2024年7月27日
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小林美穂子

小林美穂子
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1968年生まれ。一般社団法人「つくろい東京ファンド」メンバー。支援を受けた人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネーター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで就労。ホテル業(NZ、マレーシア)→事務機器営業(マレーシア)→工業系通訳(栃木)→学生(上海)を経て、生活困窮者支援という、ちょっと変わった経歴の持ち主。空気は読まない。共著に『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(岩波書店)。

第8回:公助さん、出番です! 官民が協働したフードパントリーの報告@中野(小林美穂子)

33℃近くまで気温が上がった7月17日の土曜日、東京都中野区鷺宮で中野区社会福祉協議会主催のフードパントリー(食料品配布と相談会)が開催された。新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で生活困窮に陥り、中野区で社会福祉協議会…

第7回:僕が生きられる場所を探して(小林美穂子)

あの日、日常が変わった。数日降り続いた雨が朝のうちに止み、午後には青空が広がった。久しぶりに晴れた日曜日、映画館にでも行こうかと僕は外に出た。きらめく水たまりが鏡のように空を映している。風が首筋を撫でる。思わず鼻歌がもれるほど…

第6回:カフェ1年ぶりに再開――コロナ前と変わったこと、変わらなかったこと(小林美穂子)

4月1日に「カフェ潮の路」を再開した。カフェ潮の路は、ホームレス状態を抜け出してアパートに移った人たちの社会的孤立を防ぐ居場所であるとともに、ランチを食べに来てくれる地域住民との交流の場として、2017年4月にオープンした。しかし、…

第5回:朗報! 生活保護申請にともなう扶養照会は止められる!(小林美穂子)

生活保護申請にともない、申請者の親族に援助の可否を問う「扶養照会」がいかに百害あって一利なしかは過去にマガジン9への寄稿記事「百害あって一利なし、生活保護申請に伴うムダ作業『扶養照会』の弊害」で書いた。扶養照会は、申請者を泣かせ…

第4回:神奈川区の水際~申請書持参の女性に「申請の意思なし」の衝撃~(小林美穂子)

これほどまでに鮮やかな申請者追い返しを見たのは久しぶりだった。家を失い、所持金尽きた人たちが助けを求めて福祉事務所の窓口を訪ねる。コロナ禍で貧困が拡大したこの一年、私も参加する「新型コロナ災害緊急アクション」の支援者が同行するよ…

第3回:命を守るため、生活保護に伴う扶養照会の無効化を~制度のアップデートを求める闘い~(小林美穂子)

風呂も冷暖房もなく、隙間風が吹きこむ室温は冬には零度にまで下がる。熱中症でこれまで数人亡くなり、廃屋のようなアパートのたった一人の住人となった初老の男性は、アルバイトや日雇仕事で命をつないでいた。生活保護の申請に同行すると、ケー…

第2回:全力疾走で駆け抜けた2020年、そのまま走り続ける2021年のあゝ無情(小林美穂子)

2020年は下血に終わり、2021年が下血で始まった。いきなり冒頭からの下ネタに、マガジン9の読者は動揺していないだろうか。眉間に深いシワを寄せていないだろうか。申し訳ない。しかし、チャンネルはそのままで。人命より経済を優先させた政…

第1回:日本は「美しい豊かな国」ではなかったの⁉(小林美穂子)

今回から月1回ペースでの連載がスタートしました。執筆者の小林美穂子さんには、これまでにも何度か新型コロナウイルスの感染拡大により急増するSOSや支援現場での課題をマガジン9に寄稿していただいています。しかし、生活に困窮している人…

【寄稿】百害あって一利なし、生活保護申請に伴うムダ作業「扶養照会」の弊害(小林美穂子)

ある秋の日、私は知人のそれまで全く知らなかった過去を知った。2013年11月7日の朝日新聞にも大きくとりあげられた「扶養照会」にまつわる出来事である。知人は幼いころに両親が離婚。小学校低学年の頃、女手一つで彼と弟を育てていた母親が、兄…

【寄稿】コロナ禍で増加する相談者、ウソで追い返す福祉事務所(小林美穂子)

2020年4月7日の政府による緊急事態宣言発出を受け、4月10日、東京都は対象となる事業者への休業要請、外出自粛要請を発表した。ネットカフェ生活者は東京だけで約4,000人いることが都の調査で分..