私たちが望む暮らしとは(マガジン9編集部)

 こんにちは。編集スタッフの中村です。いつも「マガジン9」へのご支援をありがとうございます。

 サイトリニューアルの際、こっそりと「よくある質問」というページを作ったのですが、お気づきでしょうか? そちらでも紹介しているのですが、マガジン9は読者の皆さまからのカンパを中心に運営しており、スタッフもフリーランスとして別の仕事をしていたり、会社員だったりとさまざまです。私の場合は、週1回マガジン9が間借りしている都内のオフィスに行き、執筆者の方々から受け取った原稿を確認し、サイトを更新する作業を担当しています。

 しかし、ここ一カ月ほどは、知人の手伝いで岐阜県にある人口250人ほどの集落に滞在していました。標高の高いところにあり、車で30分ほど山を下りないと、食料品店さえ一軒もない場所。東京を長く離れるとなると仕事の不安がありましたが、インターネットさえ通じれば何とかなるかと、思い切って行ってみました。着いてみると、滞在用に準備されていた住まいは、ひとりには広すぎる2階建ての一軒家。高齢化が進み、集落に空き家がいくつもあるのです。狭いアパートを借りるにもびっくりするような家賃がかかる東京の暮らしとは大きな違い。窓からは、広い空ときれいな山並みが見えていました。

 家にはテレビがなく、車がないとどこにも行けないので、自然と早寝早起きして仕事をし、三食自炊する規則正しい生活になりました。思えば、社会人として働き始めて以来、会社員だったときも、フリーランスになってからも、仕事が終わるのは大体がかなり遅い時間。いつの間にか深夜に夕飯を食べることが当たり前になっていたのでした。

 道を歩けば近所の人が声をかけてくれ、煮物の差し入れまでいただきました。隣家でひとり暮らしをしているおばあちゃんは、いつも誰かとおしゃべりしていて、同じ集落の同級生からも元気かどうかを気遣う電話がよくかかってきていました。「こういう暮らしもあるんだ」と、私には一つひとつが新鮮でした。

 滞在した集落やその周辺地域では、都市部からの若い移住者の方ともたくさん出会いました。過疎化が進む集落なのに、ベビーブームさえ起きていたくらいです(といっても4人ですが)。子どものために自然に近いところで暮らしたいという夫婦、顔の見えるコミュニティでの暮らしに魅かれてきた20代の人、都市部で働いて身体を壊してしまったという人もいました。もちろん私のような短期滞在と違って、移住するとなれば、また苦労やハードルがあるのでしょう。「地方ならではの暮らしにくさ」についての話もいろいろと聞きました。だから地方暮らしがいいとか、そういう単純な話には出来ませんが、それでも印象に残ったのは、これまでとは違う暮らし方や働き方を模索している若い人が多くいるということです。

 「都市での暮らしが合う人はそれでもいいけれど、無理をして身体を壊してしまう人もいる。もっといろいろな働き方、暮らし方の選択肢ができれば楽になれる人がいるはず」。移住した方からそんな言葉を聞いて、何人かの友人知人の顔が思い浮かびました。住宅、子育てや介護、老後について考えたときに、どんな環境がいいのか、何があれば自分は安心して暮らせるのか、この滞在はそんなことに思いをめぐらせるきっかけにもなりました。

 考えてみれば、マガジン9のサイトで扱う政治や憲法のトピックも、その先には「私たちはどんな暮らし、社会を望むのか」という問いがあるのだと思います。東京に戻ってきてまた不規則になりつつある生活を送りながら、その答えを考えています。

(中村)