2024年7月27日
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小林美穂子

小林美穂子
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1968年生まれ。一般社団法人「つくろい東京ファンド」メンバー。支援を受けた人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネーター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで就労。ホテル業(NZ、マレーシア)→事務機器営業(マレーシア)→工業系通訳(栃木)→学生(上海)を経て、生活困窮者支援という、ちょっと変わった経歴の持ち主。空気は読まない。共著に『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(岩波書店)。

第28回:増え続ける空き家と部屋を借りられない人々の不安と苦悩(小林美穂子)

マガジン9読者の皆さん、お久しぶりです。「明日できることは明日やる」をモットーに、やらなきゃならないことも先送りして呑気に構えていたら、いよいよ仕事が積もりに積もってしまい、にっちもさっちもいかなくなって恐慌をきたし、2カ月ほど…

第27回:必勝しゃもじでひっぱたいて公助を起こしたい、そんな春(小林美穂子)

コロナ禍も3年が過ぎ、今年も桜が満開になった。我が家の猫たちは、いつの間にかアンカ入り猫ハウスに入らなくなり、人間も湯たんぽを押し入れに仕舞った。玉ねぎのように重ねていた洋服も薄くなっていく。季節は日々移ろい、一日として同じ日は…

第26回:遺体長期安置や遺骨の行方――身寄りなき人の意思は尊重されるか?(小林美穂子)

2023年1月15日、灰色の雲に覆われた午後、私たちはつくろい東京ファンドの同僚たちと東京都江戸川区にある瑞江葬儀所にいた。昨年1月に亡くなった和木さん(仮名)を荼毘に付すためだ。引き取り手不在のその方のご遺骨は光照院(台東区)にある…

第25回:差別・排外主義に抗う市民たちが見せる希望~共生は国を救う~(小林美穂子)

年末も押し迫った昨年12月26日、ホームレス化した難民・仮放免者4世帯の住まいとなる「りんじんハウス」を、つくろいスタッフやボランティアの皆さん総出で掃除をした。労働を許されず、健康保険の加入もできず、あらゆる社会保障からも除外され…

第24回:「中高年シングル女性の生活状況実態調査」報告書から聞こえる悲鳴(小林美穂子)

12月22日木曜日は、私が担当している「カフェ潮の路」の年内最終営業日だった。カフェでは経済的に余裕のある人が、余裕のない人のために料金を先払いする「お福わけ券」というシステムがある。コロナ禍でこの券を利用する人たちが急増したのだが…

第23回:「ダメ。ゼッタイ。」の無意味さ。いいかげんにハームリダクションに舵を切れ(小林美穂子)

「こっわ…」。展示された300点以上のポスターを見始めた時に、思わず口から漏れた言葉だった。薬物乱用防止イベントの会場に並べられたポスターには、地元の中学生が描いた頭蓋骨や、落下する女性のシルエット、顔半分が溶けたり、歪んだりして…

第22回:カップラーメン炎上が語るもの、バッシングにかき消された本意(小林美穂子)

9月24日にカップラーメンの値段をツイートした以下の連ツイ(連続ツイート)が炎上した。昼食代を節約しようとカップヌードルを買ったら231円。思わずレジの金額表示を三度見した。路上で暮らしながら空き缶や段ボール収集で雀の涙ほどの現金収…

第21回:粗末に扱っていい命(小林美穂子)

「ねぇねぇ、165万円って、なんでそんな少ないの?」。スマホを指で繰りながら私に聞いてきたティーンエイジャーは、日本に住む外国人の境遇に興味を持っている。茨城県牛久市の入管施設「東日本入国管理センター」で2014年、収容中のカメルー…

第20回:透明な存在、ネットカフェ生活15年の男性から見た社会(小林美穂子)

まだ6月だというのに35℃超えを記録した猛暑日、私は西多摩のある市を目指していた。体を壊して失職し、生活保護の申請を決意した河合さん(仮名)に会うために。彼から扶養照会に関する相談を受けていた。河合さんは若い時分に結婚をし、子ども…

第19回:「扶養照会は原則しなければならない」は本当か? 福祉事務所の言い分を検証する(小林美穂子)

以前にこのコラムにも書いたが、全国から相談が来るのでしつこく書いておきたい。2021年2月26日、そして3月30日の二度にわたり、厚生労働省は生活保護申請に伴う扶養照会の運用を一部改正した事務連絡を各自治体に向けて発出した。この事務連…