2025年9月10日
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雨宮処凛

雨宮処凛
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あまみや・かりん:1975年、北海道生まれ。作家。反貧困ネットワーク世話人。フリーターなどを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。06年からは貧困問題に取り組み、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(07年、太田出版/ちくま文庫)は日本ジャーナリスト会議のJCJ賞を受賞。著書に『学校では教えてくれない生活保護』『難民・移民のわたしたち これからの「共生」ガイド』(河出書房新社)など50冊以上。24年に出版した『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)がベストセラーに。

第570回:「自宅療養」と言われても〜路上の人がコロナ陽性になったあるケース。の巻(雨宮処凛)

その診断書には、発熱があること、味覚障害があること、血中酸素飽和度は93であること、そして肺に影があることが書かれていた。診断書の当事者は、路上で暮らしていた男性だ。「第5波」が猛威を振るっていた8月、路上生活者などを支援する「あじ…

第569回:9・11から20年〜イラク戦争直前に訪れたバグダッド。の巻(雨宮処凛)

2011年9月11日、米国同時多発テロの日、あなたは何をしていただろうか。私は26歳で、その前年に1冊目の本を出していた。その日は編集者の女性と打ち合わせがあり、その後、二人で目黒のカラオケ屋で呑気に歌っていた。深夜、帰ってテレビをつけ…

第568回:「命を守る」ことを最優先にした政治を〜「命がけ」になってきている支援の現場。の巻(雨宮処凛)

コロナ禍が始まって、もう一年半。最近、やっとワクチンを打った。といっても、私の住む自治体のワクチンはずいぶん前に供給ストップ。どこに問い合わせても「いつ再開されるかわからずキャンセル待ち予約もできない」という返事。困窮者支援の現…

第567回: DaiGo氏の発言とコロナ禍で深刻化する貧困、そしてこれまでの生活保護をめぐるあれこれについて。の巻(雨宮処凛)

「失業中で1年くらいまともに食べていない。以前生活保護の相談に行ったが、いろいろ条件をつきつけられて申請しなかった。保険証もなく病院にも行けない。現金がなく食べ物に困っている」(50代男性)「離婚し保育園で働いている。借金もあるの…

第566回:「幸せそうな女性」を狙った卑劣な事件。の巻(雨宮処凛)

「幸せな女性や一緒にいる男性を殺したいと思っていた」。8月6日、恐ろしい事件が起きた。東京を走る小田急線の車内で36歳の派遣会社員の男が乗客を襲ったのだ。刺された20代の女子大学生が重症、20〜50代の男女9人も怪我をした。容疑者は床に…

第565回:『貧困パンデミック 寝ている「公助」を叩き起こす』から見えるコロナ禍の一年半。の巻(雨宮処凛)

自分ちの猫が可愛すぎて、講演の際に使うパワーポイントの最後のページに愛猫の写真を仕込んでおき、さりげなくみんなに自慢する人がいる。1990年代から貧困問題に取り組む、「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛氏だ。そんな稲葉氏がこの...

第564回:相模原事件から5年。の巻(雨宮処凛)

もうすぐ、7月26日がやってくる。5年前のこの日、相模原の障害者施設に男が押し入り、19人を殺害。26人が重軽傷を負った。逮捕されたのは施設の元職員の植松聖。当時26歳。「今、やまゆり園で起きた事件の犯人は私です」と津久井署に自首した植…

第563回:「困ってる人を追い返す意地悪な役所の人」をロールプレイで演じてみたら、自分の「ヤバさ」に気づいた。の巻(雨宮処凛)

「ヤバい、これ、ちょっと癖になりそう……」。そんな言葉が私の頭をよぎったのは、6月某日のことだ。この日、私はzoomの「オンライン研修」で、「模擬生活保護申請」をしていた。私が「役所の意地悪な職員」役となり、生活保護を申請したい人…

第562回:私が貧困問題に取り組み続けている理由〜「死なないノウハウ」を得ると、意地悪度が下がるという発見〜の巻(雨宮処凛)

「どうして心が折れずに続けていられるんですか」。貧困問題に取り組んで15年。たまにこんな質問を受けることがある。状況は変わらないどころか悪化しているのに、自分たちの活動が政治を変えないことに無力感を感じないのか、という質問だ。…

第561回:「普通の生活がしたい」という悲鳴。の巻(雨宮処凛)

「普通の生活がしたいです」。最近、そんな言葉を耳にする機会が増えた。コロナによって失業したり、住まいを失ったりした人の相談に乗る際に聞く言葉だ。日々支援団体に寄せられるSOSメールにもそんな言葉が目立つ。普通の生活。それがどんな…