「名前を読む」ことで実感する沖縄戦(仲松亨徳)

 沖縄県糸満市の県営平和祈念公園に建てられている「平和の礎(いしじ)」。沖縄戦などで犠牲になった民間人、軍人、敵味方分け隔てなく名前を刻んだこのモニュメントに、「慰霊の日」を前に先日新しい刻銘板が追加された。県内24人、県外341人の365人が加わり、刻銘総数は24万2046人となった。
 ここに刻まれている名前を読み上げる集いが昨年から始まり、今年も開かれている。6月1日から、原則9時から21時までの間、ZOOMを用いて参加者が戦没者名簿をリレー方式で読み上げる。沖縄県内には地域会場がありリアルで参加できるが、私は昨年に引き続き、オンラインでの参加となった。
 申し込みの際、読み上げたい地域があれば申告する。命を落とした身内の人がいたり、ゆかりや思い出など思い入れのある土地がある人は、申し出れば配慮してくれる。
 私は特に申し出なかったので、昨年は沖縄南部の知念村、佐敷村(現南城市)などの人々を読み上げたが、今回は四国地方の県の500人を受け持った。想像するに、みんな召集された兵隊なのだろう。この人たちは、沖縄の人々に対して乱暴を働かなかっただろうか。兵站を断たれてどのように死んでいったのだろうか。その人にも親がいて、故郷があった。粛然たる思いで読み上げていると、「名前」こそその人がこの世に生きた証なのだと実感させられる。およそ30分かけて読み終えた。
 「名前を読む」という肉体表現は、いま私たちがいる地平と沖縄戦が地続きであると実感させてくれた。
 配信を見ると、どのように読み上げられているかがライブで分かる。この集いは、6月23日の慰霊の日まで行われる。

(仲松亨徳)

沖縄「平和の礎」名前を読み上げる集いのHPはこちら。→https://okinawa-ishiji.net/

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