病院で手厚い医療を受け意識を取り戻したとき、こうつぶやいた。「こんなに優しくされたことは、今まで一度もなかった」と。彼はこれまで、どんな人生を送ってきたのかと思わずにいられない。
 映画では心優しく不器用で障害を持つアーサーが、いかにして悪の権化ジョーカーに変身し、そのことによって解放されるのかが描かれる。京アニ事件の犯人についても、情状酌量の余地なしと切り捨てる前に、社会が知るべきことがきっとある。

助田好人

北方領土「2島引き渡し」困難 安倍政権、長門首脳会談から3年

 安倍首相は怒るべきところで怒らない(そうでないときに怒る)。3年前、地元選挙区である山口県長門で、安倍首相は会談相手のプーチンに2時間半待たされた。にもかかわらずロシアの大統領が到着すると、日本の首相は小走りに近づき、握手を求めたシーンが印象に残っている。ユーモアを含めた皮肉を言った形跡もない。安倍首相は27回に及ぶプーチン大統領との会談をして何を話したのだろうか。自らに対する批判に耐性がなく、国内でも議論をいやがる人だから、丁々発止のやり取りなどなかったのだろう。
 今年9月にウラジオストクで予定されていた会談を前に、プーチン大統領は色丹島で新たに建設された水産加工場の稼働式に中継映像で参加した。ところが安倍首相はプーチン大統領に直接抗議することなく、会談では「駆けて駆けて駆け抜けようではありませんか」などという常軌を逸したかのような呼び掛けを行った。人間関係を構築するの能力に著しく欠いているのではないか。トップ同士が仲良くなれば問題は解決するという、おもてなしを続けた結果、北方領土返還を断念した首相として歴史に名を刻むかもしれない。

トランプ氏と金氏、板門店で握手 現職で北朝鮮入境は初

 この会談はパフォーマンス、あるいは具体的な約束を交わすこともないものと日本のメディアは冷ややかだったが、むしろ注目すべきは、安倍首相が前日まで大阪で行われていたG20でトランプ大統領と一緒にいながら、何も教えられなかったという事実である。日頃、トランプ大統領との蜜月関係をアピールしているのに、同大統領から「日本を離れたら板門店に向かう。でも俺が行くまで絶対に言わないでくれ」といった耳打ちもなかったようだ。その程度の相手なのである。そこで「ぼくと君の間なのにあんまりじゃないか」と、ここでもまた安倍首相は言えないのだろう。
 彼に拉致問題を本気で解決する強い意志があるのかどうかも疑わしい。同問題を最優先にするのであれば、韓国との関係も良好にしておくべきなのに、文在寅大統領との関係も冷えたままだ。安倍首相においては金正恩委員長と会談はやらないでいただきたい。相手の言い値で交渉が進んでしまいそうだから。

グレタ・トゥンベリさん演説 「すべての未来世代の目はあなたたちに注がれている」

 スウェーデンの16歳の少女がヨットで大西洋を横断し、ニューヨークに到着したというニュースが流れたのは8月末だった。彼女の目的は同地で開催される国連の気候行動サミットへの参加。ヨットで来たのは膨大な温室効果ガスを排出する飛行機に乗ることを拒否したからである。
 グレタの敵は明確だ。世界の温室効果ガスの半分を排出する全人口の10%である富裕層。トランプ、プーチン、ボルソナロなど、大国を代表する大の男たちが、16歳の少女の激烈な批判に逆切れしているのは、グレタの主張が図星だからだろう。日本でも多くの、一家言あるおじさんたちがいら立っている。自己主張する女性はいけ好かないと思っている節がある。
 グレタは学校ストライキをひとりで始めた。リスクを負い、発言し、行動したことが世界に共感を広げている。世の中に変化を起こすのはいつも一人の勇気。あなたも私も世界を変えられるということなのだ。

編集者C

 中村哲さんの死、うんざりするほどの日本社会の崩壊(桜を見る会、かんぽの不正勧誘、大臣の辞任やら議員の素行不良、官僚のしらばっくれや公文書廃棄など)、今年を思い返すと悲しくなったり、腹が立ったりすることばかりだ。その中から3つ選んで書くのはとても難しい。たぶん、#MeTooや#KuToo、フラワーデモ、伊藤詩織さん、グレタ・トゥンベリさんのことは、他のスタッフが書くだろうし。れいわ新選組、あいちトリエンナーレ、映画『主戦場』についても書く人もいるだろうし。
 で、こんなことを考えました。今年、私が改めてその意味をかみしめた言葉を3つ……。

●マンスプレイニング Mansplaining

 この言葉をご存じだろうか? 男性(Man)が「explain」(説明する)、この2つの単語の合成語だ。 男性が女性に対して、相手が自分と比べて無知であると決めつけ、上から目線で知識や権力をひけらかして物ごとを説明する行為を指している。元TBSの山口某が伊藤詩織さんを馬鹿にするあの言い方。菅官房長官が望月記者の質問に対するときの態度もそうだろう(明らかに、男性記者が追及するようになってから長官の受け答えはグダグダになっている)。いや、そんなに大きなことだけではない。例えば、今年私にあったこと。
 異動でやってきたオジサン上司。これまでほとんど会話をしたことがなかったのに、初の飲み会で私のことを「おまえ」と言った。酔っぱらっていたのならまあ許すか、と思っていたら、この前は打ち合わせで名前(姓ではなく)を呼びつけにされた。冗談じゃないよ。おそらく、最初から自分をマウントポジションにおきたいと思っているのだろう。
 家庭で「お父さんの言うことのほうが正しいのだ! 俺の言うことを聞け!」と妻や娘、息子に演説してないだろうか? 職場の女性アルバイトや新人さんに「女の子はものを知らないから教えてやる」とか言ってないだろうか? そういうことが、あのグレタさんへの誹謗中傷や、物言う女性への陰湿な攻撃を生む素地となっている。日本のジェンダー・ギャップ指数は世界で121位だ。こんなに世界の常識とずれがあるのに、男が女より上にいると信じているとしたら、もう終わっていると思ってしまうのだが。

●イートイン脱税

 消費税アップに伴う軽減税率が始まって、ここで食べると1100円が、持って帰ると1080円。やっぱりそれが現実になると、なんで? と思った。そして、「持って帰ります」と言って食品を買った人が、コンビニやフードコートのイートイン・コーナーでそのまま座って食べていたら……20円の脱税だと非難されている。それが「イートイン脱税」。なんて悲しい言葉だろう。自分はルールを守って10%払って食べているのに、ずるをしているお前が気に入らない。脱税だ! ……気持ちはわかる。わかるけど、会費5000円でホテルの明細書ももらわず1万円以上のごちそうを何百人にも振る舞ったり(しかもお花見つき!)、お友達に何億円も値引きして土地を売ったり、よく落ちる変なプロペラがついた飛行機を30億ドルで買ったりするほうがむかつくな。かけがえのない美しい海を埋め立て、ぐずぐず地盤に杭を7万7000本打つほうがむかつくな。敵はどこにいるか、考えなくちゃね。

●サバイバー

 もちろん、生還した、生き抜いた人のことだ。だけど、最近は、性暴力やDVの被害者に限定して、被害を生き抜いたという意味から「サバイバー」ということが多い。伊藤詩織さんは民事裁判後の記者会見でサバイバーに向けて、「いちばん重要なのは、生きのびること。そうしないと前に進めません。それを優先してください」とメッセージを寄せた。
 彼女のここまでの闘いは本当に素晴らしいし、尊敬もしている。こんなに大きなものを背負わされてしまってどれほど苦しかっただろう。心から応援している。
 しかし。私の知り合いのサバイバーが伊藤さんの裁判報道で動揺していることを知った。自分はあんなふうに闘えないと自責の念を持つ。山口やネットにはびこるその支持者たちが詩織さんを貶めれば、その態度に自らの加害者を想起してしまい恐怖を感じるのだとか。そのことを知って、本当に私は衝撃を受けた。そんなに傷が深いのか、と。認識があまかった。

 性被害、DV被害、ハラスメントのみならず、貧困や差別、台風や地震の自然災害、 放射能汚染土が流れ出すといったアクシデント、気候変動による猛暑や干ばつ、クルマの逆走運転にあおり運転、ブラック企業や過重労働といった厳しい労働環境……私たちは、さまざまな困難からのサバイバーにならなくてはいけない。なんと過酷な時代になったことかと思う。

仲松亨徳

●「逃亡犯条例」改定案を端に発する香港での混乱

 犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改定案に反対する香港での大規模デモは6月9日に始まった。100万人ともいわれる人々が町中を埋め尽くした。改定案を撤回しない香港政府に対してデモは長期化し、苛立った警察は容赦なく暴力を振るうようになった。権力が牙を剥く瞬間‬を見た思いだった。10月23日、政府は改定案を正式に撤回。11月24日の香港区議会選挙では民主派が圧勝したが、中国は強硬姿勢を変えていない。香港の今後は予断を許さない。

●あいちトリエンナーレへの公権力の不当な介入

 あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」への攻撃は凄まじかった。危害を加えると脅迫を行った男は逮捕されたが、嫌がらせの電話を集中させるいわゆる電凸によって、企画展は一時展示中止に追い込まれた。問題はその後だ。攻撃したネトウヨらの行動と軌を一にした、河村たかし名古屋市長。トリエンナーレへの補助金不交付を決めた文化庁。この国に、その本性を隠そうともしない、「表現の自由」という基本的人権を蔑ろにしたい権力者や権力機構が存在することが露わになった。

●辺野古新基地建設住民投票で「反対」が7割

 2月24日に行われた住民投票だが、実施に至るまで紆余曲折があった。県内5市が不参加を表明し、県民投票の会の元山仁士郎会長がハンガーストライキを行って抗議。その後、「賛成」「反対」のほか「どちらでもない」を加えた3択で県議会全会派が合意し、実施された。5市長と宮崎政久衆議院議員が県民の意思表示を潰そうとしたことは忘れられない。政府はこれまで、国政選挙の結果を受けても「基地の賛否だけの民意ではない」とかわしていたが、この県民投票の結果を受けても新基地建設を強行している。不誠実も極まれりだ。

田村久美子

●地球温暖化で、巨大化するスーパー台風

 令和元年、私にとっての一番のニュースは、10月12日に関東中心を襲った、カテゴリー5のスーパー台風19号だ。気象庁が数日前から「命をまもる行動をしてください」と何度も呼びかけていた。私も強風に備えて窓をガムテープで目張りし、貴重品をまとめ、おにぎりをつくり、いつ避難勧告が出てもいいように備えた。
 この19号のちょうど1ヶ月前に15号が千葉県を中心に強風が襲った。19号も風台風だと思っていたが、台風の接近に伴い、静岡県や関東甲信越、東北地方ではこれまでに経験したことのないような記録的な大雨になった。私が住んでいるところは、もし荒川が氾濫したら、浸水深5~10mになるとは言われていたが、いくらなんでも……と思っていた。しかし、TVで「荒川が氾濫危険水位に達した」という報が流れて、あたふたと焦っている間に、夜10時には「荒川の上流の二瀬ダムが緊急放流」との放送が。
 結局は流水量が減少し、なんとか放流は免れたが、自宅横を流れる荒川の支流がみるみるうちに水嵩が増して、氾濫寸前までいった。夜中に市から避難勧告が出て、消防が「いますぐ避難してください!」と何度も言って回っていた。幸い、氾濫は免れたものの生きた心地がしなかった。この台風によって、7県で71河川140カ所が決壊し、多数の死者と負傷者、行方不明者を出したという。
 気候変動のせいで、年々台風が巨大化している。来年は、荒川が本当に氾濫するかもしれない。荒川が氾濫したら、首都圏も飲み込まれてしまうかもしれない。しかし、今年のCOP25で、日本は石炭火力発電所建設をやめるどころか、石炭火力発電所建設に対する国際援助をこれからも続けるという。あまりにも世界の流れに逆行している。地球が壊れたら、元も子もない。少しでも温暖化のスピードを遅らせるために、日本政府は、原発・石炭火力発電所からの脱却をし、自然エネルギーに移行してほしい。そうでないと、ますます自爆の一途を辿ってしまう。

●「辺野古のジュゴンが亡くなった!」

 3月18日、沖縄島今帰仁村運天漁港沖の防波堤付近にて、ジュゴンが死んだ状態で発見された。この海域では最近まで3頭の生息を確認しており、沖縄防衛局がA、B、Cと名付けているが、このジュゴンは「個体B」と思われる。親子で泳ぐ姿を目撃されていて、そのお母さんジュゴンではないかとされている。それが、全身傷だらけの痛々しい状態で発見されたのである。死因はエイの棘に刺された為とされていて、亡くなる数時間前にジュゴンが鳴いている声が録音されていたらしい。しかし、このエイの棘に刺されたという原因も、はっきりしていないのである。
 個体Aは2018年9月以降、個体Cは2015年6月以降、確認されていない。2018年12月2日、辺野古の海に土砂が搬入されたが、そこはジュゴンの餌となる海草藻場が沖縄で最も多く広がる海域だった。死骸が見つかったのは、その土砂搬入からしばらく経った後だ。ジュゴンを守ろうと、数十年間も辺野古新基地建設反対運動に参加してきた人もいる。その人たちは、どんなにショックだったであろう。
 政府は、工事にはあと10年かかるというが、マヨネーズのような軟弱地盤を工事するには100年かかるという専門家もいる。なぜ辺野古なのか、いつまでアメリカの支配下から抜け出せないのか。種の保存どころか、政府は貴重な種を絶滅にも追い込もうとしている。
 私はまだジュゴンがいると信じている。人間が自然界のすべてのことをわかるはずがないと思っている。工事の土砂はまだ1%しか搬入されていないと、先日京都の学生が抗議していた。まだまだ辺野古新基地建設工事は止められると信じている。そして、ジュゴンはまだ生きていると信じたい。

●なかったことにしたい──『桜』が追加される

 安倍首相のもと、モリカケ問題などの『なかったことにしたい』に、今年また『桜』が追加された。
 消費税が10%に上がり、税金、保険、生活費などが上がり、実質賃金が下がり、年金もいつもらえるかわからず、エンドレスに働かなければならないかもしれない。「このままだと、将来は安楽死制度の確立を」という声さえ聞こえてきている。国民の血税を、安倍首相は私物化しているとしか思えない。
 野党は来年も引き続き追及するらしいが、モリカケの時のように、逃げ切られるのではないかと思う。このままなら。

中村

●住んでみたい国、働いてみたい国

 無理やり通した改正出入国管理法によって、今年4月に「特定技能」という在留資格が新設されました。これは人手不足を補うため、単純労働分野で働く外国人の在留資格を認めたもの。初年度には最大4万人の取得者が見込まれていたはずですが、実際には11月時点で1000人ちょっと……。菅義偉官房長官は「外国人が国を選ぶ時代だ。住んでみたい国、働いてみたい国を目指し、関係省庁が緊密に連携して取り組んでほしい」と語ったそうです。
 一方で、日本に約三十数万人もいる技能実習生の厳しい状況も、今年はニュースに取り上げられることが多くありました。「『人間らしい睡眠とりたい』農業の技能実習生5人が訴え」(朝日新聞2月26日)という記事もありましたし、原発事故の除染作業に違法に従事させられたという報道もありました(日本経済新聞9月4日)。検索すれば、もっと多くのニュースが出て来ます。
 「住んでみたい国」「働いてみたい国」……言葉だけでなく、本当にそんな国を目指すことができるのでしょうか? このままだと、日本が誰からも「選ばれない国」になる日のほうが近そうです。

●コンビニ24時間営業問題

 「働いてみたい国」ですか? の関連で、今年のニュースで印象的だったひとつが、今年2月に大阪のコンビニ店主が24時間営業を止めたために、本部からの解約と1700万円の違約金を求められたという話。一緒に働いていた妻を亡くし、人手不足と過労で午前1~6時の営業を止めざるを得なかったということでした。
 フランチャイズ加盟店のオーナーは独立事業者のはずですが、自分で営業時間を決めることもままならないのが現状。8月の経産省調査では、コンビニ店主の66%が1週間の休みが「1日未満」だと回答しています。
 学生時代にコンビニでバイトをしていたことがありますが、まだチケット発券やイートインなどはなかった時代。便利さが増した分、働く人の負担も大きいだろうと思います。そういえば、多くのバイトが帰省する年末年始には、店長から少しでもシフトに入ってほしいと懇願されたことを思い出しました。
 こうした状況を受けて、コンビニ各社では、やっと営業時間短縮を認める方向へ。経済産業省も柔軟な店舗経営に向けて改善を促すとしています。しかし、独立しているからと、どこからも守ってもらえないのに、なぜか自由もない――こういう働き方がコンビニ店主だけに限らず広がっている気がします。

●入管収容施設でのハンガーストライキ

 さて「住んでみたい国」ですか? で取り上げたいのは、入管の長期収容問題。収容施設での収容期間が長期化し、「仮放免」を求めて抗議が広がっています、今年6月には、大村入国管理センター(長崎県)で長期収容中のナイジェリア人男性が餓死。その後、各地の収容施設でハンガーストライキが拡大しました。体調が悪くてもすぐに医療にかかれないなど、収容施設での人権を無視した対応も大きな問題になっています。
 最近でも、トルコ出身クルド人男性が、今年1月に東日本入国管理センターで職員に取り押さえられた際に暴行を受けたとして国に損害賠償を求めている訴訟のなかで、取り押さえる様子を映した映像が公開されました。複数の人数で、どう見ても必要以上の「制圧」を加える様子に、非常にショックを受けました。人権感覚が薄いと言われる日本。日本で生まれ育った人にとっても、「住んでみたい」「働いてみたい」国になるのは遠い道のりかもしれません。

 ……ああ、来年末こそは、いいニュースで3つを埋めつくしたいものです。

塚田壽子

●「れいわ新選組」の登場

 つい先日、子育て中の若いお母さんが「ベーシックインカムがあれば…一家で月に5万でもいいからあったら助かるなあ〜」とぽろっと言われたので、「ベーシックインカムは、個人一人あたりに支払われるものだから、一人3万として家族4人なら月12万になるね」というと、「わ〜夢みたい!」と。それが夢でない社会を作ろうというのが、「れいわ新選組」の政策です。
 なんだか党の宣伝文みたいになってしまいましたが、好き嫌いはおいといても山本太郎氏が立ち上げた「れいわ新選組」が、参議院選挙で政党要件をみたす政党となったことは、今年の三大ニュースには必ず入ってくることでしょう。
 彼のど肝を抜くような選挙戦略については、連載コラム「雨宮処凛がゆく!」でも詳しく書かれており、それだけでも十分に「ニュース」。しかし一番注目すべきはやはり、「消費税廃止」など山本氏がメインの政策として訴え続けている経済政策です。
 この20年間、財務省と経団連、それに追随する政府の経済政策の失敗により、格差が生まれ貧困が拡大したことを、山本氏はあぶりだしました。一般の人たちに「あなたの苦しさは自己責任ではない」ということを真正面から熱心に語り続けることで気づかせ、結果、4億円もの寄付金が集まりました。こんなことは、これまでのどんな“草の根政治”においても例がないことです。

 実は「消費税を廃止」というこの考え、山本太郎氏の新説というわけではありません。マガ9の連載「森永卓郎の戦争と平和講座」で、繰り返し森永さんが言い続けてきたことでもあります。例えば、「自民党総裁選と消費税」(2018年8月22日)では、〈私は、日本に一番必要なものは、経済をきちんと理解した、まともな左派政党だと考えている。(略)日本の左派政党だけが、なぜか財務省と日銀のマインドコントロールから逃れることができずに、相変わらず「社会保障の拡充のためには消費税引き上げはやむを得ない」とか、「金融緩和はバブルを引き起こすだけで、何の効果もないどころか危険だ」などと、財務省や日銀が作った神話の呪縛にとらわれ続けている。〉と指摘していたのです。
 他にも、
・「財務省にだまされてはいけない」(2018年5月16日)
・「なぜ野党は『消費税引き下げ』を言わないのか」(2016年3月30日)
 などなど。私は森永さんの編集担当として、森永さんがこの15年ほどずっとジリジリしているのを、読んだり聞いたりしてきました。

 そんな森永さん。直近のコラムではこのように述べています。
〈れいわ新選組は、物価上昇率が一定限度を超えない範囲なら自国通貨建ての国債発行による財政赤字は問題にならないとするMMT理論に基づいたベーシックインカムの導入を、日本の政党として、初めて明言したのだ。私は、この政策を採用できれば、日本の景気は劇的によくなると考えている。(略)財務省が40年間にわたって積み重ねてきた「財政破綻論」の壁は、そう簡単に打ち破れないというのが正直な感想だ。ただ、あきらめずに戦い続けるしかないと思う。そうしなければ、日本経済が発展途上国に転落してしまうからだ。〉 

 2020年、経済問題を語れないとんちんかんな政党や政治家にはもう目はない、と早く言い切りたいです。

●木内みどりさんとのお別れ

 今年の特別な時間についてはこちらに書きましたが、まだちゃんとお別れができていないことが、寂しいです…。もらった言葉、残してくれた言葉を、伝えていきたいと考えています。

●区議会議員としての活動が始まる

 先日さる忘年会にて。知り合いの新聞記者から「FB見てたらあなたが名前入りのたすきをかけて演説していて、新しいフラッシュモブかと思ったら、リアル選挙だったんでびっくり。で本当に区議会議員やってるんだね」と言われてしまいました。
 そんな風にたくさんの人を驚かせ、マガ9には迷惑もかけ、でも全面的にみんなに応援をしてもらい、今年4月の統一地方選挙で豊島区議会の議席を得ることができました。現在は区議会議員と編集者という二足のわらじをはきながら活動を続けているわけですが、やはりこのことは私にとっては大きなニュースであり出来事です。
 区議会議員の活動もはや8ヶ月が過ぎました。「これは伝えておかなくては!」と思うことばかりです。例えば、7月の豊島区議会定例会において「米軍普天間飛行場の辺野古移設の促進を求める意見書」を国に提出することが、賛成多数により決議されてしまいました。これについて私は、本会議最終日の決議前に「地域住民の総意を無視した内容を含む陳情を採択し意見書を出すことは、地方議会としてあるまじき行為と言わざるを得ない」と反対討論を行いました。*反対討論全文はこちらから読めます。

 日本国憲法は第8章「地方自治」において、国家レベルの多数の横暴から少数者である地域住民を守る役割を果たすと規定をしています。まさに国家の暴走を地方自治体で歯止めをかける方法を憲法は用意をしているのに、地方議員である区議会議員は何をやっているのか、ということを問う反対討論です。結果は与党が多数を占める議会においては、むなしく可決されてしまいました。
 今年は、目まぐるしく動く状況への対応に追われ発信もままならない状態が続いてしまいましたが、2020年は情報発信の場を最大限に活用し、密室の政治・議会に私なりに自由にメスを入れたいと考えています。

鈴木耕

 「マガジン9」からの要請は「2019年の3大ニュース」ということだけれど、ぼくにとって、今年の出来事は悲しいことばかりだったような気がします。いいニュースなど、公私ともにほとんど思い出せません…。

 何度かコラム「言葉の海へ」で、素敵な方々への「さようなら」を書かなければなりませんでした。
 まず、木内みどりさん
 そして、中村哲さん
 おふたりについては、ぼくのコラム『言葉の海へ』でぼくなりの思い出を書きました。なんだか、胸がつまるような想いで文章が乱れました。(臨時便『みどりさん、「またね。」は淋しすぎるよ……』、第99回『またこういう文章を書かなければならないことが、とても悲しい。中村哲さんの思い出。』

 実はもうおひとり、悲しいことに、中里英章さんについてもお別れの言葉を書かなければなりません。中里さんといっても、一般にはあまり有名な方ではありません。でも、出版界ではとても著名な方でした。
 中里さんは、小さな出版社「七つ森書館」の経営者でした。彼といつから親しくなったのかは、憶えておりません。いつもデモや集会の現場ですれ違い、なんとなく知り合うようになったのです。デモや集会がはねてから、一緒にビールを飲んだことも何度かありました。
 ことに、代々木公園で毎年行われる「反原発大集会」では、必ずお会いしました。会場に小さなテント張りのブースを出して「七つ森書館」の書籍を販売していたのです。経営者とはいっても社員はふたりだけの出版社。自らが先頭に立って販売に精を出していました。
 「やあ、元気?」
 「元気なんかあるわけないよ。力さん(ぼくのこと)はいいよなあ、悠々自適で……」
 「なにを言ってるの。ぼくだって年金生活。カツカツだよ」
 「オレなんか年金は出たって雀の涙。イヤな世の中だねえ」
 などと、愚痴を言い合う高齢者同士だったのです。それでも中里さんは、コツコツと、あまり売れそうもない本を作り続けていました。世の中から忘れ去られてしまいそうな事象に光を当てる本を送り出すのが、出版に携わる者の意地だとでも言うように……。
 むろん、飄々とした風貌と語り口は、そんな意地や頑固さは感じさせませんでしたが。
 それでも、中里さんが作った書籍で、後世に残るものはたくさんあったと思います。中でも特筆すべき業績が『高木仁三郎著作集』(全12巻)でしょう。市民科学者を名乗り、反原発運動に多大な影響を与えた高木さんの著作を丹念にまとめた著作集は、まさに「市民のための出版社」を標榜していた中里さんの金字塔でした。
 その中里さんが出張先から東京へ戻る新幹線の中で、心臓発作に襲われ急逝したのは8月のことでした。

 ぼくが「反原発運動」の中で知り合った木内みどりさんは広島で、そして中里さんは新幹線車中で、ともに心臓発作で亡くなりました。むろん、木内さんと中里さんも知り合いだったはずです。不思議な、そして悲しい奇縁というしかないのでしょうか…。

 ぼくにとっての「2019年の3大出来事」というのは、実はこんな淋しいお別れだったのです。

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